遅れてきた恋心(俺様ティーチャー 桶川→真冬)

昔から勘が良いと分かっていた。
根拠がなくても、自分の直感を信じていれば大抵の事はやってのけられた。
だから、なんとなく分かってしまった。

夏男の正体が、モールス・・・黒崎真冬だという事に。

「あ、番長っ!」
「おう」

たまたま廊下でモールスと早坂に遭遇した。
普通の女は俺を見かけても、そんな風に笑わない。
だからなんとなく、モールスはトクベツなんだと思っていた。
モールス=夏男と分かってからはやっぱりな、とストンと気持ちが落ち着いた。
それから、彼女が俺を友達だと認識している事。
それを早坂に邪魔されて、すっげーむかついた事。
下まつ毛が、なんだかモールスと仲良さげな事。
色んな事が俺の心の中でぐちゃぐちゃになっていた。

「番長、今日は忍者特訓やるらしいんでジャージですよ!」
「あ?なんだよ、それ」
「忍くんがたまにやりたがる忍者特訓です。
結構楽しいんですよ~、手裏剣投げたり、池の上歩いたり!」
「池?」
「こないだ由井が落ちたよなー」
早坂も以前の特訓を思い出したらしく、会話に混ざる。
「あー、覚えてたら行く」
「分かりましたー!絶対来てくださいね!」
それじゃ、と二人と別れて、俺はまた歩き出した。

早坂くんに忍くん。
で、俺は番長か・・・

距離が近いんだか、遠いんだか分かんねぇ。
佐伯と付き合っているんじゃないかという疑惑の時も混乱した。
下まつげといい感じの時も混乱した。
モールスが誰かのものになるという事が嫌なのか。
友情とはそういうものか?
あー・・・でも。
モールスが笑ってくれると、胸が苦しくなる。

「なんだよ、これ」

「桶川さん、遅れてきた初恋かなー」
「え?何が?」
「いや、なんでもない」
桶川番長が顔を赤らめて、あわあわしている姿を見て
2トップはなんだか親心みたいなものを感じていたり。

良かったらポチっとお願いします!
  •  (2)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA