「それでね、さとーくん」
きょーこさんがきょーこさんがきょーこさんがきょーこさんが
その言葉が右から左へ。
轟は本当に嬉しそうに口にする。
お前はこの話を何回するんだ、と言いたくもなる。
だけど、あまりに嬉しそうに話すから何も言えなくなる。
「ねぇ、さとーくん」
「ん、なに」
きょーこさんが、といつも紡ぐ口が俺の名を呼ぶ。
「いつもいつも、話聞いてくれてありがとね」
「・・・あぁ」
三歩歩くとすぐ忘れるんだろうな、こいつ。
飽きもせず、同じ言葉を紡ぎ続けるのだろうな。
「わたし、さとーくんの事大好きよ」
「・・・」
その言葉に、俺は今日もやられる。
俺もこいつも同じくらいアホなんだな。