「相馬さーん」
すぐ俺の腰周りにからみつく腕。
それを見て、いつも通り俺は貼り付けた笑み。
「山田さん、俺仕事してるからさ」
「知ってます!でも山田は相馬さんにくっつきたいんです!」
純粋なまなざしで俺を見上げて、満面の笑みを浮かべる。
ああ、どうしようか。
その純粋な想いが、俺には・・・
「山田さん、あとでかまってあげるからさ」
今は仕事しておいで、と促すとしぶしぶと言った雰囲気で俺から離れる。
「あとでいっぱいいっぱい甘やかしてくださいね!」
黒髪を翻し、俺の元を離れていく。
「無邪気さが怖い・・・」
彼女が離れて、ようやく落ち着く胸の鼓動。
俺はまだ、これがなんなのか知りたくない。