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Happy Days(アルマ×リンカ)

高校を卒業した足で、有真さんに会いに行ったあの日。
互いの想いを言葉にしたあの日から、私と有真さんは恋人同士になった。
・・・その前から恋人同士のようなものだったけど、高校を卒業するまでは、と手すら繋いでくれなかった。

「ふふ」
「どうした?リンカ」

有真さんの久しぶりのお休み。
私たちは手を繋いで街を歩いていた。

「こうやって手を繋いでデートするの、夢だったんです」
「そうか」

絡めあった指が、きゅっと握られる。
学校で友達が彼氏とのデートの話をするたび羨ましかった。
私も手を繋いでデートしたいなぁって思っていたから念願が叶って私はとても幸せ。

「俺もこうやって歩けて幸せだ」
「私たち、同じ気持ちなんですね」
「ああ、そうだ」

ショウウインドウに映る自分たちをちらりと見て、また笑みが零れた。

街に買い物に来たのは二人で暮らす新居のためのものだ。
結婚しようと言ってくれた日から、私たちはそれに向けて準備を進めていた。
私の両親に挨拶に来たときはさすがに緊張したらしく、表情が強張っていたけれど
お母さんには好きな人がいる・・・それが有真さんだということも話していたから、お母さんが助け舟を出してくれたりして、挨拶は滞りなく済んだ。
私も先週、有真さんのご両親にご挨拶にいった。
有真さんのお母さんの目元が、どこか有真さんに似ていた。
それを見て、私は少し安心して話すことが出来た。
互いの両親からは反対されることなく、私たちは結婚を前提とした同棲をスタートした。
新居は改めて探そうと話していたので、私は有真さんの一人暮らしの家に住むことになった。
一人で住むには少し広い部屋だったけど、二人ならちょうど良い。
それを有真さんに話すと、私と一緒に暮らすことを見越してここを借りていたとしれっと言われて赤面したのはつい最近だ。

「次のお休みはウェディングドレス、見に行きましょうね」
「ああ、楽しみだな」

不意にナラカさんのことを思い出す。
ナラカさんならウェディングドレスも作っちゃいそうだな、と考えると急に懐かしさが湧いてくる。

「どうした?」
「え?」
「少し寂しそうな顔をしてるぞ」
「有真さんは私のこと、よく見ててくれますね。
・・・ナラカさんならウェディングドレスも作っちゃいそうだなーって考えてました」
「ああ、あいつなら出来そうだな」

ナラカさんと生きていた時代が違ったのかもしれない。
それに生活していた場所も違ったのかもしれない。
だけど、きっと・・・ナラカさんは今も可愛い服をどこかで作っているんじゃないかっておもう。

「有真さん」

つないでいる有真さんの手の体温を愛おしく思う。
触れ合うことで、もう過去は見えないけど気持ちは伝わってくる。

「今日の晩御飯、何食べたいですか?」
「リンカ」
「・・・っ、そういうことを真顔で言わないでください」
「冗談だ」
「わかってますよ」
「そうだな、ハンバーグが食べたい」
「ふふ、分かりました」

幸せってきっとこういう事をいうのだろう。
そんなことを思いながら、私はもう一度、手をきゅっと握った。

朝日(宗次×琴子)

ああ、朝が来る。

 

 

 

嶽屋さん・・・じゃなかった、宗次さんが戻ってきてくれて、卒業が決まって。
慌しく日々は過ぎていき、明後日には卒業だ。
いつものように女子寮の前まで送ってくれた宗次さんをお茶に誘う。
彼もそれを了承して、私の部屋を訪れた。

「ふふ」

二人分の紅茶をいれ、カップを宗次さんの前に置く。
慣れた手つきで宗次さんは蜂蜜をすくい、紅茶に落とす。
琥珀色の蜜が紅茶に溶け込む様子を見るのはなんだかキラキラとして楽しい。

「どうした?琴子」
「いえ、宗次さんが初めて部屋に来たことを思い出していました」

あの時は離れがたくて、もう少し一緒にいたくて部屋に誘ってみたものの・・・
自分の部屋で二人きりという空間に慣れなくて、互いにとても緊張していた。

「それを思い出して笑うことないだろう」
「ふふ、そうですね」

紅茶に何も入れないで飲むのが一番好きだったはずなのに。
宗次さんが紅茶に蜂蜜を落として飲むのを気に入ってくれたおかげで私も同じようにして飲むようになった。
紅茶を一口飲みながら宗次さんをちらりとうかがう。
一年近く会わないでいたからだろう。
宗次さんが大人びて見えてしまう。
きっと彼は喜ぶだろうけど、私としては少しだけ寂しい。

「どうした?」
「いえ、なんでもないです」
「・・・あんたは秘密が多すぎる」

そうだ、私が内心を吐露しないことに宗次さんはこうやって拗ねるのだ。
不貞腐れたように目を伏せる様子は以前と変わらなくて、ちょっとだけ安心する。
手を伸ばし、彼の頬に触れてみる。

「宗次さんが私の元に帰って来てくれたんだなぁと思うと、嬉しくて幸せをかみしめてました」
「・・・っ」

頬に触れている手に、宗次さんの手が重なる。
私たちが繋がっているという証が重なる。
寂しい時、この刻印を見つめた。
私と宗次さんは繋がってる。だからきっと大丈夫だと。

「やっぱりこうして触れられる距離にいると、嬉しいですね」
「琴子・・・あんまり可愛いことをいわないでくれ」

伏せていた目が、私を捉える。
その瞳は少し切羽詰ってみえて、それだけで私の心臓は跳ねる。

「あんたに触れていいか」
「え、と・・・だめです」
「どうして」

触れていた私の手をとり、自らの口元へ持って行く。
手の甲・・・証にそっと口付けが落ちる。
くすぐったくて、もどかしくて、恥ずかしい。
部屋の室温がぐっと上がったんじゃないかと思うくらい私の身体は熱くなる。
宗次さんに触れられるだけで、どうしてこんなに反応してしまうんだろう

「恥ずかしいです・・・なんだか、」
「でも、俺は琴子に触れたい」

強請るように指へ舌が這う。
手を引っ込めようとしても、強く引かれてしまって敵わない。
本気で拒んでいるわけじゃないのが伝わっているんだろう。
私が本気で嫌だと思っていたら、宗次さんはこれ以上仕掛けてこない。
おそらく、煽ったのは私もだから。

「それでしたら・・・抱き締めてください」
「・・・ああ」

宗次さんが席を立ち、私に近づく。
私の腰に手をまわし、そっと立ち上がらせてくれる。
壊れ物を扱うみたいに優しく抱き寄せられる。

「もっとぎゅっとしてください」

宗次さんの背中に自分の手をまわし、きつく抱き締めてと強請る。
私達の間には、距離がなくなった。
それがどうしようもなく嬉しい。

「宗次さん、大好きです」
「俺も、琴子が好きだ」

誓うように優しい口付けが落ちる。
二人の夜が、始まる。

 

 

 

 

 

 

 

「ん・・・」

瞬きをしつつ、眠い目をこする。
隣にあるぬくもりに、ほっと息を吐く。
離れている間、何度も夢を見た。
琴子に会いたいと思いながら、何度も何度も文を出そうとする自分を押し留めた。
彼女を迎えにいくまで、中途半端なことはできない。
会いたくてもぐっと堪えて、その分打ち込んだ。
きっと寂しい思いをさせてしまっているだろう。
だけど・・・きっと待っていてくれる。
そして、彼女は待っていてくれた。
久しぶりに会った俺を涙をこぼしながら迎えてくれた。琴子と出会ったこの場所とも、もうすぐお別れだ。
それが、少しだけさみしいというのも嘘じゃない。

「琴子・・・」

まだ隣で眠る琴子の髪にそっと触れる。
あどけない寝顔だ。
ぐっと来るものがあるが、今日は琴子が目を覚ますまで一緒にいてやりたい。
以前、あまりに可愛くて何かしてしまいそうな自分を抑えるために部屋から逃げ出した。
だから今日は、

「・・・朝日か」

カーテンの隙間から朝日が差し込む。
ああ、なんて綺麗なんだろう。

これから琴子と生きる未来には、楽しいことばかりじゃないのは分かっている。
苦しいことだって、泣きたくなることだってあるだろう。
琴子が・・最期を迎えるときに幸せだったと笑ってくれるような未来にしたい。

世界がまるで、俺たちを祝福してくれてるような朝日だった。
二人の未来が、もうすぐはじまる。

 

俺の太陽(ヨウ×サンズ)

ネタバレと捏造です。

 

退屈そうに窓の外を見つめる彼女を俺も退屈そうに眺めた。
黒くて長い髪がサラサラで、光にあたってキラキラと輝いて見えるのに。
どうしてあんなに退屈そうにしているのだろう。

「サンちゃん、デートしようぜー」
「は?なにいってんの」

なんて声をかければ、全く相手にされず一刀両断。
コンビニで新作のお菓子を見つけては買い、それをサンちゃんの口に放り込み続けても退屈そうな表情は変わらない。
女子のグループに入ることもなく、ただ一人でいる姿は風に吹かれればどこかへいってしまいそうだった。

(笑った顔、見てみたいなぁ)

ただそれだけ。
俺の興味本位。
サンちゃんのためとかそういうんじゃない。
ただ、笑ったらどうなるんだろうなっていう好奇心だった。

「サンちゃん、サンちゃん。この曲すっげー良いんだよ、聞いてみてよ」
「・・・ヨウは飽きないね」

俺が絡むことに諦めにも似た表情を浮かべて、ヘッドホンを俺から受け取る。
目を閉じて、流れる音に耳を傾けているサンちゃん。
俺はその様子をひじをついて眺める。
今日もダメかなぁー
時間的には、俺のお気に入りの曲が流れるころだった。
閉じていたサンちゃんの目が見開かれた。

「サ・・・サンちゃん?」

そして、サンちゃんの頬に涙がつたう瞬間を俺はただ呆然と見ていた。
人が、心を揺さぶられるのを初めて見た瞬間だった。

 

 

 

 

「ヨウ、私怖いよ」

ステージに立つ前、いつもサンちゃんは不安げな顔をして下を向く。
俺の服の裾を掴んで、俺をどこへも行かせないという意思を見せるくせに俺の表情を見ようとはしない。
俺がどんなカオをしているのか見るのが怖いんだろう?
今回も大丈夫だ、といってくれるか分からないから。
だから俺はサンちゃんの頬を両手で挟んで顔をあげさせる。

「大丈夫だよ、サンちゃん。俺が隣にいる」
「・・・うん」

濡れた瞳に俺が映りこんだのを見て、安堵する。
ああ、俺はサンちゃんに必要とされている。
サンちゃんの隣にいて、いいんだ。
そう何度も安心する。
ステージが始まってしまえば不安なんてどこかへ吹っ飛んだように歌いだす。
キラキラと輝くサンちゃんを見ていられるこの場所は、俺の特等席だったんだ。

 

 

NEVAEH学園でサンちゃんを見つけた時、心臓がぎゅっと痛くなった。
俺が、サンちゃんをここまで連れてきてしまったんだ。
彼女は俺たちの太陽みたいな存在で。
才能に溢れてキラキラ輝いているのに、
手を離す決意をしたはずなのに、
本当はいつまでも一緒にいたいなんて子どもじみたことを考えていたから。
俺が、サンちゃんを堕としてしまったんだ
サンちゃんは何も知らない。
知らないから、今までと変わらない。
俺には聞こえない音楽を聴いて、嬉しそうなカオをするサンちゃん。
そのカオをいつまでも見ていたい。
誰よりも近くで、あんたを見ていたいと思っていた。
サンちゃんが俺に縋ることが心地よかった。
家族みたいだと笑ったこともあった。
弟のようだ、妹のようだと言い合ったこともあった。
だけど、そんな言葉じゃ言い表せないんだ。

 

「サンちゃん、俺サンちゃんに追いつくから」

林檎をかじる。
消えてしまったサンちゃんに追いつきたい。
もう一度、もう一度サンちゃんに・・・

 

 

 

 

「・・・-っ、・・・・ウ!!」

馬鹿みたいに俺を呼ぶ声が、俺の意識を引きずり戻した。

「・・・サ・・・ンちゃん?」

何度か瞬きをして、ようやく焦点があう。
目の前には、俺の太陽がいた。

「ヨウ!!」

涙が、こぼれた。
そのすぐあと、サンちゃんが思い切り俺に抱きついてきた。

「サンちゃん、いたいいたい」
「馬鹿!馬鹿!!」

体中がとんでもなく痛い。
ぼんやり見えたサンちゃんの腕やカオにだって包帯やらそういうものが見えた。
意識を取り戻したサンちゃんは、きっとずっと俺の傍にいてくれたんだろう。

「サンちゃん・・・サンちゃん、」

左手は管につながれていてうまく動かない。
右手だって力はそこまで入らない。
でも、俺は精一杯の力でサンちゃんを抱き締め返した。

「会いたかったよ、サンちゃん」
「・・・うん」

初めてだきしめたサンちゃんは温かかった。
ぬくもりをかみしめながら、俺はようやく涙を零した。

私のヒーロー(央撫)

初めての恋。
他でもない貴方に恋をしたことが、私にとっての幸福。
央、貴方を愛することができて私はとても幸せよ。

 

 

「おかえりなさい、央」
「ただいま、撫子ちゃん」

玄関まで迎えにいくと央は安心したように笑った。

「ごめん、ちょっとだけ充電していい?」
「え?」

返事を聞かないで、そのまま私をきゅっと抱き締める。
甘えるように肩に顔を埋めると、はぁーっと息を吐いた。
今日、何かあったんだろうか。
央の背中をぽんぽんとすると私を抱きしめる腕の力が強まった。

「ねえ、央」
「ん、なぁに」「部屋に入らない?玄関じゃ身体冷えちゃうわ」
「・・・俺、余裕ないね」

抱き締める腕が緩むと央が照れ笑いを浮かべた。

「今日もお疲れ様、央」
「うん、撫子ちゃんもお疲れ様」

央が帰ってくるとこうやってお互いの一日を労うのが毎日の日課になっていた。
私は家のことを頑張って、央は外で頑張る。
何時に帰ってくるか定かじゃない央は夕食を先に済ませていて良いといったことがあった。
私はそれをどうしても受け入れられなかった。
だって食事は一緒に食べるから美味しいと感じるんだもの。
だからどんなに遅くなっても夕食は一緒に食べたいと央に懇願した。
最初は私を心配してなかなか首を縦に振ってくれなかったが、根負けして了承してくれた。

『撫子ちゃんには一生敵わない気がしてます』

照れたように頬をかいて笑う央が、ひどく愛おしかった。

 

 

「そういえば最近少し帰り、遅いのね?」
「あー、うん。そうなんだよね、有心会に顔出すとトラくんにつかまったり色々あるんだよね」
「ふふ、そうなんだ」
「待たせちゃってごめんね。いつもありがとう」
「ううん。さ、食べましょう」
「いっただきまーす!」

央は嬉しそうに両手をあわせると、それから食べ始めた。
この瞬間が一番幸せかもしれない。

 

 

それからしばらくの間、央の帰りが遅いことが増えた。
やっぱり少し寂しくて気晴らしに買い物帰りに有心会へ立ち寄った。

「おお、撫子ではないか」
「こんにちは、終夜」
「お嬢、ふらふらしてると危ないんじゃないのか?」
「少し寄っただけよ。それより終夜、楓。大福買ってきたから食べましょう」
「おお!それはかたじけない。
楓、さっそく茶の用意だ!」
「あー、はいはい。分かりましたよー」

楓が煎れてくれたお茶を飲みつつ、大福をみんなでつまむ。
他愛のないことを話していると、やっぱり落ち着く。
終夜のゆったりしたところとか、それに対して楓がつっこむ姿とか、そういうのを見ていると和むなぁ。
微笑ましく見つめていると、口の端に大福の粉をつけたままの終夜が思い出したように口を開いた。

「そういえば、央とのけ・・・」
「ああああ!!!殿先生!!!!大福が!!」

一つ残っていた(というかトラの分)をなぜか楓が勢いよく終夜の口に詰め込んだ。

「え、と・・・楓、どうしたの?」
「いや、なんでもねぇ!!最近殿先生ちょーっとおかしいからな!あははは!」
「・・・?」
「あー、と!それよりお嬢!もう帰った方が良いんじゃないか?
送っていってやるよ!」
「あ、ありがとう。終夜、だいじょうぶ?」

大福を目一杯口に頬張った終夜はこくりと頷いて無事を教えてくれた。
そんな終夜を残し、私は言われるがまま楓に送ってもらった。

(・・・さっき、央って言ったわよね?なんだったんだろう)

央が帰ってきたら聞いてみようかしら。
でも、楓が露骨に誤魔化したから触れちゃいけないことなのかもしれない。
楓に家まで送り届けてもらい、家のなかへ入ると央の靴がそこにはあった。

「央・・・?」
「あ、おかえりー撫子ちゃん」

驚いて部屋へと駆けて行くと央がキッチンで鼻歌交じりに料理をしていた。
買い物袋を持ったまま隣へいくと、美味しそうな香りがする。

「どうしたの?こんなにはやく」
「最近いっつも遅いから、たまには撫子ちゃんに僕の手料理を振舞いたいなーって思ってたわけです」
「ありがとう、央」
「こちらこそ、いつもありがとう。撫子ちゃん」
見つめ合って微笑みあう。
央のそういう優しいところに、惹かれる。
私は周囲の人に央みたいに優しくできないから央のそういう部分素敵だな、と思う。

「今ね、終夜と楓とお茶をしてきたんだけど、終夜となにかあった?」
「え?」

手を洗い、食事の支度を手伝いながらふとさっきの疑問を口にした。

「あー、こないだちょっと話したけど、たいしたことじゃないよ?」
「そうなの、それなら良いんだけど」

聞かれたくない、と顔に書いてあった。
楓の誤魔化しもあったし、これ以上詮索しないほうが良いだろう。
私は別の話題を持ち出した。
央は少し安心したような顔をしていた。

 

 

それから数日経ったある日のこと。

「撫子ちゃん、時雨さんが用事あるっていってたよ」

央にそういわれて、私は有心会を訪れていた。

「時雨さん、私に用事って」
「ああ、来たんだね。わたしが用事っていうか、まぁ・・・うん。
ちょっとこっちへおいで」

手招きされ、大人しく従う。
移動した先は時雨さんの部屋だった。

「・・・これって」
「ああ、あんたのヒーローからお願いされたんだ」

 

 

 

 

 

この世界で生きると決めてから、ここは私の居場所になった。
あの日から幾許の時が流れ、央との想い出は少しずつ積み重なっていった。
けれど、私たちの思い出の場所といえばここしかないだろう。

 

 

 

白のマーガレットが咲き誇る場所で、彼は私を待っていた。

「央」

私が名前を呼ぶと、央は振り返って微笑んだ。

「撫子ちゃん。うん、やっぱり似合うね」

私が纏っている純白のドレスをみて満足げだ。
央が着ているのも白のタキシード。
時雨さんの部屋でこのドレスを見せられたときは驚いて呼吸をするのを忘れてしまいそうだった。
私のために、央が用意をしてくれたという。
最近帰りが遅かったのはこれのためだったということも時雨さんが教えてくれた。

「央も・・・とっても素敵よ」

央は立ち止まったまま動かない。
きっと私が歩いてくるのを待っているんだろう。
だから私はそれにこたえるように一歩一歩と歩んだ。
この世界を、央と一緒に生きていくと決めたときー私の心はまだ幼かったかもしれない。
幼い恋心を、ここまで育て上げたのは目の前の最愛の人だ。

「央・・・」

央のもとへたどり着くと、彼は真剣な瞳で私を見つめた。
私の手をとり、口元へ運ぶ。

「撫子ちゃん、僕のお嫁さんになってくれますか?」

ちゅ、と手の甲にキスが落ちる。
それだけで心臓が跳ねる。

「ふふ、もうあなたのためにウェディングドレスを着ているのに・・・」

断るわけがないじゃない。
央の言葉が嬉しくて嬉しくて・・・うまく言葉が続かない。
だから言葉に出来ないかわりに私は小さく頷いた。

「ありがとう、撫子ちゃん」
「央・・・っ、」

ぎゅっと私を抱き締めると指と指を絡めるように手が重なる。
手の甲に落としたようなキスを、額と頬にも落とし、それからそっと唇にキスが落とされた。

「・・・ずっとずっと一緒にいようね、撫子ちゃん」
「ええ、約束よ。央」

まるで私たちを祝福するみたいに、柔らかな風が吹いた。
そのなかで私たちはもう一度唇を重ねた。

 

 

 

 

 

 

 

-夫婦になって、数ヶ月が経った。
いつものようにソファに寄り添っているとき、私はようやく口を開いた。

「ねえ、央」
「なあに?撫子ちゃん」
「その、安産祈願のお守りなんだけど・・・貸してもらえないかしら」
「いいけど、どうかした?」

不思議そうな顔をしている央の手を取り、そのまま私のおなかへともっていく。
私の言いたいことを悟った央が驚いたように目を見開いた。

「・・・もしかして」
「うん」
「撫子ちゃん・・・っ」

ぎゅっときつく抱き締められる。
央の背中に手を回し、彼の肩に顔を寄せた。
ぐす、と鼻をすするような音がしたのでそっと背中をさする。

「・・・っん、ありがとう、撫子ちゃん」
「ふふ、私もありがとう。央」

あなたのお父さんは、あなたがおなかにいるって知った時に泣いて喜んでくれたの。
遠くない未来に会えるわが子に、その話をしてあげたい。
そして、あなたのお父さんは私のヒーローなのよ、と自慢しよう。

「だいすきよ、央」

私は今、とても幸せだ。

 

いつかの約束(寅撫)

「何を読んでるの?」
「ん?時田が載ってる雑誌」

トラに会うために屋上へ行くことが日課になってどれくらい経つだろう。
小学生の頃も、トラは授業が面倒だ。先生が面倒だ。級友が面倒だといっては屋上へ上がっていった。
それをとめようと彼を引っ張ろうとすると睨まれたことだってあった。
でも、屋上にいけばトラに会える。
そんな風に学習した私は、トラに会いたくなると屋上へ上がるようになっていた。
今日もそうして私は屋上へ上がった。
雑誌を読むトラの隣に座って、雑誌を覗き込んだ。

「ウェディング・・・?」
「だってよ」
「終夜、まだ結婚って年齢じゃないとおもうけど」
「そりゃそうだろう。それより時田が結婚・・・っていうイメージも沸かねえよ」

少し楽しそうに笑うトラの表情を盗み見ると、なぜだか心が落ち着かない。
トラはたまに優しく笑う。
それはトラの弟さんたちに対してだったり、終夜に対してだったり。
・・・私に対してだったり。
優しく笑うトラに落ち着かない。
誤魔化すようにページをめくるトラの指を見つめると、思いのほか、綺麗な指をしていた。

「トラの指って綺麗ね」
「はぁ?何言ってんだ」
「だって、ピアノとか弾けそうな指しているわ」
「・・・あのなぁ、指だけでピアノが弾けそうとかないだろ」
「そうかしら」

もう一度雑誌に視線を落とすと、終夜の隣には綺麗なウェディングドレスを着たモデルさんが微笑んでいた。
なんて綺麗なんだろう。
同性である私が見てもため息が出るくらい綺麗だ。

「素敵ね」
「ふーん。お前にもそういう願望あるんだ?」
「願望って?」
「こういう風に着飾りたいっていう願望」

私がうっとりと見つめていた人を指差して、トラは言う。

「だって綺麗じゃない」
「お前の方が綺麗なんじゃね?」
「・・・!?」
「ファッションにあんまり興味なかったお前がウェディングドレスねぇ」
「わ、私だって女だもの!ウェディングドレスが素敵だなって思うようになるわ」
「いいんじゃねーの?べつに」

綺麗だといったことを忘れたようにトラは次のページをめくった。

「お前、こういうの似合いそうだな」

それはウェディングドレスの種類でいえばAラインタイプのもの。
胸元にあしらわれた刺繍や、オーバースカート風に重ねられた生地がとても美しい。

「そうかしら」

でも、似合えばいいな。
トラが言ってくれたんだもの。
そんな風に私は思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

あの日から何年経っただろう。
中学生のときの何気ない会話。
10年以上前のことなのに、色鮮やかに覚えているのはトラが似合いそうだと言ってくれたことが凄く凄く嬉しかったからだ。

「撫子、準備できたか」
「トラ」

トラの声がして、ゆっくりと振り返る。
一瞬驚いたように目を見開くと、それから優しい笑みを浮かべた。

「・・・なんだよ」
「え?」
「やっぱり似合ってるじゃねえか」
「・・・おぼえてたの?」

控え室のドアが閉まる。
一歩一歩、距離が縮まるごとに私の心臓は高鳴る。私が選んだウェディングドレスは、あの時トラが似合うといってくれたドレスだ。
全く同じものではないけれど、あの時目に焼き付けたドレスを懸命に書き起こし、作ってもらった。

「撫子」

私の手を取ると、そのまま引き寄せられる。
倒れこむようにトラの胸のなかに飛び込んだ。

「待たせたな」
「・・・ううん」

家族になりたい、と言ってくれたあの日から。
私たちは、家族になるために頑張った。
お父様に認めてもらうために、トラは本当に頑張ってくれた。
何度も何度もお父様と会って、結局口論になって・・・というのを数えると両手では足りないだろう。
トラの親族の方との関わり方についても、たくさん話し合った。
トラのお父様・・・お母様にもお会いして話すことも増えた。
初めて会った時はお母様は、トラに似ていてドキリとしたのを今でも覚えている。

「トラ、私たち家族になるのね」
「ああ・・・そうだ」

額にそっと口付けが落ちる。

「お前を手放すつもりなんてなかったけど・・・
これでようやくお前の全て、俺のものなんだな」
「私の全て、トラのものよ。
それに、トラの全ても私のものよ」

額への口付けのお返しに、トラの頬に口付けをする。
少し口紅がついてしまったが、後で落とせば大丈夫だろう。

「俺の全ては、ずっと前からお前のものだ。
・・・撫子」

きゅっと抱き締められて、耳元でトラが囁いた。
その言葉があまりにも不意で、私の頬に一筋の涙が伝った。

-ありがとう-

「トラ、ずっとずっと・・・・一緒にいましょう」

いつか子どもが生まれて、年をとって、おじいちゃんとおばあちゃんになっても、ずっとずっと。
ずっと、あなたは私のもの。

神様に誓う前に、もう一度私自身にそれを誓った。

月が見ている(孫関)

筆を走らせてどれくらいの時間が経ったんだろう。
日が沈む前にお茶をお持ちしたけれど、それがまだ残っているようだった。

「孫権様」

名前を呼ぶと、ようやく顔を上げてくれた。
少しだけ孫権様の表情が緩んだことに私もほっとする。

「ああ、あなたか」
「そろそろお休みになりませんか?」
「もう少しで終わりそうなんだ」

孫権様の傍らに積まれている書簡の山はもう少しという量ではない。
新しく煎れ直したお茶に取り替えると、孫権様はすぐ一口飲んだ。

「あなたの煎れるお茶は美味しいな」
「ありがとうございます」

湯のみを机に置くと、再び筆に手を伸ばす。
あの山を片付けるとしたら、きっと夜も更けてしまうだろう。
ここ数日、夜遅くまで仕事をしていて、心なしか顔色がすぐれない。

「孫権様っ」

私は筆をとる前に孫権様の手を握った。

「すこしだけ、私に付き合っていただけないでしょうか?」

孫権様の右手を両手で包み込むように、祈るように握ると孫権様は小さく頷いて、手を握り返してくれた。

 

手を繋いだまま、私と孫権様は中庭へ移動した。

「孫権様、見てください」

空を見上げると、雲ひとつない空に満月が輝いていた。

「美しいな」
「綺麗ですね」

繋いでいる手が少しだけ強く握られた。
不思議に思い、孫権様を見ると彼は月を見上げていた。
その表情は穏やかだ。

「孫権様、少し座りませんか?あ、でも汚れてしまいますか・・・」
「構わない、座ろう」

日ごろから手入れされている芝生の上に腰を下ろすと、私は孫権様の腕を強く引っ張った。
突然のことでそのまま私の膝の上に倒れこむ形になると、驚いたように私を見上げる緑色の瞳と視線がぶつかった。

「関羽、いったい・・・」
「孫権様はすこしご自分の身体を労わるべきです」

膝の上にある孫権様の頭をまるで子どもをあやすように撫でる。
思いのほかやわらかい髪にまるで猫をなでているような気分になる。
孫権様は少し困ったような顔をして私がすることを見つめていたけど、観念したらしく目を閉じてそれを受け入れ始めた。

「あなたはたまに大胆になる」
「そうですね・・・孫権様のためといいながら、本当は自分のためだからかもしれませんね」
「・・・というと?」
「私がただ、あなたと一緒にいたいから・・・
こうやってわがままを言ってみたくなりました」

夜の風は少し冷たい。
だけど、火照った頬にはちょうど良く感じられた。

「こういう時」

孫権様の手が私の頬に伸びる。

「なんと言えばいいのか分からないが・・・
私もあなたと一緒にいたいと思っているから。
あなたがこうして私といたいと言ってくれたこと、凄く嬉しい」

顔にあまり出ないと言われる孫権様だけど、照れたように言葉を紡ぐとき少し赤らむ頬が私は好きだ。
私だけが知ってる孫権様の表情だと思うと、たまらなく愛おしく感じてしまう。

「本当のことをいうと、あなたと過ごす時間を作りたくて急いで執務をこなしていた」
「一日のなかで少しの時間でも構わないんです。
眠りに着く前、お茶を一緒に飲む時間でも構いません。
私のために、無理をしないでください」「ああ、それであなたに心配をかけているのではいけないな」

目を開け、私に優しく微笑んだ。
先ほど見えた疲れの色は少し消えたような気がした。

「もう少しだけ、このままでいても良いだろうか」
「あまり長居すると風邪をひいてしまうかもしれませんけど・・・もう少しだけなら」

もう一度空をみあげる。
満月が、私たちを見守ってくれているような気がした。

夜明け(ヴィルラン)

声が聞こえる。
俺を呼ぶ声・・・
うるせーんだよ、わーわー騒いで。俺は、

 

 

 

 

 


目を覚ますと、視界はまだ暗い。
日が昇る前に目を覚ますなんて久しぶりな気がする。
目が馴染むまでぼんやりと天井を見つめていると、昔のことを思い出した。
それはまるで遠い昔のように感じるけれど、俺があの場所にいたのはついこないだのことだ。
若返っていく身体、薄くなっていくチカラ。
魔剣になる前の記憶なんていつの間にか手放していて、どうして俺は存在しているのか分からなかった。
ただ近づいてくる死の音が、たまらなく怖かった。

「ん・・・」

声がした。
あの日のように。
ようやく目が暗闇に馴染んできて、ランの寝顔が見えた。
すやすやと穏やかに眠るその表情になぜだか安心した。
頬をなでると、自分のとは違う体温。
あの頃、消えるのが怖くて震える身体を自ら抱き締めていた。
震えは止まらず、身体は冷え切っていった。「おまえはあったかいな」誰かに触れるということは温かいということ。
それがぬくもりだということを知った。
魔剣の中から見る世界は、とても苦しかった。
恐怖、怒り、恐れ、狂う。
そんなものに溢れた世界だった。
苦しい。はやくチカラを振るいたい。戦いたい。
戦わなければ、俺は俺でいられない。
存在する理由なんてなくなってしまう。
でも、戦うと俺の命は削られていく。
消えたくない。
でも・・・

「・・・ヴィルヘルム?」

閉じていた瞳が開く。
眠気眼で、目が慣れてないからだろう。
うつろな瞳は俺を映さない。

「わりぃ、起こしちまったか」
「ん・・・そんなことない」

頬に触れていた手に、ランの手が重なった。
たったそれだけなのに、なぜだか泣きたくなった。

「なあ」

名前を呼ばれた。
何度も何度も。
うるせーって思った。
俺様の眠りの邪魔してくれんなって思った。
無理やり叩き起こされたからどんな凄い奴かと思いきや、女で、よわっちそうで。
戦いたくないって言う。
だけど、ランから見える世界は綺麗だった。

「俺さ、おまえに出会えて良かった」

魔剣になる前の記憶を取り戻した。
何もかも信じられなかった俺が招いた悲劇があった。
自分の力だけを信じて、驕って、そうして魔剣の中で眠った。
ひとを信じるなんて出来なかった。
ひとを疑うなんて知らないようなお前だったから、俺はおまえを・・・

「わたしのほうが、きっとそう思ってるよ」
「・・・なにいってんだよ」

ようやくランの瞳に俺が映った。
腰に腕を回し、そのまま抱き締めた。

「おまえってあったかいな」
「ヴィルヘルムだってあったかいよ」

誰にも抱き締められなかった身体に、ランの腕が回る。
誰も抱き締めたことのなかった俺の腕の中に、ランがいる。
身体はもう震えない。

真っ暗だった部屋に朝日が差し込んだ。

恋人扱い(アキアイ)

学校の帰り道。
クレープ屋さんで買ったお気に入りのイチゴと生クリームたっぷりのクレープを頬張るアイちゃんは可愛い。

「アキちゃんはいらないの?」
「じゃあ、一口ちょーだい」
「うん、いいよ」

食べかけのクレープを俺に差し出す。
ぐっと堪えて俺は平気な顔をして、クレープを一口かじった。

「ん、うまい」
「美味しいよね」

ご機嫌なまま、アイちゃんはもう一口とかじった。

「アイちゃんアイちゃん」

もぐもぐと食べるアイちゃんはまるでハムスターみたいで可愛い。
そんなアイちゃんの頬をつんつんとつついて笑いかけた。

「間接キスだね」
「-っ!!」

キスは数える程度しかしていない。
ぶっちゃけて言えば、片手で足りちゃうくらいしかしてない。
間接キスを意識しないで俺にクレープを差し出したアイちゃん。
俺はすぐ間接キスだ、照れる・・・って思ったのに全然意識していないのが悔しかったからわざと言ってやった。

「ア、アキちゃん・・・」
「ふふ、顔真っ赤になってるよ、アイちゃん」
「意地悪いわないでよ、もう・・・」

先に俺に意地悪したのはアイちゃんなんだけどね。
俺は返事をせずにそのまま赤くなったアイちゃんがクレープを食べるのを見つめていた。

 

恋人。
好きなヒト同士が付き合うことを言うだろう?
俺はアイちゃんが好きだし、アイちゃんも俺が好きだ。
だけど、アイちゃんは俺のことをあんまり男として意識していない気がする。
意識しないでさっきみたいなことが出来ちゃうし・・・
タクヤくん、カズヤくん・・・だもんな。
それで俺は

「アキちゃん、どうしたの?」
「え、なにが?」「なんだか今日ぼーっとしてる」

いつの間にかクレープを食べ終わったアイちゃんは俺をじっと見つめていた。
あんまり見つめられると照れる。
熱烈的な視線から逃げるように俺はアイちゃんの手をとって立ち上がった。

「ほら、あんまりのんびりしてると陽沈んじゃうよ」
「のんびりしてたのはアキちゃんなのに・・・っ」

アキちゃん。
アキちゃん、かぁ・・・
小さい頃からの癖なのは分かっている。
年下だし、昔は女の子みたいだったから。
でも、もう少し男扱いされたい。

 

 

もうすぐアイちゃんの家につく時。
手を繋いだまま、本心を悟られないようになんてことない話を続けていると、ふとアイちゃんが黙った。

「・・・どうかした?」
「えーとね、・・・うん」「はっきり言わないとキスするよ」
「-っ!そうやってすぐからかうんだもん」

本心を冗談に混ぜていってしまうから俺の本心が伝わらないのは分かってる。
冗談じゃなくてアイちゃんにめちゃくちゃキスしたいし、もっと触りたい。
なんて思春期まっただなかの男の恋心を言えるわけはない。

「ほら、なに?いってみて」
「・・・笑わない?」
「うーん、多分」
「・・・アキちゃんの手、すごく男の人の手だなって思ったの」

多分俺が驚いたのが顔に出たのだろう。
恥ずかしそうにアイちゃんの手が俺の手から逃げようと動いた。
そんな可愛い事を言われて、逃がすわけがない。
きゅっとさっきより強く手を握った。

「・・・アキちゃん」
「ん、なに?」
「アキちゃんの顔・・・真っ赤」

うん、知ってます。
だってすっげー照れてるよ、俺。
男扱いされたいとか思っていたのに、いざそんな事言われるとすっごい嬉しくて舞い上がる。
空いてる手で口元を覆ってるけど、ごまかしきれない。

「アイちゃん、キスしていい?」
「え・・・っ、こんなところじゃ駄目だよ」
「ちょっとだけ」
「ちょっとって、」

メーター振り切れてるんだもん、今。
我慢できなくてアイちゃんの腰を抱いて引き寄せる。
そのまま顔を近づけて唇を奪おうとすると・・・

「-っ」

アイちゃんの手で俺の口は塞がれた。

「・・・恥ずかしいから駄目だよ、こんなところで」

顔を真っ赤にして、上目遣いでそんなことをいう残酷な俺の可愛い恋人。
悔しいから俺の口を覆う手のひらをぺろりと舐めてやると、驚いたらしく手が外れた。

「じゃあ今度アイちゃんからキスしてね」

アイちゃんの身体を解放し、再び手を繋いで歩き始める。
困ったような声で抗議をしてくるアイちゃんを横目で見ると、どうしようもないくらい幸せを感じた。

10~11月プレイ状況

まめに書いた方が楽だなと気づきました。どうも、暁です。
もうすぐBadApple発売ですね~!主人公ちゃんのポニーテール姿が思いのほかツボでにやにやしてます。可愛い。
2016年発売予定のゲームがちらほら出てきていますね。1月は特にないかなぁ?と思っているんですが、何かありますか?
絶賛積みゲー消化中なんですが、買っても買ってもやりたいゲームがあるからきりがないですね!

 

 

グリム・ザ・バウンティハンター

サブキャラほいほいです。ヴィッダー好き。
ヴィッダーとの恋模様を・・・くれ!!!
でも、ジュール良かったです~!!ジュール、ヴィッダーと3人で仲良く暮らしたい。
ブレーメン先生も最高に楽しかったです!!頭のネジ外れてる師匠大好き!!
「他の男の匂いがついてます」みたいなことを平気で言っちゃうのSUKI・・・

 

OZMAFIA!!

OZMAFIA好きな方には怒られそうなんですけど、呆然としました。
私、地雷という地雷はそんなにないんですけどとっても苦手なのがNTRなんです。
付き合う前の三角関係とかはゆれる乙女心でよいんですけど、攻略キャラとくっついた後、仕事忙しくて構ってくれない・・・
私のこといらないんじゃない?俺はそんな思いさせない!うん、じゃあ!!
みたいなのとか凄く苦手なんですよね。しかもファミリー内!!すっごい近く!!
私のカラミアをいじめないで!!やめて!!!って最初思いました(カラミアからプレイしたので)
いやぁ・・・つらかった。
NTR以外はとっても楽しかったです!!カラミア、シーザー、スカーレットが好きです!
ぶつ切りなストーリーも慣れてしまえば問題なかったです!

 

魔女王

プレイ感想を別に書いています。

 

うたのプリンスさまっ&うたのプリンスさまっSS

お名前だけは知っていたんですけど、アイドルものは興味がなかったので今までプレイしませんでした。
ですが、お友達に借りたのを機にプレイしました~。
プレイする前は音也か翔に落ちそうだな、私ってずっと思っていたんですけど、あらびっくり。
日向先生に落ちました!!
くっそイケメンかっこいいつらい。
翔ルートで発揮される日向先生のイケメンっぷり。翔そっちのけで日向先生に落ちました。
生徒たちでは真斗、トキヤが好きです。
初恋の相手とか、自分の人生を変える言葉をくれた人・・・とかそういうのにめっちゃ弱いです。
日向先生が好きで好きで・・・という私は一体これから先どうすればいいのか・・・
日向先生に弟がいると分かり(しかもCV良平さん)、私はどうすればいいのか、アニメをみるべきだなといたりました。うたプリ沼は怖いですね!!でも、楽曲も良いし、春ちゃんの音楽に対する思いや仕事に対する姿勢とかそういうところが凄く共感できて面白かったです!!
レン√の春ちゃんの音楽に対する気持ちが個人的には一番好きです。
レンを見ていると、音楽が浮かんで夢中で作る・・・っていうのが凄く素敵だな、と思いました。春ちゃん可愛い!!

 

あんスタ

これもお友達にすすめられ、始めていました。ひっそりと。
最近ちまちまやっているんですけど、なずな可愛いな、えへへ・・・からまさかの颯馬に落ちました。
颯馬を育てているうちに好きになりました、くっそ可愛い・・・
でもイベントとかストーリーとか全然追えていないのでちょっとした会話しか楽しめていなかったりします。
颯馬可愛いです。あんスタも書きたい欲がむくむくとあがっているんですけど、あんずちゃんの設定とかがイマイチ分からないので踏み切れなかったりしております。
颯馬の☆4とか☆5がほしい。

ぎゅっ(カズアイ)

「カズヤくん、寝てばっかりでいいの?」
「んー、アイが気持ち良いからいいよ」

意識を取り戻したばかりの頃は、すっかり衰えてしまった筋肉を取り戻すためにもリハビリを一生懸命していた。
その甲斐あって、今は定期健診のとき以外病院のお世話になることがなくなったカズヤくんなんだけど・・・
学校帰りや休みの日、私の家にいるか、公園でふたりで日向ぼっこをするか・・・
たまにお買い物にいったりもするけど、基本的にゆったりとした時間を過ごしている。
そして、家にいる時は大体私にもたれかかって眠ってばかりいる。

「アイ、もしかして退屈?」
「ううん、退屈じゃないよ」

私は私で本を読んだり、編み物をしたり・・・と色々としているし、カズヤくんの体温が心地よくて安心できるから退屈するなんてことはない。

「でも、カズヤくん。やりたいこととかないの?」

眠ってばかりで勿体無いんじゃないかな、と心配してしまう。

「・・・じゃあ、アイ。ちょっとどいて」

少し考えるとカズヤくんは立ち上がった。
言われるまま場所を少し移動すると、カズヤくんは私が座っていた場所に座ると、ぽんぽんと足の間を叩いた。

「アイ、ここに座って」
「え、えーと・・・」「アイ」
「・・・う、うん」

カズヤくんの言葉少ないけども絶大な威圧感に負けて、私はおずおずと指定された場所に座った。
後ろから手が回されて、まるでカズヤくんを座椅子にしたみたいに寄りかかってしまう。
回された腕と背中のぬくもりが、強烈にカズヤくんを意識させる。
いつも伝わる体温が心地よいな、と安心していたけど・・・これは、安心じゃなくてドキドキしてしまう。

「アイ、緊張してる?」
「そんなこと・・・!」
「だって肩に力はいってる」
「ひゃっ」

私の肩にあごをのせると、くすっとカズヤくんが笑った。

「俺、アイとこうやって一緒に本よみたい」
「そうやってて、読める?」
「うん、がんばる」
「もう・・・」

カズヤくんも読めるようにいつもより少し高い位置に本を持ち上げた。
しばらく二人でそうやって本を読んでいると、まだドキドキはおさまらないけど、いつものカズヤくんの体温に少し慣れてきた。

「あ、アイ」
「なに?カズヤくん」

不意に呼ばれ、振り向こうと顔を向けると思いのほかすぐ近くにカズヤくんの顔。
驚いて、距離を取ろうとするけどカズヤくんの方が行動に移すのがはやかった。
唇と唇が触れ合った。

「・・・っ、カズヤくん」
「アイのここ、やわらかい」

ついさっき触れ合った私の唇を指でなぞると、綺麗な笑みを浮かべた。

「・・・もう」

なんといっていいのか分からないし、恥ずかしくて頬が熱い。
唇をなぞっていた指が、私の頬をなでる。

「もう一回してもいい?」
「・・・うん」

了承を得て、また嬉しそうに微笑むカズヤくんを見た後、そっと目を閉じた。
手に持っていた本が、ばさりと落ちる音がしたけど拾うのはもう少し先になりそうです。

初恋はまだ少し先(ヴィルラン+子ども)

※オリジナルキャラとして二人の子どもが出てきます。苦手なかたは閲覧をご遠慮ください※

 

 

 

「お母さん、お母さん」
「どうしたの?ヴィオレッタ」

夕食も済み、子どもたちの入浴も終わったので、髪を拭いてあげているとヴィオレッタが振り返って私を見上げた。
ヴィルヘルムと同じ紫色の瞳。
自分の面影と、ヴィルヘルムだと分かる名残がある娘の姿はこの世に私たちが残した愛の証・・・というとちょっと恥ずかしいけどかげかえのない宝物だ。

「アサカちゃんはこんどいつくるの?」
「え、アサカ?」
「うんっ!」

以前、ヴィルヘルムの忘れ物を届けてくれたアサカに会って以来ヴィオレッタは彼が大好きなようだ。
アサカのさらさらの髪がすてき!とか、わらった顔がきれいだとか褒めちぎる。
ヴィルヘルムのほうをちらりと見ると、愛娘の口から出るアサカという単語が面白くないようで眉間に皺がよっていた。

「そうねぇ・・・お父さんに聞いてみたら?
お父さんなら毎日職場で会ってるから」
「うんっ!」

髪を拭き終わると、ヴィオレッタはありがとうと笑ってヴィルヘルムの元へかけていった。

「母ちゃん、なんでヴィオレッタはアサカアサカっていうんだ?」
「うーん、なんでだろうねぇ」

今度はロニの番。
私の膝の上に座って、髪を拭かれていると不思議そうにさっきのヴィオレッタのことを口にする。
まだロニの初恋は遠いのかな。
男の子は、小さな恋人だっていうけどヴィルヘルムによく似た愛息子がどんな女の子を好きになるのかな、と考えるのは少し楽しい。

 

 

 

「お父さん、アサカちゃんはこんどいつくるのー?」
「・・・ヴィオレッタ」

満面の笑みでやってきたヴィオレッタを膝の上に乗せると、一回深呼吸する。
ヴィオレッタは不思議そうに小首をかしげた。

「なぁに?」
「おまえ・・・アサカがすきなのか?」
「うん、アサカちゃんすきっ!」
「そ、そうか・・・」

そうだろうと思っていた。
思っていたし、相手はアサカだ。
どうなることもないし、アサカだ。大丈夫だ。
アサカだということを何度も何度も言い聞かせるが、正直なんともいえない気持ちになる。

「だってアサカちゃんはお父さんとまいにちいっしょにいるんでしょ?
だからヴィオレッタ、アサカちゃんになりたいっ」
「・・・え?」
「ヴィオレッタ、お父さんがいちばんすきよ!」
「ヴィオレッタ・・・」

ぐっときた。
娘というものはなんでこんなに可愛いんだろうか。
誤魔化しきれない喜びを、見せないように咳払いをしてからヴィオレッタの頭をなでてやる。

「父ちゃん、ヴィオレッタと一緒にいる時間もっと頑張って増やすからな」
「うん!」

 

ぎゅうっと抱き締めると、ロニを膝の上に乗せたランがくすりと笑っていた。

聞こえない(ヴィルラン)

「ランってあんまりヤキモチ妬かなそうだよね」
「そうかなぁ」

食堂でランチを食べていたときのこと。
ユリアナにユアンさんへの愚痴というかのろけを聞かされていた。
話題が一段落つくと、ユリアナはそんな事を口にした。

「まぁ、相手はヴィルヘルムだしね。
ラン以外眼中になさそうだから心配はないか」
「そんな事はないけど・・・
でも、あんまりヤキモチとかはないかも」

ヴィルヘルムのことを思い返してみても、男の子とばかりいるからなんともいえない。
そもそもニルヴァーナは女生徒の数が少ないから自然とそうなるんだろう。

「あ、噂をすれば」

ユリアナが食堂の入り口を指差したので、それにしたがって私も入り口をみる。
ちょうどヴィルヘルムが入ってきたところだ。

「ヴィ・・・」

ヴィルヘルム・・・と名前を呼ぼうとして、私の動きは止まった。
突然女生徒が走ってきて、ヴィルヘルムに何かを渡した。
不思議そうな顔をしながらも受け取り、いくつか言葉をかわしたようだ。

「ラン?」
「・・・」
「ラン、きこえてる?」
「え、なに?」
「いや、あんた・・・珍しく顔が怖いよ」
「え、そうかな」

誤魔化すように笑うが、ユリアナは苦笑いだ。

「ラン、ここにいたのか」

肩をぽんと叩かれるが、振り返るのが嫌だ。
私の返答なんて待たずにヴィルヘルムは私の隣の席に座った。

「今さ、そこで」
「私、用事思い出したから先行くね。ユリアナ」
「あ、うん」
「え、おい。ラン!」

ヴィルヘルムを無視し、早足で食堂を出るがすぐさま追いかけてきたヴィルヘルムに追いつかれる。

「ラン、どうしたんだよ」

返事をしないまま歩く。
ヴィルヘルムは小さく舌打ちすると、私の肩を掴んだ。

「おい、ラン!」
「・・・っ、」

無理やり振り向かされて、私は少し苛立った。
振りほどこうとして、ヴィルヘルムの手を払おうとするが強く掴まれてそれも出来ない。

「何怒ってんだよ」
「怒ってなんか」
「嘘つくな」「嘘なんかついてないもの。
それよりそんなに強く掴まれたら痛い」
「あ、悪ぃ」

手が緩むと、私はそれを振り払い再び歩き始めた。

「ラン!」
「だから怒ってな・・・」

強く呼ばれ、振り返るとヴィルヘルムの表情を見て息を飲んだ。
苛立った顔をしてるのかと思ったら、悲しそうな顔をしていた。

「さっきの子に慰めてもらえばいいじゃない」
「はぁ?」

傷つけた。
だけど、素直な言葉が出てこない。
私はヴィルヘルムから逃げようと背を向けた。

「俺が惚れてるのは、お前だけだって言ってんだろ!」
「-っ」

逃げようとしてた足が止まる。

「だからラン、ちゃんと言ってくれよ。
おまえが何に怒ってんのか、わかんねぇよ」

ぎゅっと後ろから抱き締められる。
顔は見えないけど、切迫した声が、全てを物語ってるみたい。

「・・・もう一回いって」
「ん?」
「聞こえなかったもの・・・もう一回言ってほしい」
「・・・聞こえてただろ」
「聞こえなかった」
「おまえ、怒ってないだろ」
「私は怒ってないって言ってたもの」
「・・・ったく」

抱き締める腕が、強くなる。
耳元に寄せられた唇を感じる。

「おまえが、好きだ」
「・・・うん、わたしも」

ヴィルヘルムに抱き締められて、思いがけない言葉を聞けたおかげで、さっきまでの苛立ちなんてあっという間に消え去っていた。

 

 

 

 

 

「ところでさっき何言いかけてたの?」
「あー、さっき食堂の入り口でおまえのファンだっていう女から手紙受け取った」

ポケットにいれていたせいで少し皺になった手紙を私に差し出す。

「なんだ、私宛か」
「ん?」
「ううん、なんでもない」

普段妬かない分、こういうことがあるとちょっとだけめんどくさくなっちゃうようだ。
誤魔化すように笑うと、ヴィルヘルムは私の頭をくしゃりとなでた。

 

鏡越し(セラアリ)

幼い頃、セラスが私の髪を結ってくれることが嬉しかった。
本当はセラスの役割じゃないのに幼い私はセラスといつだって一緒にいたかった。
朝目を覚まして、ミニドラゴン姿のセラスにかみついたり、人間の姿になったセラスに起こされたり・・・と朝もセラスと始まって
夜も寝るときはミニドラゴン姿のセラスと眠る。

「ご主人様、あまり暴れないでくれ」
「だってセラス、下手なんだもの!」
「・・・これからご主人様が満足するようにできるように努力しよう」
「うん!がんばって!」

今思えばセラスはああいうこと、というか人間に何かをするなんて初めてなんだから仕方がなかっただろうに。
でも、今は私の髪を散髪できるくらいになってしまったけど。

 

 

「セラス、少し髪整えてほしいんだけど」
「もう伸ばさないんですか、ご主人様」
「うーん、短いとラクなのよね」

絵の具がつく心配もないし、というとセラスははぁ・・・とため息をついた。

「こちらに掛けててください」
「うん」

鏡台の前に座ると、セラスが薄い布を私の胸元にかける。
それから用意してあったはさみを取り出して、髪に触れた。真剣な顔をして、私の髪と格闘するセラスを鏡越しに見つめる。
出会った頃からセラスは変わらない。
・・・当たり前のことだ。
彼の本来の姿は、今の人間の姿でも愛らしいミニドラゴンの姿でもない。
私なんて踏み潰せるくらい大きなドラゴンなのだ。
出会ったころの私はクソガキだった。
身体もずっと小さかったし、心も幼かった。
今は・・・大人の女に成長しただろう。
年の離れた兄妹くらいにしか見えなかった私たちは、今や恋人に見えるようになった。

(・・・あと何年そうしていられるんだろう)

実年齢はずっとずっと上だ。
自然な姿で隣にいられるのは、10年、20年程度か。
鏡に映るセラスから目をそらすように私は目を閉じた。
30年、40年経ったころ、私はおばあちゃんになっていく。
おばあちゃんの私の隣に立つセラスを思い浮かべる。
・・・幸せそうじゃないかしら。
そしてきっと私も、幸せだ。
だって、セラスが隣にいるんだもの。

(隣にセラスがいない未来なんて、想像できないわ)

目を開くと、髪を整え終わったセラスが私から布を外した。

「どうですか、ご主人様」
「うん、いいわ」

綺麗に整えられた髪。
嬉しそうに笑うセラス。

「セラス」
「はい、なんでしょう。ご主人様」
「ご主人様じゃないでしょ」
「・・・ア、アリシア」

名前で呼ぶことに慣れないセラス。
私としては、ベッドの中以外でも呼ぶ努力をしてほしい。

「キスして」
「はい・・・」

優しく触れたそれに、初めてのキスを思い出す。
ほだされたわけじゃない。流されたわけじゃない。
気付かないふりをしつづけた恋心を、自覚させられただけ。同じように時は刻めないけれど、私はセラスがこの腕のなかに残ればなんだっていいの。
そう言ってもきっとこのドラゴンは意味を理解してくれないだろうから、言葉にしない代わりにぎゅっと抱き締めた。

 

ひよこと俺。(Working!/さとやち)

「それでね、さとーくん」

きょーこさんがきょーこさんがきょーこさんがきょーこさんが
その言葉が右から左へ。
轟は本当に嬉しそうに口にする。
お前はこの話を何回するんだ、と言いたくもなる。
だけど、あまりに嬉しそうに話すから何も言えなくなる。

「ねぇ、さとーくん」
「ん、なに」

きょーこさんが、といつも紡ぐ口が俺の名を呼ぶ。

「いつもいつも、話聞いてくれてありがとね」
「・・・あぁ」

三歩歩くとすぐ忘れるんだろうな、こいつ。
飽きもせず、同じ言葉を紡ぎ続けるのだろうな。

「わたし、さとーくんの事大好きよ」
「・・・」

その言葉に、俺は今日もやられる。
俺もこいつも同じくらいアホなんだな。

恋ごころ、ひとつ(Working!/そうやま)

「相馬さーん」

すぐ俺の腰周りにからみつく腕。
それを見て、いつも通り俺は貼り付けた笑み。

「山田さん、俺仕事してるからさ」
「知ってます!でも山田は相馬さんにくっつきたいんです!」

純粋なまなざしで俺を見上げて、満面の笑みを浮かべる。
ああ、どうしようか。
その純粋な想いが、俺には・・・

「山田さん、あとでかまってあげるからさ」

今は仕事しておいで、と促すとしぶしぶと言った雰囲気で俺から離れる。

「あとでいっぱいいっぱい甘やかしてくださいね!」

黒髪を翻し、俺の元を離れていく。

「無邪気さが怖い・・・」

彼女が離れて、ようやく落ち着く胸の鼓動。
俺はまだ、これがなんなのか知りたくない。

あしながおじさん。(Working!/そうやま)

山田さんの行動にいちいち舞い上がったり、凹んだりする自分に気づいたのはこないだのこと。
佐藤くんにも残念ながら勘付かれているようで、山田さんがいつものごとく抱きついてきてもリアクションに困る。

「そーまさんっ!山田、おつかいにいってきます!」
「あー、気をつけてね」
「それだけですか?」

俺の言葉を聞いて、若干不満げな山田さん。
きっと俺についてきてほしいのだろう。
だけど、仕事中なわけだし、それは難しい。

「早く帰っておいでね。変な人についていかないようにね」
「はい!わかりました!
相馬さんが寂しくないように早く帰ってきます!」

元気よく返事をし、俺の苦笑いを照れ隠しかなんかと受け取った山田さんは上機嫌で出かけていった。

「相馬・・・お前のタイプと真逆なんじゃなかったっけ?」
「・・・あー、そうだね」

金髪で、巨乳で、ドSで頭が良くて・・・・
山田さんは黒髪だし、お世辞にも巨乳とか頭が良いとかいってあげれないね。

「お前と山田の年齢差、若干怖いな」

同い年の轟さんに恋しちゃってる佐藤くんにはわからないだろうけどさ。

「今の年齢差は大きく感じても、成長すればあんまり関係なくなるよ」

成長して、変わっていく彼女を見るのも楽しいだろうしね。

俺がそういうと、佐藤君は「足長おじさんみたいだな、お前・・・」と笑われた。

「俺好みに育てるよ」

なーんて言ってみたら、光源氏みたいで笑えてしまった。

無自覚にも程がある。(俺様ティーチャー/早坂×真冬)

放っておけない奴。
目を離すと何しでかすのか気になる奴。
なんだかんだで居心地が良い。

今まで、こんな事ってなかったよな。
そう思い返す自分の今までの学校生活。

隣を見れば、黒崎がいる。

「ところで、」
黒崎が綾部のところへ昼飯を食べに行っている為、
今日は由井と二人で昼飯を食べていた。

「早坂と黒崎は付き合っているのか?」
「ぐっ・・・!」
口に入れたばかりのパンが思わず口から出そうになるのをなんとか押しとどめ、お茶を一気に流し込んだ。
「慌てて食べては駄目だぞ、しっかり噛んでだな」
「おいっ!俺と黒崎は付き合ってねぇよ!」
「そうか。いつも一緒にいるからそうなのかと」
「お前だって一緒にいるじゃねぇか」
「そうか。それなら俺と早坂が・・・」
「いや、付き合ってねぇからな。俺たち。
気持ち悪い事言ってんじゃねえ」
由井がどうでもいい事を言うから、黒崎がいない事に対して違和感が生まれる。
「いつも一緒・・・か」
「なんか言ったか?」
「いや、なんでもねぇ」
そういえば、黒崎が転入してからなんだかんだ一緒にいるな。
黒崎を異性として意識した事はあまりないが、黒崎の過剰なスキンシップにはたまにどうしていいか分からなくなる。
そもそも、あいつが俺を異性として意識していないから平気で抱きついてきたり出来るんだよ。

ふ、と思い返すと黒崎が俺以外の誰かに抱きついてるのを見た事がないのに気づいた。
それって俺を意識してないから?
それとも、俺を意識しているから?
単純に見えるのに、黒崎ってよく分かんねぇ。

「あれ、忍者来てたんだ」
黒崎が教室に戻ってきた。
さっきまで一緒だったくせに、今顔を見て安心している自分がいた。
「おう、黒崎。お前が浮気をしているから早坂が寂しがっていたぞ」
「なっ!」
由井の言葉を聞いて、きょとんとした黒崎だったが、次の瞬間キラキラとした瞳になって俺に飛びついてきた。
「早坂くんっ!私いなくて寂しかったの!?」
「そんな事、一言も言ってねぇだろ!」

嬉しそうに抱きついてくる黒崎を口で言う程煩わしく思わなくなっている自分がいるなんて。

それがきっと恋のはじまり。(俺様ティーチャー/早坂×真冬)

「早坂くんは恋、したことある?」

以前、そんな事を聞いた。
今までの生活で、私は恋なんて無縁だった。
初恋の相手といえば、鷹臣くんだけど、今も変わらず好きかと言われると頷けるけれど
それが恋かと聞かれると首をかしげてしまう。

私ってまともに恋をした事がないんじゃ・・・?

放課後、風紀部の部室に行ったが、教室に忘れ物をした事を思い出し
私は一人で教室へと戻った。
その道すがら、女子生徒が男子生徒に告白している現場を見かけてしまった。
頬を赤らめて、想いを伝えるその子はとてもキラキラしていた。

私のまわりではそういうものは無縁だ。
強いて言うなら、あれだ。
「早坂くんはウサちゃんマンが好きー」
声に出してみたが、なんだか腑に落ちない。
ウマちゃんマンや夏男に向ける笑顔はあんなにキラキラしているのに、
私に向ける表情にそういうものはない。
どちらの正体も私だと分かったら、早坂くんはどうするのだろうか。
キラキラした笑顔は見れなくなるのだろうか。
それとも、私にキラキラした笑顔を向けてくれるのだろうか。

そんな事を考えていたら、教室に立ちつくしてしまっていた。
鷹臣くんにはいっぱい、いろんな女性がいる。
それを聞いても、サイテーだな、位にしか思わないけれど。
早坂くんがそうだったら、と考えたら苦しくなる。
どうして?
一番の友達でいたいから?
私が欲しいのはたくさんの友達じゃなくて、
たった一人の友情だから?

「黒崎」
コツン、と頭を叩かれて振り返ると早坂くんが立っていた。
「遅いから迎えに来た。何してんだよ」
至極当然のようにそういう彼の言葉は、時々私の心を鷲掴む。
今まで、女の子扱いされてこなかったから早坂くんのそういう行為が嬉しくてしょうがない。
二人で連れだって、部室へと向かう。
「さっきさー、告白現場見ちゃった」
「はぁ?それで遅かったのか」
「いや、そういうわけじゃないんだけど」
「ふーん」
「早坂くんは彼女とか欲しくないの?」
横顔を見れば、いつもの表情。
キラキラした笑顔はない。
早坂くんの隣を誰かに奪われる日は来るのかな。
キラキラした女の子とか。
出来れば渡したくないな。
「今はそんな事考えてないな」
「・・・だよね」
その言葉に少し安堵する。
「お前といる方がきっと、悪くねーと思うから」
思わぬ言葉が飛んできて、思わず早坂くんの顔を見上げた。
耳まで赤くなった彼が、やっぱりなんだか私の心を鷲掴んできて。
「なんだよ!」
あまりに嬉しくて、いつものように抱きついた。

ああ、この距離を誰にも渡したくないなって思い始めた自分の心は今まで知らない世界だった。

遅れてきた恋心(俺様ティーチャー 桶川→真冬)

昔から勘が良いと分かっていた。
根拠がなくても、自分の直感を信じていれば大抵の事はやってのけられた。
だから、なんとなく分かってしまった。

夏男の正体が、モールス・・・黒崎真冬だという事に。

「あ、番長っ!」
「おう」

たまたま廊下でモールスと早坂に遭遇した。
普通の女は俺を見かけても、そんな風に笑わない。
だからなんとなく、モールスはトクベツなんだと思っていた。
モールス=夏男と分かってからはやっぱりな、とストンと気持ちが落ち着いた。
それから、彼女が俺を友達だと認識している事。
それを早坂に邪魔されて、すっげーむかついた事。
下まつ毛が、なんだかモールスと仲良さげな事。
色んな事が俺の心の中でぐちゃぐちゃになっていた。

「番長、今日は忍者特訓やるらしいんでジャージですよ!」
「あ?なんだよ、それ」
「忍くんがたまにやりたがる忍者特訓です。
結構楽しいんですよ~、手裏剣投げたり、池の上歩いたり!」
「池?」
「こないだ由井が落ちたよなー」
早坂も以前の特訓を思い出したらしく、会話に混ざる。
「あー、覚えてたら行く」
「分かりましたー!絶対来てくださいね!」
それじゃ、と二人と別れて、俺はまた歩き出した。

早坂くんに忍くん。
で、俺は番長か・・・

距離が近いんだか、遠いんだか分かんねぇ。
佐伯と付き合っているんじゃないかという疑惑の時も混乱した。
下まつげといい感じの時も混乱した。
モールスが誰かのものになるという事が嫌なのか。
友情とはそういうものか?
あー・・・でも。
モールスが笑ってくれると、胸が苦しくなる。

「なんだよ、これ」

「桶川さん、遅れてきた初恋かなー」
「え?何が?」
「いや、なんでもない」
桶川番長が顔を赤らめて、あわあわしている姿を見て
2トップはなんだか親心みたいなものを感じていたり。

それを恋って言うんです。(俺様ティーチャー/桶川→真冬)

「桶川さん!聞いてますか」
後藤が少し大きめの声を出して話しかけても、なんだか上の空。
まぁ、おおよそ察しがつくんだけれど。

「桶川さん、最近ある人物の事を考えてませんか?」
「ばっ!別に俺はモールスの事なんかっ・・・!」
真っ赤な顔をして、桶川さんが俺に反論する。
ほら、あたり。
桶川さんはどうやら恋をしたようだ。
おそらく初恋。
高校三年生にもなって初恋だなんてピュアにもほどがある。
威厳のある番長のくせに、その姿は小学生より遅れている。
「たとえば、その人が自分以外の人と楽しそうにしてるのとか想像してください。
どんな気分ですか?」
後藤が何言ってるの?という顔をしてこっちを見ている。
桶川さんは想像しているらしく、表情が一気に暗くなった。
「逆に、その人が自分と一緒にいて楽しそうにしているのを想像してください」
今度は一気に耳まで赤くなった。どんな事想像してるんだか・・・
「嬉しいでしょ?桶川さん」
「・・・、なんだよ。それがなんだって言うんだよ」
「なんだと思います?」
ニコリとほほ笑むと桶川さんが嫌そうに顔をしかめた。
「内緒です。」
「は?」

「よう、モールス」
「番長!」
たまたまコンビニを出たところでモールスに出くわした。
「アイス、食うか?」
「え、いいんですか!」
以前もそんな会話をした事を思い出した。
あの時も同じようにモールスは嬉しそうに笑っていた。
こないだ、河内に問われた事を思い出す。
モールスが自分以外の誰かと一緒に・・・
いや、いつも早坂とか一緒にいるだろ。
それを嫌とは・・・
まぁ、早坂が余計な事を言ったりしなければ。
でも、できれば一緒にいたい・・・と思っている。
それが何なのか、分からないんだ。
「モールス」
「なんですか?」
シャリ、とアイスを齧る音が聞こえる。
「お前は誰かの事考えて、そいつが自分以外といるのが嫌だったり、
自分がそいつと一緒にいたいとか・・・こういうのどう思う?」
「え、えーと?」
一気にまくしたてるように話すと、モールスは少し考えてからこう言った。
「それはきっと、恋ですね!(確か前に雑誌で読んだ!)」
「こ、こいっ!??」
「そうですね」
また、シャリとアイスを齧る。
その横顔に思わず見とれた。

これが恋。
恋?
恋ってあの、男と女がお花畑で手を繋いで遊んだり、とかの恋?

「番長もアイス食べないと溶けちゃいますよ?」
は、として手を見ると少し溶け始めたアイス。
急いで齧るとモールスが齧ったときのようにシャリ、という。
「うまいな」
「ですねー」
この時間が少しでも長く続けばいいと願う事が、恋なんだな。

優しくありたい(暁七)

「ふぅ・・・」

時計を見ると、確認してから2時間くらい経っていた。
両手を組んで、前のほうにぐっと伸ばす。

「順調か?」
「暁人」

テーブルに湯のみとお茶菓子を置いてくれる。
今日は暁人がお休みの日だけど、毎日勉強するようにしている日課を大事にしろと言ってくれたのでいつも通りの時間に勉強をしていた。

「ありがとう」
「おまえの集中力、すごいな」
「・・・そう?」
「ああ、だっていつもなら俺が台所でなんか作ってたら寄って来るだろ?」
「それは・・・暁人が作るものが美味しいから」
「ん」

くしゃりと私の頭をなでると、暁人は優しく笑った。

「暁人、それ食べてもいい?」

暁人が用意してくれたお茶菓子は見たことのないものだった。
どんな味がするんだろうと想像するだけでわくわくする。
許可を求めて暁人を見つめると、暁人は少し頬を赤らめた。

「ああ、食べてくれ」
「いただきます」

半透明なかたまりに黒蜜ときなこがかかっているそれに楊枝を挿すと、そのまま口に入れる。
噛むと弾力がしっかりとあるのに、黒蜜ときなこが存分に甘味を与えてくれている。
なんといえばいいのか分からないけど

「すごく美味しい」
「そうか・・・!」
「うん、甘くてすごく美味しい!」
「お前、頭つかってるだろ」

次の一口を口に運ぶと、暁人はさっきよりも優しく私の頭をなでる。
よしよし、と子どもを甘やかすような仕草だ。
・・・私は、あまりそういうことをされたことはないけれど街でお母さんが子どもにしてあげているのを見たことがある。
そういう穏やかさを、暁人から感じる。

「頑張って勉強してたご褒美だ」
「ありがとう、暁人」

褒めてくれたり、ご褒美をくれたり、何かいけないことをしたら叱ったり、心配してくれたり。
暁人は今まで私が経験したことのないものを与えてくれる。
私は暁人に普通の愛情を返せていないんだろう。
普通、というものが分からない。だけど、暁人がこうやって優しくしてくれるように私も暁人に優しくありたい。

「暁人、はい」

最後の一口を楊枝に挿すと、暁人の口元へ運んだ。

「お、おい・・・!」
「はい、暁人」
「・・・あのなぁ」
「暁人」
「・・・」

何か言いたそうに眉間に皺を寄せるが、引かない私に暁人が折れた。
しょうがなさそうに口を開くと、私はそこに最後の一口を入れた。

「美味しい?」
「・・・ああ、もう少し弾力控えてもいいかもな」
「でも、美味しい」
「そうか」
「これ、なんていうの?」
「葛餅っていうんだ。ほら、昔桜餅つくっただろう?」
「うん、可愛かった」
「あれからちょっと、和菓子も良いなってちょっとずつ勉強してるんだ」

暁人は暁人で頑張っている。
私も私で頑張っている。
私は暁人の頭に手を伸ばすと、さっき暁人がしてくれたように頭をなでた。

「・・・っ」
「暁人はえらい」
「・・・ありがとな」
「うん」

暁人は目を閉じると、そのまま私に頭をなでられ続けた。

 

二人でいられる喜びと、二人が寄り添える距離。
優しくされたいし、優しくしたい。
暁人がいるから知れたこと。
このぬくもりが、いつまでも傍にありますように。

貴方はもういない(小ヴィル←ニケラン)

ニケ√後のお話。

 

 

 

 

いつもよりはやく目が覚めた。
まだ薄暗い外を見つめると、ここに来たのがつい最近のように思えた。
ニケと一緒に外の世界を知り、そうして二人で暮らし始めた。
はじめの頃は慣れないことも多くて、二人であくせくとした日々を送っていたけれど
ようやく落ち着いてきた今では、その日々さえも懐かしく感じた。

(・・・ヴィルヘルム)

名前を呼ぶ。

(・・・ヴィルヘルム、ヴィルヘルム)

ただ、何度も名前を呼ぶ。
いないと分かっているけれど、呼ばずにはいられなかった。
私を救ってくれたヒト。
私を、傷つけたヒト。

 

 

「ラン、どうしたの?」
「ごめんなさい、起こしちゃった?」

不意に後ろから優しく抱き締められる。
ニケの体温は私より少し低い。
その腕のなかは酷く心地よくて、甘えるようにその腕に触れた。

「まだ起きるには早いよ、寝よう」
「うん、そうだね」

二人でベッドに再びもぐりこむと、ニケは私を抱き締めたまま目を閉じた。
私も同じように目を閉じる。

 

怖くて怖くて仕方がなかった。
魔剣にとらわれてしまった私と、その魔剣であるヴィルヘルム。
怖かったのに。
呼びかけても必ず応えてくれたわけじゃない。
どうしてだろう。
ヴィルヘルムと一緒にいた日々は、温かかった。
優しいことばかりじゃなかった。
泣きたいことも、逃げ出したいこともあったけど、ひとりじゃなかったから。

 

(ヴィルヘルム・・・)

最期の別れのときの彼の涙が忘れられない。
目を開き、私の傍にいるニケの顔を見つめる。
私は、ニケを選んだんだもの。
ニケとの生活は穏やかで、幸せだ。

(ヴィルヘルム・・・)

 

ただ。
ただ、もう一度あなたに会いたかった。

お菓子よりキミが欲しい(アキアイ)

俺が子どもの頃は、この季節が来ても今みたいに賑わっていなかった気がする。
学校の帰り道、すっかりハロウィン一色に装飾された街を見てそんなことを思っていた。

「どうかした?アキちゃん」
「んー、ハロウィンだなぁって」
「そうだね、いっぱい可愛いものあってウキウキしちゃうね」

隣を歩く可愛い恋人は、お気に入りのお店がハロウィン仕様になっていることに顔をほころばせていた。
うーん。可愛い。

「ねえ、アイちゃん。今日家に寄っていってもいい?」
「うん、いいよ」

警戒心なく、俺を家にあげることにしちゃうアイちゃん。
他人との距離を露骨にとる彼女にとって、俺はようやく安全圏に入ったんだ。
小さい頃とは違って、アイちゃんの手だって身体だって、俺より小さい。
少しずつ、それを理解していってもらう。それが今の俺の目標だ。

 

 

 

 

家につき、リビングのソファに座る。
部屋に上がろうといってくれたけど、まだ誰もいないアイちゃんの家で、アイちゃんの部屋で二人きりはちょっと刺激が強すぎるから辞退させて頂いた。
ダイニングキッチンだからアイちゃんがお茶の用意をしてくれてるのが見えるからちょっと幸せ。
あー、将来こうやってアイちゃんが俺のためにご飯とかつくるのを見て幸せ感じるんだろうな。

「アーイちゃん」
「きゃっ、どうしたの?」

お茶を用意するアイちゃんを後ろから抱きしめる。
ぴくりと跳ねる身体はやはり小さい。

「今日はハロウィンだね」
「うん、そうだね。だから・・・」
「アイちゃん、トリックオアトリート」

耳元でささやき、アイちゃんの耳たぶを軽く噛む。
頬があっという間に真っ赤になる。ああ、やばい。俺の馬鹿。
幸せ感じて、ちょっと触りたくなってしまった。
ちょっとじゃ、我慢できなくなりそう

「はい、アキちゃん!」

抱きしめる腕から逃げると、アイちゃんは俺の口に何かを無理やりねじ込んだ。
もぐもぐと食べると、カボチャ味のマフィンだ。

「・・・えと、今日ハロウィンだから一緒に食べようと思って作ってあったの」
「あー・・・」

真っ赤な顔で視線をさ迷わせているアイちゃんを見ながら、口の中のものを咀嚼する。
カボチャ味って美味しいから結構好き。
俺と食べるために用意していてくれたっていうことも凄く嬉しい。ごくん、と飲み込むと用意していた紅茶をそっと手渡してくれた。

「いたずら、出来ないね」
「・・・っ、アキちゃん」

そこまで考えてなかったらしいアイちゃんが可愛くて、吹っ飛びそうだった理性をなんとかつなぎ止められた。
紅茶を一口飲むと、なんだかおかしくて笑みが漏れた。

「俺、アイちゃんには敵わない気がする」
「え?」
「ねぇ、アイちゃん。
俺にも言ってよ、トリックオアトリートって」
「ト、トリックオアトリート」
「うん、はい」

促されるがまま言葉にしたアイちゃんに、俺はポケットにしのばせていたものを手渡した。

「アキちゃん、これ!」
「開けてみて」

小さな包みに入っているのは、アイちゃんの好きな雑貨屋さんのハロウィン限定ストラップ。
欲しそうに見つめていた姿が可愛くて、アイちゃんの目を盗んで買っておいたのだ。

「ありがとう、アキちゃん!」
「あー、でもそれお菓子じゃないから俺に悪戯してもいいんだよ?」

にこりと笑うと、アイちゃんは少し悩んで俺の頬に手を伸ばした。
軽くつままれ、これが悪戯か・・・アイちゃんの悪戯はやっぱり子どもみたいで可愛い。
完全に油断していると、唇にやわらかいものが触れた。
それは一瞬のことだったけど、目の前の恋人が真っ赤な顔をしているから勘違いじゃない。

「アイちゃん・・・!」
「い、いたずらだから!驚かないと悪戯にならないでしょう?」

アイちゃんからキスされるなんて予想していなかったから喜びと驚きが混じってぐちゃぐちゃだ。
たまらなくなって、思わずしゃがみこむ。

「え?アキちゃん!?どうしたの?」

突然しゃがみこんだ俺にびっくりしたらしく、アイちゃんも俺の前にしゃがむ。
我慢できなくなって、アイちゃんをぎゅっと抱きしめた。
ああ、もう。

「アイちゃん、大好き」

【プレイ感想】魔女王

ロゼゲーを全然知らない頃にフォロワーさんがプレイした感想をみて「ちょwww」ってなってた魔女王をプレイしました~!
本当ならPSVitaが出たであろう日らへんからプレイを始めました。
アトラスとエドガーのせいでプレイを途中であきらめた人!
ぜひとも諦めないでプレイしていただきたいです!!
それではキャラ別に感想を。(プレイ順に感想を書いていきます)

 

エドガー

立木さんって結構色々なナレーションをされているんじゃないかと思うのですが、正解ですか?
あ、この声知ってる!!みたいな気持ちになります。
でも、渋すぎだった気がするw
記憶を失っていない幼馴染なので、最初の頃はローズも「あ、覚えてくれてたんだ」っていう安心感もあり、順調に恋していきます。
でもな。置き引き犯をボーガンでうったり、魔力封じるアイテムつけてきて、監禁しようとしたり・・・と好感度がめっちゃ下がりましたwww

アトラス

記憶を失った幼馴染。
最初から殺す殺すと斬りかかって来るので、全然話し聞いてくれない。
でもラッキースケベ枠なのか、胸に顔うずめたり、膝枕してもらったりと結構いちゃいちゃ。
そしてある日好きだと告白され、キスされ・・・その後からだの関係にもなるわけですが。
「本当に俺のこと好きなのか?」みたいなことを何回もいうし、されるし、本当にめんどくさかったです。
幼馴染ってなんだーろなー

 

ドロップ

幼馴染二人に心を折られた私を助けてくれたのはまさかの魔法使いでした。
ドロップ!!ドロップ√のローズ可愛い!!言い合いを楽しんでるんですよね、お互い。
なんで素直になれないんだろう、ばか!みたいなケンカップルというより、その言い合いも含めて楽しんでるというか・・・
良かったです。二人で星眺めたり、転がっちゃったり。良かった・・・
監禁しようとしたり、疑心暗鬼にならないドロップさん。良かった!

 

レオンハルト

ある日突然宝箱に入って送られてきた王子様。
なんだ、こいつ?ってなっていたのですが、レオンはローズと結ばれない限り(あとメルヴィン√)以外幸せな未来は待っていない気がします。
妾の子だからと国でもいらない存在とされ、魔王の生贄におくられるまえは様々な場面で人質として使われて、自分にはそういう運命しかないと諦めているような人でしたね。メルヴィン√の「きみの王子様になりたかった」でぐっと来ました。
ああ、レオン・・・

 

サミュエル

CV諏訪部の力・・・!!ローズの教育係としてずっと傍にいた人です。
サミュエル√のローズは、サミュエルに振り回されて赤くなることが多くて可愛かったです。
でもごめん、サミュエル。マリオンにばかり気持ちがいってしまい、あまり覚えて無い!

 

マリオン

待ってました。主従カップル。
アトラスが記憶なくしたのはマリオンのせいで、マリオンはローズのことを思ってやったし、自分のことも考えてやっちゃったんだけど、そういうマリオンが好きです。
マリオンは貧しい家庭で育って、ある日親に売られてしまうわけですよ。
そこで一人で生きてきた中、ローズに気に入られてお城に来て、少しずつローズに心を開いていきます。
もうね・・・好きだよね、そういうの!!ローズに必要とされたいから色々しちゃうわけですが、それくらい許すよ!
だってアトラス好きじゃないもん、私!ってなってました(笑
あと、BADENDのゲス顔が忘れられないですwwwマリオン

 

メルヴィン

基本的にチャラ男枠というか女慣れしてます、俺!みたいな感じのキャラに興味がないのですが、メルヴィンめっちゃよかったです!!
メルヴィンが真相√みたいなものなんですよね。
エドガー√で、魔物を操っていたのはメルヴィンでメルヴィンはドラゴンでした~っていうのがわかっていたので、最後に回すべきかな・・・と思っていましたが本当最後にした方が良いです、絶対。
操って楽しんでいたという気持ちもありますが、ドラゴンを倒すことによってドラゴンスレイヤーの称号を得たアトラスをきっかけにドラゴンを倒そうとする人間が増えたということが彼の怒りです。それよりも面白そうっていう気持ちからはじめるんですが、結構はやく改心してくれます。
ローズ父母を見てきていたからなのか、結構あっさりメルヴィンはローズの味方してくれます。
もうね、頼りになるなる!!めっちゃなる!他のどのキャラよりも頼りになる!さすがドラゴン!!
そして思いのほか手が早くないのも良かったです。あと、「名前を呼んで」「メルヴィン・・・」「もっと呼んで」「メルヴィン、メルヴィン」って何回もやって「しつこい」(だったかな?)って怒られるのもよかったですwww
ベストENDのメルヴィンのプロポーズに対するローズの答えも良かった・・・!

 

全√攻略後

ローズが生まれた頃のお話が見れます。
ローズ父とローズ母の姿が苦しい。
なんで嫁を生贄に差し出すことにしていたのか、それはわからないままです。
子どもが生まれ、ローズが大きくなる頃にはもういない。
自分の傍にはいないんだ・・・ということを父だけは知っているし、その原因は彼にあるわけで。
すまないって言葉が痛いです。
母は何も知らないから未来に想いをはせて笑うんですよね。
子どもが出来て、初めて情というものを理解したのかもね、パパ。
それを考えると悲しくて泣きました。幸せな未来もあったのかもね・・・

 

お留守番(ヴィルラン+子ども)

「本当に大丈夫?」
「あー、そんなに心配すんなって。
ヴィオレッタだって大丈夫だって言ってただろ?」

出掛けるぎりぎりまで心配そうな顔のままだ。
今日は久しぶりにユリアナたちと会う約束は前からしていたんだ。
風邪が治りきらないヴィオレッタを残して出掛けることが心配らしく、行くのをやめようか散々悩んでいた。
そんなに俺が信用なんねぇのか、と言うとようやく出掛ける決心がついた・・・のに、また心配そうな顔になった。

「うん、そうだけど・・・。夕方には戻るから」
「ん。ユリアナによろしくな」
「うん、分かった。ロニ、行こう」
「ヴィルヘルム!母ちゃんのことはまかせとけっ!」
「あー、母ちゃんのこと頼んだぞ」

頭をぽんぽんとなでると、俺に見せ付けるようにランの手を握った。
二人が出掛けていく姿を見送るとリビングに戻った。

「ヴィオレッタ、大丈夫か?」
「うん、だいじょうぶ」

リビングのソファで、毛布を頭から被ったヴィオレッタの横に座る。
甘えるように俺の膝に顔を乗せてくるので、毛布の上から頭をなでてやる。
普段から甘えたがりだけど、やっぱり病み上がりだからだろう。
いつもよりべたべたとくっついてくる。

「えへへ、お父さんとおるすばんだね」
「ちゃんといい子にしてないと母ちゃんが心配するんだからな」
「うん!ヴィオレッタ、良い子にしてる!」
「うし、えらいぞ」

昼になったらご飯を食べさせて薬を飲ませること。
出来る限り安静にさせること。
ランに何度も何度も言われたから頭にばっちり入ってる。

「お父さん」
「ん?どうした?」
「お父さん、絵本よんでほしいの」
「あー、いいぞ」
「やったぁ!じゃあもってくる!」
「いや、父ちゃんが取ってくる。何が読みたいんだ?」
「んーとねー、シンデレラ!」
「りょーかい」

ヴィオレッタをどかし、子どもたちの部屋に絵本をとりにいく。
何冊かある本のなかから目当ての本を見つけて手に取った。
俺が小さい頃、本なんて読んだかどうか定かじゃない。
自分の昔の経験なんて子育てのどこにも役立たないということは子どもたちが生まれる前から分かっていた。
それがランの負担になるんじゃないかと少し考えたこともあったが、考えるだけ無駄からやめた。
俺がしてやりたいように子どもたちには接すると決めたし、ランもそれが良いと頷いた。

「これか?」
「うん、それー!」

本をヴィオレッタに見せると嬉しそうに頷いた。
ソファにもう一度座り、膝の上に毛布ごとヴィオレッタを乗せる。
それから本を開いて読み始めた。

 

 

継母やら義理のねーさんにいじめられたシンデレラが魔法使いの手によって舞踏会にいって王子様に出会うっていう話だ。
これのどこが面白いんだか全くわからないが、読んでいる間ヴィオレッタは楽しそうに聞いていた。

「シンデレラは王子様と幸せに暮らしましたとさ。
めでたしめでたし」
「めでたしー!」

 本を閉じ、ヴィオレッタの額に触れる。
少し熱い気もするが、子どもの平熱は俺やランよりも高いらしい。
許容範囲だろう。
時計を見ると、昼過ぎだった。

「はら減ったか?」
「うん!」
「じゃあ母ちゃんが作ってくれた飯、食うか」
「うん!」

面倒なので、ヴィオレッタを抱えたままキッチンにランが用意してくれてある昼食をとりにいく。
食べやすいように、とサンドイッチとスープだ。
コンロの火をつけてスープを温めつつ、サンドイッチとヴィオレッタをリビングに運ぶ。
しばらくして温まったスープを器によそい、ヴィオレッタのもとに運ぶ。
向かい合わせに座り、いただきますと二人で手を合わせた。

「ねえ、お父さん」
「んー」
「お父さんとふたりっきりってわくわくするね!」
「ん?そうか?」
「うん!ヴィオレッタ、うれしい!」

サンドイッチを頬張りながら、ヴィオレッタは笑った。
あー、やっぱりランの娘だな。
そういう表情が、すっげー似てる。
口元についたマヨネーズをとってやると、また嬉しそうに笑った。

 

食べ終わって薬を飲んで少しすると、眠そうにうとうととし始めた。

「ちょっと寝るか?」
「んー・・・」

頭をくしゃりとなでてやると、こくりと頷いた。
抱きかかえて子どもたちの寝室に運び、ベッドに寝かせると俺の服をぎゅっと握った。

「おとうさんも、いっしょに寝よ?」
「ああ、いいよ」

ヴィオレッタの隣に入り、頭を出来る限り優しくなでる。

「ヴィオレッタ、お母さんみたいになりたいの」
「ランみたいに?」
「お母さんの髪、すっごくきれいなのに。ヴィオレッタの髪、かわいくないの」「んーそうか?俺は可愛いと思うぞ」

くしゃくしゃとすると、疑いのまなざし。
あー、たまにランもそういう顔するする。

「ヴィオレッタはランの娘なんだから将来綺麗になるぞ。だから大丈夫だ」
「・・・ほんとう?」
「ああ、本当だ」
「えへへ、よかった。
じゃあ、アサカちゃんも・・・」
「ん?アサカ?」

どういう意味だ、とヴィオレッタに尋ねようと顔を見ればもう夢の世界だ。
すやすやと気持ち良さそうに眠り始めた。

「・・・アサカってどういうことだ」

腑に落ちない気持ちになりながら、ヴィオレッタの寝顔を見つめていた。

 

 

 

 

 

 

「ただいまー」
「ただいま!ヴィオレッタ!帰ったぞ~!」

15時過ぎ。
やっぱり心配で予定より早めに家に戻ると、リビングには二人の姿がなかった。
ロニもヴィオレッタが心配だったようでばたばたとリビングに駆けていくが、二人の姿がなくて首をかしげる。
もしかして、と思い子どもたちの部屋へ行くと二人の姿はあった。

「ヴィ・・・」
「ロニ、二人とも寝てるみたいだから静かにしよう」
「・・・うん」

おだやかに眠る二人の姿を見て、幸せな気持ちになりながらドアを閉じた。

 

おやすみのキスをして(ヴィッダー×リーザ)

私の村で生活するようになって数ヶ月経った。
来たばかりの頃は住む場所もなくて、私の家に一緒に住んでいたけれど落ち着いたら一人暮らしをすると言っていたヴィッダーだけど・・・
夕食はしょっちゅう私の家に食べに来るのが習慣になってしまったようだ。
お母さんはヴィッダーを私の恋人と勘違いしているらしく、気にしないでいいと笑っている。

「ヴィッダーってあんまりお酒呑まないわよね」
「んー、まぁたしなむ程度には呑むけど」
「ふーん」

夕食も入浴も済ませ、もう寝るだけ。
お母さんはもう自室に戻っていた。
リビングで私たちはホットミルクを飲んでいた。
夜だというのに、色気がないなぁと思ってつい口に出た言葉だった。

「何?あんた、呑みたいの?」
「いや、私はいらないけど」
「けど?」
「ホットミルクだなんて色気がないじゃない」

口に広がる甘ったるい味。
甘いものは疲れにきくという言葉を信じて、砂糖を多く入れすぎてしまう。
一口飲むと、ヴィッダーが私を見つめていた。
村の夜は早い。
きっと今、外に出たとしても明かりがついている家はほとんどないだろう。
私たちだって明日も朝から畑仕事があるんだから早く寝ればいいのに。
こうやって夜、一緒に過ごす時間が実は結構好きなのだ。

「眠れないっていうジュールにホットミルク飲ませたこともあったなぁ」
「ヴィッダーが用意してあげて?」
「あぁ。それで飲んでる最中に眠るからホットミルクが零れて床がびしゃびしゃになるわで災難だったな」「ふふ」

その光景が想像ついて思わず笑ってしまう。

「そういえばさ、最近寝付き悪いんだよなぁ。俺」
「え、そうなの?」

そんな風には見えないから驚いてしまった。
くすりと笑うと、ヴィッダーの手が私の頬をなぞる。

「そう。だからさ、俺にもしてくれない?」
「・・・なにを?」
「あんたが、ジュールにしてやったこと」

頬をなでていた指が私の唇をなぞる。
ぞくり、と肌が粟立つ。

「何言ってるのよ」
「なぁ、駄目?」
「駄目に決まってるじゃない。キスは恋人同士がするものでしょう」

こう見えても恋に夢見る乙女だ。
ジュールとのキスは・・・なんというか、まぁ事故だったのだ。
それに生命の危機もあったんだから仕方がない。

「ふーん」

指が私から離れると、残っていたホットミルクを飲み干してヴィッダーは席を立った。

「ご馳走様」
「・・・帰るの?」
「うん、もう遅いしな」

ヴィッダーの背中を追うように私も玄関まで移動する。
ドアノブに手をかけ、ヴィッダーが振り返った。

「それじゃあまた明日」
「ええ、また明日」「あ」

何かを思い出したようにヴィッダーが立ち止まる。
ドアから手を離すと自然な動作で私を引き寄せて唇を重ねた。

「・・・っ!?」

驚いて瞬きさえ出来ない。
唇が離れると、ヴィッダーはにやりと笑った。

「おやすみ、いい夢見れそうだ」
「なっ・・・!!」

逃げるように家を後にするヴィッダーの背中を追うことも出来ず、私は玄関で立ち尽くした。
ああ、もう・・・

「・・・キスは恋人同士がするものだって言ったじゃない」

私たちは、恋人同士じゃないのに。
恋人とする前に恋人じゃない異性とのキスの回数ばかり増えていく。
乙女として、それはどうなんだろうかとため息をつきながらもヴィッダーからのキスが嫌ではない自分に驚きながら唇をそっとなぞった。

看病(寅撫)

勝手知ったる他人の家とはこの事だ。
私は今、トラの家の台所にひとりで立っている。
鍋の火を弱火にして、お玉でかきまぜる。
お菓子作りは好きでよくクッキーを焼いたりするけれど、あまりおかゆなんて作ったことがないから少し心配だ。
だけど、珍しく熱を出しているトラのためにと決意を新たに溶いた卵を流し込んだ。

 

 

 

部屋に入ると、音に気付いたんだろう。トラがうっすらと目を開けた。

「具合、どう?」
「んなもん、大丈夫だよ」

起き上がろうとするトラのすぐ傍に膝をつき、おかゆが乗ったお盆を傍らに置く。
トラの背中にそっと触れると、まだ身体は熱い。

「おかゆ作ったんだけど、少しは食べられそう?」
「あぁ、食う」

身体を起こすのも辛そうだけど、少しでも食べて薬を飲まないことには熱も下がらないだろう。
器によそって、トラに渡そうとすると熱で潤んだ瞳で私をじっと見つめてきた。

「どうしたの?」
「オレ、病人だしよ。食わせてよ」
「・・・っ、な!?」
「たまにはいいだろ?」

熱があろうとトラはトラだ。
困る私を見て、楽しそうに笑う。
トラに渡そうとした器は私の手の中だ。
病人なんだから仕方がない・・・私は意を決しておかゆを一口分すくった。

「・・・はい、トラ。あーん」
「・・・っ」

自分から言い出したくせに。
まさか私がやると思わなかったんだろう。
トラの頬がさっきより赤くなった気がした。多分それは熱のせいだけじゃない。

「ほら、はやく」

口元までレンゲを運ぶとトラはようやく口を開いた。
ひな鳥に餌を与えるような気持ちになりながら、トラの口におかゆを運んでいく。

「・・・うまいな」
「本当?良かった」

トラはそれ以降何も言わないで黙々と食べ続けた。
おかゆを食べ終わり、薬を飲むともう一度横になる。
トラの額に触れるとやっぱりまだ熱い。
濡れタオルでも用意した方が良さそうだ。
食器をさげにいくついでに用意をしようと思い、立ち上がろうとすると私の手をトラが掴んだ。

「どうしたの?」
「なぁ、撫子」

トラが触れている部分が熱い。
私を見上げる瞳が、どうしようもなく愛おしい。

「こういうこと、されたことないから分かんねーけど・・・
おまえがいてくれてよかった」

トラのおうちには両親がいない。
年の離れた弟たちと、トラのおじいさん。
風邪で寝込んでも看病というものをされた覚えがないんだろう。
私の腕を握るトラの手に、そっと触れる。

「私はあなたの傍にいるわ、ずっと」
「ん・・・」

薬が効き始めたからか、安心したようにトラはうとうととし始めた。
その様子を見守りながら、私は彼の手を握った。
同い年だけど私よりずっと大人っぽい部分があるトラ。
でも眠る姿を見るとあどけなくて可愛い。

「トラ、はやく良くなってね」

眠るトラの額にそっとキスを落とすと、自分でしたくせに恥ずかしくなって頬が熱くなった。

8~10月プレイ状況

積みゲーの数が50を超えたことに恐怖を覚え始めました。どうも暁です。
年内楽しみにしている乙女ゲームはBad Appleだけかな~というところなので、積みゲーをせっせとプレイしていきたいと思います!
ひとまず8月~10月現在までのプレイ感想を。本数が思いのほか多かったので、ざっくりになります~!

 

 

絶対迷宮おやゆび姫

花梨さんゲームはミステリア以来ですね。童話モチーフということで楽しみにしていました!
絵も雰囲気も童話の世界・・・!という感じだったので、童話好きな方は楽しめるんじゃないかな~?個別√はいるまでとんでもなく長いので、私はつらかったですが・・・笑
でもヒロインに声つきはやっぱり良いね!デフォ名呼びじゃなかったのが残念だったなぁ~と。
マッチ売りと裸の王様が好きです!

 

スクール・ウォーズ

都丸!!
私は都丸が大好きです!!!報酬はキスね!って言ったせいで、距離のつめかたわかんなくなっちゃう都丸が大好きです。卒業戦線で一緒に温泉入るイベントが一番好きです。
今までやったロゼの中で一番エロいなというのが私の感想です笑

0時の鐘とシンデレラ

攻略キャラ6人×3・・・終わりが見えないなって思っていたんですけど、結構さくさくプレイできました~。フルコンしても30時間いかなかったような?私は大満足です!
オデットに関しては、チャンスが一番好きです~!
トカゲの姿で様子見に来てくれたり、喧嘩した後の仲直りが美味しい。そして一瞬かいまみえるヤンデレの香り。
チャンスめっちゃいい!!ってなりました!笑
ロイも好きだし、シリウスも好きだし、グラスも好きだし・・・
ロザリアはオズウェルがめっちゃタイプです。告白されて赤くなるシーンが最高に好きです。
エリーゼはアスティンですね!!おばけ可愛いし、アスティン可愛いし!!レイナルドも好きです。
エリーゼが一番ストーカー多いよね、攻略キャラに笑
鐘シンについては別途プレイ感想書ければ書きたいです。

 

ウィル・オ・ウィスプ

昔のゲームということもあり、効果音やらBGMが緋色の欠片が多くて、そのせいで集中できないことが多々ありました。
モチーフは好きな感じでしたが、小さい頃からずっと一緒にいたエミリーより、その後に出会った相手を選ぶのがなんとも・・・
あんなにエミリーエミリー言ってたのになぁ・・・。

 

ディアラバMB

ついに終わったー!!!結構前からちまちまやりつつ、なかなか進まないでいたのですが終わりましたっ!!!
レイジさん凄い好きなんですけど、どうすればいいですか??
無印のときからレイジさんがディアラバの良心だと思っていました。(毒は盛るけど、暴力ふるわないし!!)
無神家はユーマが好きです。ユーマのテーマソングが好き。
レイジさんのテレ顔とか詰めの甘さとか色々可愛かったです。レイジさん!!

 

レンドフルール

プレイ感想を書いたので、割愛します。
レオンが好きです。

 

源氏恋絵巻

プレイ感想を書いたので、割愛します。
紫が好き!!でも、常盤も好き!!!

 

ゆのはなSpring!

直昌様!!あざとい杉山さんに心を持っていかれました笑
カップリングとしては金ちゃん×ゆのはかな~。幼馴染可愛い!!
でも、高平も好きです。てへぺろ☆って感じですよね、彼は笑

 

アラビアンズ・ロスト

マイセンマイセン!お金貸して!!
ということで、大陸シリーズですね。移植来るまで待とう~でも全然来ないからいいや、買っちゃえ!って言って買いました。
このときはロゼがなくなるなんて思ってなかった。つらい。
カーティスは本当に好みな石田ボイスだったのでそれはもちろん好きです。あのカーティスがこんなに恋するの??
アイリーンすげえ!!ってなったんですけど、最終的にタイロンに落ちました。
だってタイロン可愛いよ??「お嬢!」ってかわいいし、幼馴染3人のエピソード可愛いし、全力で可愛いよ??
タイアイください。

Jewelic Nightmare

宝石の世界?をもっと掘り下げて欲しかったな~。
題材としては面白そうな感じだったのに、もったいなかったと思います。
ショタっこが好きだったな!!

 

アラビアンズ・ダウト

アラロスの流れからアラダウを開始。
ロベルトのベストEND以外のひどさに呆然とした。
え?ロベルトってそんな事するの??え??ってなりました。ロベルト好きなのにな~。
カーティスとタイロンが、好きです。相変わらず。
タイロン良かったよ・・・タイロン。個人的にはスチュアートはもっとエッチくてもよかったな!!

 

Rewrite

乙女ゲームではないですが、ゲームやアニメをチェックする人なら必ず知っているんじゃないかと思うくらい有名だと思っています。
keyの作品です。もうね、小鳥ちゃんがめっちゃくちゃ可愛いのです!!
小鳥ちゃん幸せにしたい。煽り文からタイムリープものなのかな~と思っていたら違ったんですけど、凄く面白かったです!
田中ロミオさんが参加しているので、あの方の雰囲気が如実に出ています。
私は田中ロミオさんの作品好きなので、うわぁー!!ってたぎりました笑
今までのkeyはバトル物はないかと思うので、凄く面白かったです!バトル物大好きです!!
そして、小西さん好きな方はぜひっ!!!某ヒロインの執事である咲夜がとってもかっこいいです。

不意打ちのI love you(夏深)

隣にいる夏彦をちらりと見る。

「どうした、深琴」
「ううん、なんでもないわ」

人混みの中。
すれ違う女性が、ちらちらと夏彦を見る。
絡めた指先の熱が私と夏彦を繋いでいるようで安心する。
夏彦は見た目もかっこいいけれど、彼の良いところは見た目じゃなくて内面なのに。
街に出る度にそんな事を思う。

「あ、夏彦。少し待ってて」
「ああ、分かった」

夏彦の手を解くと、目当ての雑貨を見つけ、私はそれを手に持ち会計へと向かった。
いつもすぐ夏彦は買ってくれようとするが、私も自分で買いたい時があるのだ。
そのことを何度か夏彦に説明すると、ようやくこうして私一人で会計に行かせてくれるようになった。
夏彦に贈るものは、夏彦に見られたくないもの。
私は会計を済ませると、その包みを大事に胸に抱くようにして夏彦の元へ戻った。

「・・・」

夏彦の元には何人かの女性がいた。
それを煩わしそうな表情であしらっていた。
一人の女の人の手が、夏彦に触れようとした時だった。

「夏彦・・・っ!」

我慢できなくて夏彦を呼んでいた。

「遅かったな、深琴」
「・・・ごめんなさい」

傍にいた女性たちには目もくれず、夏彦は私の元に来てくれた。
不満げに彼女たちは夏彦を見つめていた。その視線すら嫌な気持ちになる。

「行きましょう、夏彦」

夏彦の腕に手を伸ばして、さっき買った荷物のように大事に胸の方へと引き寄せる。
子どもじみてるな・・・と自分でも思ったけど、我慢できなかった。
夏彦は少し頬を赤らめて、私にされるがままになっていた。

 

しばらく無言で歩いていたが、再び別の女性が夏彦を見て振り返る。
なんで夏彦ってこんなにかっこいいんだろう。
私はこの人の見た目じゃなくて、内面に惹かれたんだもの。
見た目で判断するような視線が耐え難いのだ。
だからあまり見ないで欲しい。

「夏彦、はげちゃえばいいのに」
「・・・っ!」

ため息交じりでいうと、夏彦は驚いたように私を見つめる。

「み、深琴は髪がない方が好きなのか・・・?」
「あ、ごめんなさい。口に出てた?」

言うつもりなんてなかったのに、声に出てしまっていたようだ。
誤魔化すように笑うと、夏彦が真剣な目をしていた。

「・・・深琴が好きだというなら、髪を・・・剃らないわけでもない」
「あ、違うの。そういうことじゃなくて」
「だったらどうしたんだ?」
「・・・夏彦がかっこいいから」

隠しているつもりだと思うけど、少しだけ嬉しそうに表情が緩む。
そういうところも好きなの。

「色んな女の人が夏彦のこと見てるでしょ?
それがちょっと、嫌だなって・・・」
「深琴・・・」

組んでいる腕をほどくと、夏彦はその手を取って、歩き出した。
少し早足になりながらも人を避けながら歩く。
ようやく家へ帰る道に出ると、夏彦は我慢できないと言わんばかりに私を力強く抱き締めた。

「・・・夏彦!ここ、外よ!」
「ああ、だが俺たち以外誰もいない」

そう、ここは私たちの家に繋がる道だから他の人は滅多に通らない。
息を吸うと、私は夏彦を抱き締め返した。

「俺は深琴以外の女に興味なんてない」
「ええ、知ってるわ」

夏彦はいつだってそう言ってくれるもの。
・・・私も、夏彦以外の異性に興味なんてない。

「でも、ヤキモチくらい妬くわ」

嫌な女と思われたくないけど、言わずにはいられなかった。

「・・・嫌になった?」
「なるわけないだろう」

顔をあげると、夏彦が私の額に自分の額を合わせてきた。
まるで猫が甘えるみたいなその仕草に私は笑みが零れる。いつも恥ずかしいから滅多にしないけど、今日は少し特別。
少しだけ背伸びをして、夏彦に触れるだけのキスをした。

「・・・嫌いになった?」
「いや、」

不意打ちのキスに驚いたのか、あっという間に赤くなった頬を誤魔化すように視線を一瞬他に向けてから私をもう一度見つめた。

「もっと好きになった」

 

 

好き嫌い好き(終撫)

「終夜、まだ残ってるわ」

終夜と外食した時のこと。
ハンバーグがのっているお皿を彩っていた人参のソテーがそのままだったのでそれを指摘する。

「ふむ。これがいわゆる愛の試練というやつか」
「それは違うと思うわ」

私は私の分の人参のソテーも食べ終えたので、お皿の上は綺麗だ。
終夜はそのお皿と私のお皿を見比べて、本当に困ったという表情のまま押し黙った。

「・・・嫌いなのね、人参」
「こやつとはいつか決着をつけねば、と思ってはいるのだが・・・
なかなかうまく行かないのだ」

フォークを握り締めたまま人参のソテーと向き合う終夜を守るが、今日も決着がつかないようだ。
置いたフォークを持ち直し、ぱくりと食べてみせる。

「甘くて美味しいわ」
「・・・撫子、私のために犠牲になるなんて」
「次は頑張りましょう」
「・・・ああ」

食事を終えて、お店の外に出るとあたりはすっかり暗くなっていた。
陽が沈むのが本当に早くなった。

「家まで送ろう」
「ありがとう」

当たり前のように手を繋ぐと、私たちは歩き出した。
終夜と手を繋ぐようになって・・・いや、恋人になってもう4年。
小学生だった私達は、高校生になった。
終夜は今も変わらず私の隣にいてくれる。
4年という月日は長いと感じるのに、私は今日まで終夜が人参を嫌いだったことも知らなかった。
知らないことってまだきっと沢山あるんだろうな。
でも、それを知っていける時間が愛おしい。

 

 

 

 

 

家につき、終夜に今日のお礼のメールを打つ。
忙しいスケジュールの合間を縫って、時間を作ってくれる。
私が終夜に出来ることってなんだろう。
そんな事を考えながら今日の思い出を日記に綴る。
ペンを走らせているとき、ふと思い至った。

(そうだわ。あれなら・・・)

私はいてもたってもいられなくなり、1階へと駆け下りた。

 

 

 

 

翌日。
終夜の部屋を訪れると、終夜は帰ってきていて、何かを真剣に読んでいた。

「終夜」
「撫子、おかえり」
「・・・ただいま」

一緒に住んでいるわけじゃないけど、終夜はそう言って歓迎してくれる。
それが照れくさい。
終夜の隣に座ると、鞄から昨夜つくったものを取り出して見せた。

「はい、終夜」
「それは?」
「人参が入ったパウンドケーキよ」
「・・・うむ」

嫌なんだろう、眉間に皺が寄った。

「紅茶いれてくるから一緒に食べましょう」

終夜をその場に残し、私はいつも通り彼のキッチンを使ってお茶の用意をする。
お湯を沸かしている間にパウンドケーキを食べやすい大きさに切って、お皿に盛り付ける。
少し経つと、お湯がちょうど良い温度になったので、茶器にお湯を注ぐ。
最近お気に入りのアールグレイだ。
ベルガモットの良い香りを感じると自然と笑みが零れた。
この瞬間が、一番好きかもしれない。

「はい、どうぞ」
「ああ、すまないな」

終夜の元に戻ると、読んでいた本は既に片付けてありソファの上で正座をして待っていた。

「そんなに身構えなくても大丈夫よ、多分」
「・・・撫子が私のために用意してくれたものだ。心してかかろう」

フォークとお皿を手に持ち、真剣な表情でパウンドケーキと向き合う。
一口大に崩すと、おそるおそる口へ運んだ。
私もその姿もじっと見つめる。
もぐもぐ、と黙って食べる終夜の表情が固いものから少しずつ変化していく。

「・・・!撫子!」
「ど、どうかしら」
「人参がうまいとは・・・!さすが撫子だ!」
「良かった」

ご機嫌に食べ進める終夜に私は安心して紅茶に口をつける。

「ねえ、終夜」
「ん?」
「苦手なもの、克服していけそう?」
「ああ、撫子のおかげだ。人参とはこれから仲良くできそうだ」
「そう、良かった」

いつか子どもが出来たとき、こうやって教えていけたら良いな、と考えた自分が恥ずかしくて火照った頬を誤魔化すように手でぱたぱたと仰ぐと終夜がふと口を開いた。

「いつか私たちに子どもが出来たとき、撫子のぱうんどけーきを食べさせてやりたいな」
「・・・気が早いわ」

似たようなことを考えていた事がやっぱり少し恥ずかしくて誤魔化すように紅茶をもう一口飲んだ。