暁(管理人) のすべての投稿

5月~6月プレイ状況

まだ6月も半ばを過ぎましたね。
実は5月下旬に突然、顔面神経麻痺になりまして、入院~自宅療養の真っ最中でひたすらゲームしていました(笑
まばたきが出来ず、まだパソコンに向かうのは様子を見ながらなので、またもや更新が停滞するかと思いますので、たまーに遊びに来ていただけると嬉しいです。

さて、プレイ感想を~

 

 

赤い砂堕ちる月

みんな好きだけど、翔侠が好きです。私、本当昔からのつながりとかそういうのにめっぽう弱いです。運命じゃん・・・!!
ヒロインの性格が選べるのも面白いですし、クリア後にちゃんと各属性ごとのお話あるから美味しかったです!!

鏡界の白雪

壊音くんが好きです。未白ちゃんが普通の女子大生なんだけど、可愛いんですよね~。ほどよく自分の気持ちを主張するし、相手を受け入れるし、いい子でした。
刺君と世裏も良かったですが、壊音のEDの「アイスより好きだ」って言うのがとってもツボでした。ひぃぃかわいいなぁぁぁ!!!

裏語 薄桜鬼・裏語 薄桜鬼~暁の調べ~

以蔵くんが良かった・・・そして、高杉√は切ないね。病気をうつしたくないから触れることができない。
けど、触れたいから手を握る。高杉さん√がぐっときました。
以蔵は梢ちゃんに出会って、疑問を持つことを思い出し、無知な自分を恥じながらも梢ちゃんとのやりとりに成長していく様はとても良かったです。

 

Enkeltbillet

とりあえずめがねを割らせろ。
初めての海外旅行でしょっぱなから全部荷物なくなるわ、はぐれるわってもう帰りたくなるところを前向きにバイトしたり、なんだりして10日間過ごすっていう時点で凄いと思います!!
クリスが好きです。一番優しかった・・・!!でも、王妃になるのは無理だよ!!って凄い思いました(笑

 

薄桜鬼 追想録・薄桜鬼真改 風の章・華の章

薄桜鬼シリーズはまとめてしまいますね。
まず、追想録良かったです!!いつの出来事か分かりやすいし、追想録やって一くん好きになりました!笑
そして、真改ですが・・・二つに分けるほどのボリュームだったのか?って少し疑問に思いますが、時系列も凄く分かりやすくなった気がします。
私があんまり考えないで無印やってたので、京にいたのがどれくらいの期間なのか正直わかっていなかったのですが、そういう面も凄く分かりやすくなっていたかと!!
あと、山崎√ありがとうございます!!!なんかもうそれだけで最高オブ最高でした。
伊庭さんのことはなんかもう色々とツッコミしたくなりますが、伊庭さん好きです。相馬√で好きになりましたw
ちょいちょい変更になった描写も多かったし、追想録と黎明録を盛り込んだ結果なのかな?と思いますが、土方√の終わりが変わってたのに解せぬ!!ってなりました。
「あなたは私のもの」っていうの、大事よね!?大事よ!!
でも、真改出てくれて良かったなぁ・・・て思います。山崎を攻略させてくれてありがとう。そして、新八√、もうちょい頑張ってくれよって思いましたw
あと、衣装マイナーチェンジはいらなかったな、と思います。デフォ呼び最高です。

 

遥かなる時空の中で5

遥か6をやってから逆行していこ~と思って遥か5買いました。ゆきちゃん可愛いし、都ちゃんかっこいいし、なんなの?
「私の天使」っていとこに言われ続けてるのすげーなって思いました。
桜智さんが好きです。「私のお家」っていうのをしつこく言わせるところも「ゆきちゃん・・・」っていって卒倒しそうなところも、ストーカーのごとく後ろからついてくるところも、日記つけてるところも全部美味しかったです。あと、龍馬!!龍馬ずるい!!もう運命じゃん、二人であったの運命じゃん~!!お嬢呼びの意味!!ありがとうございます、大好きです!!
チナミと総司も好きです。総司の恋した表情麗しい・・・でも一番可愛かったのは照れるゆきちゃんでした。まじ天使。

陽のあたる場所(山崎×千鶴)

私たちの戦いが終わってから数日が経った。
新撰組のみんなと別れ、江戸にある雪村の家に着くとなんだか部屋が広く感じられた。
しばらく家を空けていたので、閉め切っていた部屋を換気するために戸を開けると少し冷えた風が入ってきた。

「・・・千鶴」

「長旅、お疲れ様でした。
今、お茶いれますね」

「いや、それはいいんだ」

山崎さんは何か言いたげな瞳で私をじっと見つめる。
その視線がなんだか気恥ずかしくて、私は先に目をそらしてしまった。

「やっぱり、お茶淹れてきますね」

そして逃げるように台所へと駆け込んだ。
しまってあったお茶の葉を取り出すが、香りを確かめてもう使えないことを確認する。
私がこの家を空けてもう四年以上の時が流れているのだ。
保存食たちはもう使えないだろう。

「このお茶、父様が好きだったなぁ」

診療の合間に熱いお茶をいれて持っていくといつも喜んでくれた。
目を細めて微笑むと、私の頭を撫でてくれた。
初めて作った料理、魚を焦がしてしまっても美味しいと笑ってくれた父。
思い出が詰まったこの家は、やっぱり胸が苦しくなる。

「千鶴」

「山崎さん・・・」

「君が遅いから心配になって来てしまった」

私を呼ぶ優しい声に心から安堵した。
そうだ。父の手がかりを追うために家に戻った時も彼はこうして私を包んでくれた。

「山崎さん」

「君が悲しい時、こうして傍にいることしか出来ないが・・・
それでも、君が一人で涙を流すような真似させたくないんだ」

あの時は肩をそっと抱いてくれた腕が、今は私の身体をきつく抱き締めてくれる。
その変化も嬉しくて、父様との優しい思い出が苦しくて、私は涙をこぼしながらも小さく顔を横に振った。

「あなたがいてくれるから・・・私はまた、この場所に帰って来れました」

一人だったら、この家で暮らすのはあまりにも苦しいから。
山崎さんの胸に頬を寄せた。

「俺の居場所は、君の隣だから-千鶴」

「はい、私もあなたの隣が私の居場所です」

私が落ち着くまでそのまま抱き締めてくれていた。

 

数刻時間が経ち、ようやく落ち着いた私の頬を優しく撫でると山崎さんは優しい瞳で私を見つめていた。

「ありがとうございます」

「いや、いいんだ。それよりも君が江戸を離れて随分経つから家の食材は使えないだろう」

「そういえばそうなんです。私もすっかり抜けていて・・・」

「だから、これから買出しに出掛けないか」

「はい、いいですね!」

二人で外に出ると、夕暮れにはまだ時間がありそうだ。

「身体は大丈夫ですか?」

「ああ、大丈夫そうだ」

戦いが終わってからまだ数日だが、吸血衝動は出ていない。
山崎さんは私を安心させるように微笑んだ。

「・・・それで、だ。その、もし良ければ手を繋がないか」

「え?」

「江戸は広い。はぐれたりしないように、どうだろうか」

少し恥ずかしそうに私から視線を逸らしながら、私に左手を差し出す。

「はい」

私もそれに応えるように手をとった。

「でも私ははぐれないためではなくて、ただ手が繋ぎたいから繋ぎますね」

「・・・っ、君は」

少しだけ手を握る力が緩んだかと思えば、それを取り戻すかのように強く握られた。

「これ以上、君に持っていかれる心なんてないはずなのに持っていかないでくれ」

「・・・?」

「いや、いいんだ。なんでもない」

ごほん、と咳払いをするとようやく私たちは歩き始めた。

「丞さん、大好きです」

聞こえるか聞こえないかくらいの声でそういうと丞さんは驚いたように私の顔をみた。

「今、なんて?」

「なんでもありません」

さっきの仕返しとばかりに私がそういうと丞さんは困ったような顔をした。
それが少しおかしくて私は笑みを零した。

「ほら、早くしないと暗くなっちゃいます。いそぎましょう、丞さん」

彼の手をひいて、少しだけ早足に。
きっと買い物が終わって、家で二人で飲むお茶は今まで飲んだどのお茶よりも美味しい予感がした。

極彩色のコイゴコロ(累×ツグミ)

初めての恋、
初めての恋人。
穏やかな休日の昼下がりに恋人と手を繋いで歩く。
ささやかだけど今の私にとっては何よりも幸福な時間。

「見て、累。
こないだ咲いていなかった藤の花が咲いてるわ」

「本当だ、綺麗だね」

目の前に広がる藤の花に声をあげると、累も優しい声で頷いてくれる。
ただそれだけの事だけど、私はやっぱり嬉しくて笑顔になってしまう。

「ねえ、ツグミ」

「なぁに?」

「藤の花よりも君のほうが綺麗だね」

「・・・!」

さらりとそういう事を言っては紅くなる私をみて楽しんでいる気がする。
繋いでいた手に少しだけ力がこもる。

「そ、そういえば・・・!
花って色とりどりだけど、鳥もいろんな色がいるわね。どうしてかしら」

先日書店を巡っているときに見かけた一冊の本。
そこには様々な鳥が描かれていてとても驚いた。
私たちの所属する名前と同じフクロウだって、たくさんの種類がいたのだ。
そして赤だったり、黄色だったり、蒼だったり・・・たくさんの色合いの鳥がいることに驚いた。

「僕も昔同じ事思って調べたことがあるよ」

「え、本当?」

「うん。鳥に色々な色がいるのは、異性の気を惹くためらしいよ」

「鳥が・・・?」

「そう。以前君がドレス姿で僕を魅了したのと同じように、ね。なんて」

累は冗談めかして笑うと繋いでいた手を自分の口元まで持っていき、手の甲に口付けを落とした。

「・・・累はずるいわ」

さっきとは比べ物にならないくらい、紅くなっているであろう自分の顔を想像するのはやめよう。
手をほどくと、羞恥心を誤魔化すように彼の腕に自分の腕をぎゅぅっとからめた。

「・・・君のほうがずっとずるいよ」

累の顔を盗み見ると少しだけ紅くなっているような気がした。
満足げに笑うと、累も小さく笑った。

明日の約束(壊音×未白)

「ちょーっと飲みすぎなんじゃないか」

「ええー?そんなことないよぉ」

えへへ、と甘えるように俺の肩に擦り寄ってくる。
その姿はどうみても酔っている。
酔っている以外何があるんだろうか。
汗のかいたグラスを持ち直し、口をつけるがすっかり薄まっていた。
横目で未白の様子を伺えばご機嫌だ。

今日もいつものようにアトリエに来て、俺が作業する傍らせっせとステンドグラスをつくっていた。
するりと俺の隣に収まった彼女は、今まで傍にいない時間どうやって過ごしていたか思い出せないほど俺の生活を侵食していった。
じわじわと外堀を埋められた、というか・・・まぁ、なんというか。
進捗も順調だし、今日は俺の家で食事することになり、スーパーで食材を買い込んだ。
あいつの大好きな柘榴が売っていたのでそれもかごに放り込む。
学生とはいえ、二人とも二十歳を過ぎた成人だ。
食事も済み、口直しに柘榴を使った簡単なサワーを作ってやろう、と思い立った。
美味しいおいしいと飲む彼女の笑顔が可愛くて、ついつい飲ませすぎた。

「・・・未白、水飲むか?」

「ううん、いらなーい」

「ああ、そう」

すっかりご機嫌になった未白は俺の手に自分の指を絡めるときゅっと握る。
いつもより熱い指先。
紅くなった頬に、ちょっとだけ舌足らずになってる口調。
恋人のそんな姿をみて、ぐっと来ない奴はおかしいだろ。

「ふふーん」

「どうした?」

「これね、わたしの宝物なんだー」

そういって繋いでいない手をぐっと天井にむけて伸ばす。
そう、そっちの手には俺が贈った指輪が輝いていた。

「ん・・・そっか」

未白の頭をぽんぽんと撫でるとまたにっこりと笑った。

「かいねくん、あしたもあさってもいっしょにいよーね」

「・・・ああ、おまえがいてくれる限りな」

「わたしがいなくなったらおわりなの?」

「・・・嘘だ。おまえがいなくなっても絶対見つけて、手掴む」

未来の約束、というにはまだちょっと足りないだろう。
だけど、彼女がとびきりの笑顔でそう言ってくれるからきっと明日もこうやって一緒にいられるんじゃないだろうか。

「うん、やくそく!」

 

でも、こんな風に無邪気に煽った責任はとってもらおうじゃないか。
氷ですっかり薄まった液体を一気に飲み干すと、少しだけ大人のキスを贈った。

4~5月プレイ状況

もうすぐ5月も終わるので、いつもどおりまとめました~!
最近あんまり書けていなかったので、新作含めプレイしたゲームの作品はちまちま書いていければなと思っております。
五月は残るところ境界の白雪ですね!SA7は感想を待ちたいと思います!
もしプレイされる方いたらぜひ教えてください^ ^

 

 

 

 

 

 

遥かなる時空のなかで6

詳しくはこちらで書いてます。

 

ニル・アドミラリの天秤

下品なエロじゃなくて、官能という言葉が合う綺麗な世界観だったと思います。
ただ、なんだろうか・・・私にはちょっと合わない作品でした。ツグミちゃん可愛いし、可愛いし、隼人に全部持っていかれるくらいに凄く好きなんだけども!
官能を売りにしているからか、1√のなかで2回性描写があるわけですよね。ちょっと詰め込みすぎたのかなっていうのが感想。
恋愛にいたる過程も丁寧な描写だし、身体を重ねるところだってとっても丁寧だと想ったし、綺麗だなぁって想ったのになぁ。
なぜ、こんなに微妙なキモチなんだろうか自分でもちょっと分からない。
でもきっとFDになったら最高に楽しめると思います。

 

EVE burst error

乙女ゲームではなく、ギャルゲーというか、過去の名作です。
めっちゃくちゃ面白かった!!久しぶりに寝る時間を惜しむ作品になりました!!

 

魔法使いの夜

青子ちゃん尊い・・・こちらもギャルゲーです。
たいぷむーんから出ているんですけど、最高オブ最高。
青子ちゃん大好き。有珠ちゃんも大好き。でも一番好きなのは静希さんだったりするかも。最高でした。

 

絶対階級学園

プレイする前に重い!メンタルやられる!!って聞いていたのでドキドキしてたんですけど凄く面白かったです~!!
プレイ前はハルが好きなんじゃない??っと思っていたんですけど、陸落ちでした。
ずっと可愛いって言いながらプレイしてた。ばかわいい。赤薔薇様最高です。

 

ピリオドキューブ

2日でクリアしちゃうくらい没頭しました。ぽよぽよ目当てで買って、見事にアストラムに持っていかれました。
めっちゃ可愛いじゃないかよ。突然「ああああ」とか言い出しちゃうところとかすぐ「死にたい」とか行っちゃうリアルな彼が好きです。
ラディウスも良かったな~。メリバも凄い好きな感じで面白かったです!!
ぽよぽよが本当うざかわいくて、鳥海さんってすげえってなりました。好き。

 

BLACK CODE

残すところジール様だけなんで、書いちゃいます。
どうしてアスタロト攻略できないの??ってずっといってたんですけど新装版で攻略できたんだね・・・
ロゼが倒産したことからようやく立ち直ったのにまた突き落とされました・・・アスタロト√がないから書けばいいじゃない。
そんな気持ちになっているので、私はいつか書きますね。需要がないと思うのでひっそり書きますね!!
攻略キャラだとベルが凄く良かったです~!!エイレスもアデルもベリアルも良かったけど、なんかもう色々ずるいよね。
ベル√のルシエルめっちゃ可愛かった。

YOU ARE MINE(アスタロト×ルシエル)

彼が私を見つめる時、それはそれはいつもキラキラと恋する乙女のように輝いている。
まぁ、彼がキラキラと輝いてみているのは私ではなくルシファーだということくらい分かっている。
朝食のパンを口に運び、横目でアスタロトを見るとにっこりと微笑まれる。

「ルシファー様、紅茶のおかわりいかがですか?」

「あ、お願い」

「はい!」

他のみんなだって、ルシファーが好きだから・・・慕ってくれているのは分かっている。
今まで周りから疎まれることはあっても、こうやって歓迎されたことはなかったからやはり嬉しくなっている自分がいる。
自分自身を見てほしい、と思う気持ちもそれと同じくらい強くあるがそんな事を言って心地よい世界を手放すことが怖いのだ。

アスタロトが新しく淹れてくれた紅茶を一口飲み、ため息をついた。

 

 

朝食を済ませると、ぶらりと中を散歩する。
エイレスの花壇を見に行こうかなとも思ったが、誰かに会いたいわけではないのでやめておこう。
なんだか今日は少し気分が晴れない。

(・・・疲れてるのかしら)

そんな事が頭に浮かぶ。
そんなたいしたことはした覚えはないが、この倦怠感は疲れから来ているのかもしれない。
ぱたぱたぱた、と廊下をかけていく構成員たちが私の姿を見るなり、元気良く挨拶をする。

「お疲れ様です!ルシファー様!」

「お疲れ様」

にこりと笑うと、彼らは少し頬を赤らめた。
その反応はアスタロトを思い出させた。
彼も私の反応に一喜一憂してみせる。
ルシファー様ルシファー様・・・
私はルシファーでもあるけれど、私は私なのに。

 

部屋に戻り、ベッドに身体を投げる。
今日はもう部屋から出なくていいかもしれない。
そんなことを考えながら目を閉じる。

うとうととしていると、扉をノックする音で目を覚ました。

「ルシファー様、いらっしゃいますか」

コンコン、と何度も叩かれる扉に向かって口を開く。

「いるわ」

「入ってもよろしいでしょうか」

「ええ」

私の返事を確認すると、アスタロトが部屋へ入ってきた。
彼の手には、ティーセットと、クッキーが見えた。

「お茶でもいかがですか」

「・・・そうね、いただくわ」

テーブルにティーセットを置くとカップに丁寧に注がれる液体を見つめていた。

「アスタロトも飲まない?」

「え?わ、私ですか?」

予想していなかったのか、私の言葉に目を丸くする。

「あなた以外ここにはいないでしょ?一人で飲むよりも二人の方が美味しく感じると思うから・・・」

「・・・っ、それでは、カップを取ってきます!」

「私の部屋にあるのを使えばいいじゃない」

私の部屋にもティーセットは用意されている。
それを知らないわけがない。だってアスタロトが用意してくれたんだから。

「・・・それでは、お借りします」

アスタロトが私のために用意してくれたティーカップは真っ赤な薔薇があしらわれたカップだ。
少女趣味・・・とも思うけど、私のお気に入りのカップだということは誰にも言っていない。アスタロトが淹れてくれた紅茶・・・これはハーブティーか。
ほんのり甘くて、優しい味がした。

「落ち着く味がする」

「これはカモミールティーですよ」

「そうなんだ、美味しい」

色もきらきら輝いてみえる。
それがまた安心させてくれるようで自然と微笑んでいた。

「今日、あまりお元気がないようだったので・・・少し心配していました」

「え?」

「差し出がましいとは思ったのですが、こうして部屋へ来てしまいました・・・。
申し訳ありません」

「・・・そう」

これは私への好意じゃない。
これはルシファーへの好意だ。

私は、私のものが欲しい。

 

 

「・・・アスタロト」

「はい」

彼をじぃっと見つめる。
私が見つめるだけで頬を赤らめるのに、私を見ていない。
頬に触れようと、アスタロトに手を伸ばした。

「ル・・・ルシファーさま」

ぴたり、と手が止まった。

「私は、ルシエルよ」

「・・・ですが、」

「ごめんなさい、気分が優れないから眠りたいの。
出て行って」

飲みかけのカモミールティー。
手をつけていないクッキー。
悲しげな瞳をしたアスタロト。
全部が私を責めているみたいだった。

 

 

アスタロトは何も言わずに部屋を去った。
私はアスタロトに何か期待していたんだろうか。
ルシファーじゃなくて、私が好きだといってほしかったんだろうか。
分からない。分からないけど、ただ胸が苦しかった。

 

かまって(ベル×ルシエル)

初めて、私を私としてみてくれたヒト。
私が、初めて欲しいと想って触れたヒト。

「どうした?そんなにじっと見つめて」

いつも通り書類の山に囲まれたベル。
ベルの正面を陣取り、書類をせっせと片付けていく彼の姿を頬杖をつきながら見つめていた。

「頑張って働いてるなーって思って」

ベリアルがこういう事務仕事をしないからベルに回ってくるんだという話を以前聞いた。
今、私がいるのだから他の人に分散するように仕事を采配することも可能だろう。
が、やはりベルの仕事ぶりに敵うひとはおらず、やっぱりベルに甘えてしまう。
私が手伝おうとするとそれはきっぱり断るんだから、私にできるのは見守ることくらいかな。

「ならあんたも・・・いや、いいや」

「?」

書類から顔をあげると、視線がぶつかる。
思いのほか近かったことに驚いたのか、ベルは言おうとした言葉を飲み込んでまた書類に目を落とした。

「ねえ何を言おうとしたの」

「なんでもないこと」

「なんでもないなら言えるでしょ」

ペンを握るベルの手を人差し指でなぞる。
ぴくり、と反応するも私の言葉に返事をする気はないらしくペンを走らせる。
それが面白くなくて、私は手の甲に触れるのをやめて今度は頬をなぞる。
眉間に皺が寄るのを見てくすりと笑うとあっという間に限界が来たのか、ベルは顔を上げた。

「~、あんたさぁ」

「なに?」

にっこり笑ってみせると、空いている手で顔を引き寄せられる。
彼の唇が重なり、一度下唇を軽く吸うとそのまま隙間から舌を割り込んでくる。
唇が触れ合うのと同じように、舌が触れ合うのも好きだ。
酸素が足りなくなって、苦しくなってもベルが離してくれないことが嬉しいなんてどうかしてるのは分かってる。
私がベルでいっぱいになってるように、ベルも私でいっぱいになっていたらいいのに、っていつも思う。

「んっ・・・はぁ、」

ようやく離れた唇に、キスの名残が見える。
ベルの唇を指でぬぐうと、ベルの表情が崩れた。

「あんたって、本当に俺のこと好きだな」

そんな顔をして言われたら恥ずかしくて逆に口を閉ざすわけにはいかない。
まだ少し熱い頬を誤魔化すように笑ってみせる。

「・・・ええ、もちろん。あなたが大好きよ、ベル」

私を抱き締めようとした手が止まる。
ベルはようやく机越しだったのを思い出したようだ。
小さく舌打ちすると、私の隣まで来て抱き上げられた。

「書類はいいの?」

「・・・あとで手伝ってくれよ」

ベッドにおろされたところでそれ以上の言葉はつぐむ。
返事をするかわりにベルの背中に手をまわした。

王子様(麻生×かずは)

私に彼氏が出来た、と聞いてお父さんはちょっとだけ動揺した。
お母さんはどんな人なのか興味津々というように目を輝かせて聞いてきた。
お兄ちゃんと同じ学科の人だよ、というと今度連れてきなさいと嬉々として言われた。

そんなこんなで透さんが私の家に遊びに来るようになって指を折り返すところまで来た。

「はあ」

「お疲れ様です、透さん」

今日はお母さんしかいなかったんだけど、それでも色々と精神的に疲れてしまうようで私の部屋に入ると深いため息をついた。
お母さんが持っていきなさいと言ってくれたティーセットをテーブルの上に置くと、カップに紅茶を注ぐ。
ちょうど良い色合いで、ダージリンの香りが部屋に漂うとほっとする。

「ああ、ありがとう」

紅茶を一口飲むと、透さんもほっとしたように息を吐いた。

「あ、透さん」

まだ紅茶が熱かったからだろう、湯気で透さんのめがねが曇る。
それに気付いた彼はめがねを外すと、ポケットからハンカチを取り出した。

「・・・」

「・・・どうかしたのか、かずは」

「久しぶりに透さんがめがね外しているの見ました」

「ああ・・・アルケイディアではしていなかったから」

「なんだかアストラムさんを思い出しちゃいますね」

「だからその名前で呼ばないでくれ」

「あ、ごめんなさい」

ふふ、と笑うと透さんは恥ずかしそうに視線をそらした。

「めがねをかけているのも素敵ですけど、していない時も素敵ですね」

「・・・っ、ありえないだろ、そんな」

「え?」

「こんなに可愛くて優しい彼女がいて、その彼女が僕を褒めるなんて。
万年2位とか透明くんとか言われてる僕を素敵だなんてないないない。いくらかずはが優しいからって」

「透さん」

透さんはたまに自分の世界に飛んでいってしまう癖がある。
自分を貶めるようなことをいわれると、好きな人の悪口を聞かされているのと変わらないので苦しい。
透さんの手に自分の手を重ねて、彼の瞳をじっとみつめた。

「私にとって透さんはとっても優しくてかっこいい、大好きな彼氏です。
だからそんな彼氏の悪口は聞きたくないです」

「・・・っ、かずは」

「透さんだって私の悪口、聞きたくないですよね?」

「当然だ!そもそも君の悪口を言う奴がいるなら、そいつが間違っているんだ。
そいつの心がすさんでいるからそんな言葉が出てくるんだ・・・!」

「ほらね?だから、私の好きな人を悪くいうのは許しません」

「・・・悪かった」

「・・・はい」

私の手の下にあった透さんの手がきゅっと私を握った。
そして、私の手の甲にそっと口付けを落とす。
それはまるでアルケイディアにいた頃、アストラムさんが私にしてくれたような王子様みたいなキス。

「・・・これで許してくれないか、僕の・・・か、可愛いひと」

「はい、許しちゃいます」

きっと、私も透さんと同じくらい真っ赤になっているんだろう。
あの頃のように羽はないけど、私の王子様は優しく微笑んだ。

おそろい(孫関)

夫婦というものは生涯を共にする。
どちらかが死ぬまで、生涯を共にしたいと私は思ったから孫権様の言葉に頷いたのだ。彼の隣は陽だまりのなかお昼寝をしているような心地よさを感じる。
だけど、たまに彼が見せる男の人の一面に私はどうしようもなく動揺してしまう。

だから今、とっても驚いている。

 

「・・・孫権様、あの・・・」

「ん、やっぱりあなたに似合うと思ったんだが正解だったようだ」

孫権様が私の髪に髪飾りを当ててみて、小さく笑った。
その表情に見とれてしまう。
私にむかって微笑んでくれるだけでこんなにも嬉しくなんて。

「もしかして、嫌だったか?それなら申し訳ない」

「あ、いえ!そうじゃなくて、とっても嬉しいです!」

あてていた髪飾りを離すと、そのまま離れようとする孫権様の手を慌てて掴んだ。

「孫権様が私のために選んでくれたことも凄く・・・凄く嬉しいです」

「そうか・・・あなたが喜んでくれて良かった」

孫権様のことを知るたびに好きになっていく。
自分でも驚くくらい、私は孫権様が好きなのだ。

 

 

 

 

孫権様が贈ってくれた髪飾りをつけ、鏡の前でにこにこしていた。
いつも紅色の髪飾りをつけていたけれど、孫権様が選んでくれたものは孫権様の髪の色に似た黄緑色や黄色、といったいつもとは違う色合い。
孫権様が選んでくれたことも嬉しいし、それがまた普段の自分と違う雰囲気のもので似合うということも嬉しい。
簡単にいえば浮かれているのだ。
孫権様になにか贈り物がしたいと想い、私も時間をみつけてはお店を見てはみるがピンと来るものが見つからない。

「お嬢さん、珍しい織物が入ってるんだけどどうだい?」

お店の人に誘われるがまま、覗いてみると綺麗な織物だった。
色合いもとても鮮やかで目を奪われた。
こういうものなら・・・でも、服を仕立てるのは難しい。そもそも国を治めるあの方が身にまとうものだと思うとさすがに贈れない。

(でも、こういうものも素敵・・・)

どうしたものか考えていると、ふと猫族で暮らしていた日々を思い出した。

(・・・そうだ!あれをつくろう)

思い立ったらいてもたってもいられなくなり、私は材料集めに駆け出していた。

 

 

 

 

「孫権様」

「ああ、あなたか。」

執務が終わるであろう時間を見計らっていつもお茶をお持ちする。
筆を置いて、私が部屋にやってきたことを歓迎してくれるのだ。

「今お茶お持ちしますね」

「いつもありがとう。あなたがそうやってお茶をいれてくれることを私は楽しみにしているようだ」

「ふふ、そうだったら嬉しいです」

湯のみを運ぶと、孫権様はありがとう、と受け取ってくれる。
お茶を一口飲むと、ふぅと息をもらした。

「やっぱりあなたのお茶は美味しい」

孫権様の隣に座り、私もお茶を一口飲む。
ふと、私の髪飾りに目がとまったようで、孫権様は笑った。

「やっぱりあなたに似合う」

「・・・孫権様。手、出していただけますか?」

「ん?こうか?」

「はい」

急な言葉に不思議そうにしながらも孫権様は私に右手を差し出した。
用意してきたそれを右手首にそっと結ぶ。

「・・・これは?」

「私からの贈り物です。孫権様を想いながら作りました」

赤いガラス玉を中央に置き、黄緑色と黄色の糸で編みこんでみた。
これくらいなら普段つけていても邪魔にならないだろう。

「これをあなたが?」

私がつけたそれを孫権様は驚いたように目を丸くして見つめる。
それから私の右手も見せる。

「色違いで、自分の分も作りました」

私のものは黄緑色のガラス玉にし、紅色と黄色の糸で編みこんだ。
ふと考えた時、お揃いのものがないことに気付いた。
孫権様に贈り物をするなら、せっかくならお揃いのものしたくなり、猫族で暮らしていた頃にこうして作ったのを思い出しながら作った。

「こうやってお揃いのものをつけていたら、離れていても寂しくないかなって」

お揃いのものをつけていれば、少しだけいつもより近くに感じられるような気がした。
少し子どもじみていたかな、と恥ずかしくなって笑うと気付けば引き寄せられていた。

「・・・っ、孫権様」

「関羽、あなたは可愛い人だ」

「-っ」

驚いて、顔をあげると孫権様の唇が重なった。
いつもより熱が孕んだ瞳で私を見つめるから、恥ずかしくてきつく目を閉じる。
唇から伝わる熱が私を溶かしてしまうんじゃないかと想うくらい熱い。

「これからはあなたが傍にいない時、これを見てあなたを想うことにしよう」

右手と右手が、絡み合う。
かちん、とぶつかったガラス玉の音より目の前にいる彼の息遣いのほうが強く耳に残った。

 

 

 

 

お手をどうぞ(麻生×かずは)

初めも肝心だというが、本当に肝心なのは初めてが終わり、二度目も滞りなく終わった三度目だ。
つまり、今日。
今日のデートが僕と彼女の未来を左右するデートになるということだ。
約束の時間30分前に着くと、深呼吸をした。

(大丈夫だ、問題ない。今日の日のために僕は何度も何度も頭のなかでシミュレーションをしてきたんだから)

準備は何事においても肝心だ。
僕はずれためがねの位置を直すと、広場にある大きな時計を見た。
あと、30分も経てば彼女に会える。
そう思うと自然と頬が緩んだ。

「透さん!」

「・・・っ!」

時間は30分前だ。
まさか会いたすぎて幻聴か?と自分の耳を疑ったが、僕の名をもう一度呼ぶ声がした。

「透さん、早いですね!びっくりしました」

「・・・き、君こそ早いな」

息を弾ませて僕のもとへ来た彼女はいつもより輝いて見えた。
編みこんであるみつあみが可愛い。
ふわふわとしたスカートも彼女に似合っている。

「今日もかわいい・・・」

「え?」

「んんっ!いや、なんでもない。ほら、早く行こう」

赤くなった顔を見られたくなくて、踵を返すように歩き始める。
彼女も僕のそんな様子に慣れたように僕の隣に並んで歩く。
・・・幸せだ。
控えめにいってもこれが幸せじゃなかったら世の中に幸せなんてものがないってくらい幸せだ。
隣を歩く彼女を盗み見ると目が合う。

「あ、見てるのばれちゃいましたね」

「・・・!き、君も見てるなんて思わなかったから」

「だって私だって好きな人の顔、みたいですもん」

「・・・なんだよ、それ」

照れながらも彼女は自分のキモチをこうやって口にする。
だから僕もつられて言わなくてもいい言葉を口にしてしまう。

「可愛すぎるだろ、そんな台詞・・・」

僕の初めての彼女は、この世界でもっとも美しいんじゃないかとおもう。
いや、僕にとっては女神だ。
僕の世界をこんなにも眩しいものに変えてしまったのだから。

「・・・とりあえず」

空いている左手を、ズボンにこすり付けて滲んだ汗を拭う。
それから彼女に手を差し出した。

「はぐれないように・・・手をつながないか」

アルケイディアでならもっとスマートに君への言葉が贈れただろう。
だけど、リアルの僕はこんないいわけじみた誘い方しか出来ない。

「はい、もちろんです!」

僕よりも二周りは小さな手が重なった。

「今日はどんな思い出が出来るか、楽しみです」

そう言って笑った彼女はびっくりするほど可愛かった。

たった一つの魔法(マイアリ)

多分、これは恋だなんて甘いものじゃない。
愛みたいな優しいものじゃない。
どちらかといえば、憎悪に近いのかもしれない。
憎悪のように心の中をじわじわと蝕んでいく。
振り返りもしない。見向きもしない。気づかない。
手を、伸ばしもしない。
俺の愛とは、そんな憎悪に近い感情だ。

 

 

 

小さい頃、私はくそ生意気なガキだった。
それはもう昔の自分を思い出してはどうしようもないな、と自分で思うくらいに自覚はある。
セラスとの出会いもそうだった。
もしもセラスじゃなければ、あの時私は死んでいたかもしれない。
(他のドラゴンに出会った事がないが、おそらくドラゴンだって怒ることもあるだろう)
そして、セラスに出会う前・・・つまりもっとクソガキだった頃の私は、兄が大好きだった・・・ようだ。体の弱かった私の手を握り、寝ずに看病をしてくれた優しい兄。
魔法が使えない私のために、護身術を叩き込んだ横暴な兄。
マイセンは、私にとって世界の中心・・・とまではいかないけれど、私の隣に立ってくれる人だった。

「ご主人様の初恋の相手はどなたなんですか?」

「え?」

私のお気に入りの茶葉が手に入ったと嬉しそうに報告をしてきたセラスは、なんでもないことのようにそんな質問を投げかけてきた。

「珍しいわね、あんたが人間の色恋を聞きたがるなんて」

「人間じゃありません。ご主人様だから聞いているんです」

セラスは私以外の人間に興味はない。
私が死んだら、私の後を追うと宣言をしている愚かな従者。
そんな愚かな従者の質問への答えを探すべく記憶をたどる。
初恋・・・初めての恋。

「・・・まさか、ミラー=フェルデナンデスだとか言いませんよね?」

「ミラーだったかしら・・・うーん」

確かにミラーとは結婚式ごっこだったり、色々としていたけれど。
それよりももっと前に。
思い出そうと考えていると、セラスが面白くなさそうな顔をしていることに気づいた。

「ばかね、ミラーじゃないわ」

「・・・それなら良いんです。ご主人様が選ばれるお相手がまさかあいつなんて事はないでしょうし」

「ミラーだって私のこと嫌ってるじゃない」

「・・・さて、紅茶が入りましたよ」

何事もなかったかのように私の前にティーカップを置く。
傍らにはセラスお手製のイチゴのタルト。

「初恋、ねぇ」

ブラコンだといわれるかもしれないが、私の初恋はきっとマイセンだ。
少し年の離れた兄。
いつだって私を大事にしてくれた私の兄。
いつからか、マイセンは私を大事にしなくなった。

 

 

 

「また来ていたの、あんた」

「また、とは失礼だな。
幼馴染である君を心配して仕事を持ってきてやってるんじゃないか」

「結構よ。あんただって暇な身分じゃないんだからあんまりここに来ない方が良いんじゃない?」

ミラーは毎日のようにやってくる。
落ちぶれた(わけではないが、プリンセスという地位を剥奪されたのだから落ちぶれた?)私を見に来るのが日課らしい。
幼い頃、私たちは毎日のように一緒にいた。
飽きもせず、同じような遊びばかり繰り返し、時にはミラーを泣かせることもあった。
変わらない日々が続くとクソガキだった私は思っていた。
変わらないものなんて、何一つないのに。
ミラーが黙ってシンフォニアしたとき。
私は置いていかれたことに腹が立った。
ミラーのことで知らないことなんて何一つないと思っていた私はどうしようもなく腹が立った。
そして、悲しかった。
兄だけではなく、幼馴染まで私の傍から離れていった。
追いかけることが出来ないのは魔法が使えないから。
けれど、自分を不幸だとは思わなかった。
マスコットよろしく私の腕のなかに抱かれていたミニドラゴンの姿のセラスが、私を心配そうに眺めていたから。

「ふん!君だってそろそろ妙齢だろう。
このままだったら嫁の貰い手がなくなるぞ」

「お構いなく。あんたこそ早くお嫁さんもらいなさいよ」

「なっ・・・き、君は!」

ミラーは口をぱくぱくとさせ、私を見ていた。

「私、これから忙しいのよ!セラス!」

「はい、ご主人様。燃やしましょうか?」

「燃やさなくていいから。
ミラーを玄関までお送りして」

「かしこまりました」

「ちょ、アリシア・・・っ!」

扉を閉めても、ぎゃあぎゃあと二人が言い合う声が聞こえる。
それに構わず、実験を続けなければならない。
さっき頭のなかでひらめいた仮説を立証できれば、次の論文に役立つ。
すり鉢に、こないだマイセンが持ってきた薬草を細かちぎって入れる。

兄が凄い人物だということは、自分が同じ世界に身を置くようになって改めて分かった。
地位を剥奪された私には、もうマイセンとの血縁関係なんてあってないようなものだろう。
マイセンはプリンスだ。
私はもうプリンセスじゃない。
昔は私の手を握ってくれた兄は、もう兄じゃない。手のひらをぎゅっと握った。
ただ、虚しい気持ちになった。

 

 

 

 

 

「よう、アリシア」

「マイセン、どうしたの?」

それから数ヶ月経ったある日。
マイセンがやってきた。

「んー、お前の顔が見たくなった」

「・・・」

妹を口説くな、と昔叱ったことがあった。
この兄はそんな事覚えていないんだろうか。
黙って睨みつけるとマイセンは少し寂しそうな瞳をした。

「・・・なんてな。
ちょっと用事があったからついでに寄ったんだよ」

「でしょうね。
あんたが私に会うためだけにこんなところ来るなんて思ってないわ」

「おーおー、冷たいね」

「今ちょうどセラスが買い物に出てるから何にも出せないけど」

「ん、いいよ」

リビングにマイセンを通し、ソファに座らせる。
お茶くらい淹れてやろうとキッチンへ移動すると、マイセンがじっと見ていることに気づいた。

「何よ、そんなに見て」

「大きくなったなぁって思ってな」

「いつから比べてよ」

「お前が生まれた時から比べて」

「・・・ばかね」

私の何もかもを知っているような瞳で、私を見つめる。
マイセンなんて私の小さい頃しか知らないじゃない。
だって傍にいなかったのは、マイセンが離れたから。
だから、私も私の知らないマイセンがいる。
今、私を見つめるその人は、私が知っているマイセンなんだろうか。

「あんたの放浪癖はいつ直るの?お父様やお母様だって心配してるんじゃない?」

「んー、いつだろうな」

ティーカップをマイセンの前に置く。
さんきゅ、と言ってそれに口付けるとマイセンの口元が緩んだ。

「これ、俺が好きな茶葉だ」

「・・・違うわ、私が好きな茶葉よ」

兄妹だから、味覚だって似るだろう。
なんでもない事のようにさらりと流す。
子どもじみた私の態度にマイセンは困ったように笑った。

「・・・俺が死ぬまでには、終わるといいな」

「あんたの放浪には何か目的があるの?」

「んー・・・そうだなぁ。あるのかもな」

「どんな目的?」

「たった一つ、使いたい魔法があるんだ」

「たったひとつ?」

「ああ」

ティーカップをソーサーに置くと、マイセンは私の頬をゆるりとなでた。
ふと、シンフォニアにいた頃を思い出す。
まるで愛おしいひとに触れるみたいにマイセンが私に触れたあの日。
この人にひどく愛されているような錯覚をしてしまう。

「お前が、幸せに生きて・・・死にますようにって願いをかなえてくれる魔法」

あの時みたいに、マイセンの瞳は揺れていた。
まるで恋のようだ。
触れたら壊れてしまうかもしれない、恋。
だけど、その指が私から離れることのほうが私は怖かった。
幼い頃、舞踏会でマイセンが他の女と踊る姿を見て、言いようのない気持ちになったのを思い出す。
私のマイセン。
私のマイセンに触れないで。触れさせないで。
そんな子どもじみた独占欲を私は今も、抱えているみたいだ。

「ばかね・・・」

兄の手が離れてしまわないように自分の手を重ねた。

「魔法なんかなくたって、私は幸せになるわ。
・・・マイセンがいたら、ね」

「・・・アリシア」

マイセンの瞳が、酷く熱っぽいものを帯びていく。
もう一方の手が、私の腰に回される。
もしかしたら私はこの瞬間を今までずっと待っていたのかもしれない。

「マイセン・・・私のマイセン」

この恋を、私は死んでも手放すわけにはいかない。

 

 

【あんスタ】恋とはどんなものなのか(颯あん)

「あどにす殿、恋とはどんなものであるか?」

何冊か山積みにしていた本を読み終わったが、今自分が抱えている感情がなんなのかイマイチ分からない。
あどにす殿に問いかけると、驚いたように目を丸くした。

「神崎、なにかあったのか」

「な、なにかあったというわけではないのだが・・・なんというか、」

最近、気づけば目で追ってしまう。
誰かの元へ駆ける姿を見ると、どうにも心が落ち着かない。
かといって、自分の下へ来られるとまた心が落ち着かない。

「あんず殿を目で追ってしまう」

「・・・あんずを?」

「うむ。だからもしかしてこれが『こい』というものなのかと思って色々と読んでみたのだが、どうにもしっくり来ないのだ」

「・・・恋、か。改めて聞かれると、どういうものなんだろうな」

あどにす殿が考えるように目を閉じる。
それにつられて、自分も目を閉じた。
思い出すのは先日のことだ。

-約束をした。
それはただ、アイドルとプロデューサーとしての約束だ。
けれど、指きりを交わしたあの日から、小指が特別なものに思えた。

 

 
二人でうーんうーんと唸ることしか出来ず、結局答えは出なかった。
そして、あどにす殿と別れた後も一人で唸り続けていた。
れっすんするために一人で移動していると、後ろからぱたぱたと足音が聞こえた。
振り返ると、あんず殿だった。

「神崎くん、こんなところにいた!」

「あ、あんず殿!」

「今日、次のステージの衣装の採寸をとるっていってたでしょ?」

「む、忘れていた」

「紅月ではかってないの神崎くんだけだから、はやく測りましょ」

「あ、ああ」

なんだか気の抜けた返事しか出て来ない。
それでも、あんず殿は気にせず、我の手を引いて歩き始めた。

(・・・手、)

あまり他の人の手に触れる機会なんてない。
だけど、自分の手と違ってあんず殿の手は小さくて、やわらかく感じる。
小指をからめた時も感じた熱を、今手のひらから感じている。

ぎゅ、と手を握り返すと驚いたようにあんず殿が振り返った。

「い、いや!ただ、純粋に!手が離れてはいけないとおもっただけで!決してやましさから!」

「ちょっと驚いただけだよ、大丈夫」

狼狽する自分と違い、あんず殿はなんでもないように笑った。
そうか、他の人にもこうしてやるのだ、あんず殿は。
それはぷろでゅーさーとしてなんだろう。
だから、今繋がっている手はなんでもないのだ。

「・・・大丈夫じゃないほうが、」

「え?」

「・・・っ!なんでもない!ほら、さっさと移動しよう!」

自分が何を口走ろうとしたのか。
ごまかすように笑ってみせると、あんず殿も笑ってみせた。

 

 

恋とは、苦しいものなのか。

【プレイ感想】遥かなる時空の中で6

初めての遥かシリーズでした。
まさかこんなに沼るとは思っていなかった・・・
攻略した順に感想を書いていきます~。ネタバレありなので、ご注意を。
総括!とっても楽しかったです!!続編が今から楽しみで仕方がないです^ ^

 

 

 

 

 

ルードハーネ

1章のときからあなたを攻略しようって決めてました(右手を差し出しつつ)
ツイッター上で、フォロワーさんが遥か6プレイされてる方が多いので、キャラは結構把握してたつもりだったのですがね・・・
全然話題に上ってなかったからさ?ルードなんていうキャラがいると思ってなかったよね?
フードかぶってる子がいるな~くらいの認識ですよ。
まさかこんなに好きになるなんて・・・思わなかった。

めっちゃ可愛い。褒めるところはちゃんと褒めてくれるし、女性だからあれしろ、これしろなんてないし、
そしてなおかつハンカチもらって「可愛いって思うに決まってるじゃないですか」みたいなこと言われた日にゃもう。あーおー!!
SUKI!!ルードSUKI!!
ダリウス様命なのに、ダリウスの命をきかずに梓を懸命に助けようとする姿に号泣しました。
幸せにおなり・・・キススチルありがとうございました!!!!

 

 

九段

ルードプレイしているときから食いしん坊っていうことは認識。
キャラメルかなんかの広告入ってて喜ぶのも可愛いし、朝ごはん楽しみにしてるのも可愛いし、
アイスクリン好きなのかわいいし、千代ちゃんに叱られてしゅんとしちゃうのも可愛い。
可愛い男九段が時々ぶちかます男らしさ。
ドレス姿を褒める言葉が浮かばないっていって中座し、花束もって戻ってきた時には九段さんの虜です。
えーえー、何そのめっちゃかわいいやつ!!
梓ちゃんが抱きしめてるスチルが男らしくて笑いましたw
迷うことなく、一緒に現代へいく九段さん、最高です。
腹黒枠かと思いきや、癒し枠でした。

 

村雨

攻略するまではマダオだと信じて疑わなかった村雨さん。
小説書いてるとかいいながらロクに働いてないんだろ?マダオだろ??ってずっと疑ってました、ごめんね笑
村雨さんの演説めっちゃ泣きました。
そしてようやく見つけた梓を抱きしめながらぽつりぽつりと話す姿がたまらなかった。
いいよね。凄い恋する女になってた、梓ちゃんが。
ルード、九段さんって順番だったからこう、乙女度よりも漢前度が高い梓ちゃんばかり見ていた気がしたので、村雨さんすげー。
あとね!好きだって言葉は梓ちゃんにしか見せてくれないのね!!ED曲入る前に「うわー!!!なにそれ!すき!」って盛り上がりました。
プロポーズも何もおいしかったです。村雨さん、イケメンだ。

 

政虎

噂の卵焼きの彼。
フォロワーさんに虎好きさんがいまして、その方がめっちゃ卵焼き作ってたから何事かと思っていたらこいつの仕業でしたね笑一番いちゃいちゃしてるといえばしてるけど、口だけだからね!優しいね、とら!
黄泉にいってしまった梓ちゃんを追いかけて飛び込む虎に泣いた。
あの時にダリウス、ルード、コハクに別れを告げるわけですが、コハクと過ごした時間って1~2ヶ月程度だったじゃないですか。
コハクも虎にとって、仲間になってたんだなって思ったら泣けました。
梓ちゃんに呼ばれたらどこにでもかけつける。彼は紛れもないヒーローでしたね。

 

秋兵

シベリアの彼。
歯の浮くようなセリフをいっぱい言うから√入ったら冷たくなるのかなって思ったら全然優しかった。(偏見)
お父さんを助けたいけど、自分のエゴでそんなこと言えない。でも、見上げることしか出来ない。
そんなときの後姿が切なかったです。梓ちゃんがいて、本当に良かったね!
「一生分の恋をしました。」という言葉が印象的。

コハク

コハクの「あなた」って言い方が凄く優しく聞こえました。
コハクの記憶探しで、本当の名前が分かってからもコハクはコハクという名前を使うのよね。
梓からもらった大切なものだからだろうけど、あああ・・・ってなる。
告白の仕方も好きだし、コハクを助けるために記憶を失うことも厭わなかった梓ちゃんが好きです。
幸せになれよ!!

 

有馬

コロックさん。
有馬のまねをする秋兵が好きです笑
いーやー!!この人は鈍感っぷりが凄いよかったね!!最後まで鈍感で笑いましたw指輪かなって期待して、なんで勲章もらうんだよwww
いつまでも高塚呼びがまた良かったです。
二人で踊ってるうちに赤くなっちゃう有馬さん好き。そして多分むっつり。

 

ダリウス

ヒロイン枠かと思ったよ、ダリウス。
拒まれたことで傷ついて悲しんでるのが凄い分かる人。
ああ、傷ついたんだなって分かりますよね。あんなに楽しく買い物して似合うペンダント送って。
そして怯えられて。ダリウスは悪役に徹しきれない人なのかなぁ、と。弱い部分も含めて愛おしい人ですね。
そしてルードが可愛くて頭抱えましたw
お茶のおかわり持っていこうとして、察してコハク連れてもどるところも。
ダリウスが目を覚ましたのを見て、すぐ結婚式の手配するとことか。
長い時間、眠りについていたダリウスに自分だって駆け寄りたかっただろうに。
それよりも二人が喜ぶことをしたいと駆け出すルードが愛おしいです。
ダリウスの好みを把握して、ウェディングドレスを縫うルードが可愛いです。

 

つかの間の証(セラアリ)

夜。
セラスがベッドのシーツを整えている背中に足を忍ばせて近づく。
いや、音を立てないようにしたところでセラスが気付かないはずがない。
だけど雰囲気というものが大事だ。

「セーラス」

名前を呼んで、後ろから飛びついた。

「うわっ、ご主人様。危ないですよ」

そのままベッドへダイブすると、私はセラスの背中の上に乗った。

「あんたがついてて危ないことなんてあるの?」

「いえ、そういう意味ではなくて・・・」

セラスの首筋に顔を寄せ、子どもの頃にしたみたいに噛み付く。

「~っ、ご主人様」

「なに、痛いの?」

「いえ、それは全く痛くないですが」

「なら良いじゃない」

噛み付いたって歯型も残らない。
吸い付いてみても鬱血の痕も残らない。
さて、どうしたものかと考えていると私の下にいるセラスが動きが止まったことを不思議に思ったのか、身じろきした。

「ご主人様、もう動いてもよろしいでしょうか」

「ダメ」

強く制するとセラスは諦めたように動きを止めた。
私に忠実なセラス。
私が恋をしている相手。
まさかドラゴンに恋をするなんて思ってもみなかった。
けれど、私にとってこのドラゴンは手放せるわけもなく、本当は首輪でもつけて繋いでやりたい。
(そんな事いったら喜んで首輪をしそうだから絶対言わないが)

「じゃあいいわ、セラス」

セラスの上から降り、隣に寝転ぶ。
金色の瞳が私を見つめた。

「あんたが私に痕をつけてよ」

「・・・はあ」

「意味分かってる?」

「いえ、痕というのは、肌を吸って鬱血させることでしょう。
ご主人様を傷つけるのは、私にはとても・・・」

「うるさい。いいからしてみせて」

「・・・それでは失礼します」

困ったように眉間に皺を寄せるが、言い出したら聞かないことを分かっているセラスは私の首筋に顔を埋めた。
そしてさっき私がしたように、首筋を吸う。

「-んっ、」

「痛いですか」

「痕はついた?」

「赤くなっていますけど、どうしてこんな事を?」

「いいの」

どうしてそんな事をって野暮なことをこれ以上聞かれたくなくて、私は目の前のドラゴンの頭を掻き抱いた。そして、頭をなでてやると息を飲むのが分かった。
本当にこのドラゴンは頭を撫でられることが好きなんだから。
可愛くて仕方がない。

「あんたにも残せたらいいのに」

つかの間だとしても、何かをセラスに残したい。
そんなワガママを、私は望む。

 

「あなたが私にくれたものは、私の全てになります。
例えそれが形に残るものだろうと、そうでなかろうと」

「・・・そう」

セラスをきつく抱き締めると、私は微笑んだ。

Wenn sich ein Wunsch erfüllt 2(巳斗→詩生)

取り返しのつかないことをした。
彼女を傷つけてしまった。
僕はもう、彼女に会うことは許されない。

 

 

あの日、抑えが効かなくなった僕は彼女を傷つけた。
決して彼女の血から受けた影響だけではない。
あれは紛れもなく暴かれた僕のキモチだった。
里を追放され、一人で街で暮らすことになった。
これから里ではない場所で暮らしていかなければならない僕は、学校に通うことになった。
一人で生きていく術を身につけなさい、ということらしい。
彼女と接触してはならない。
それなのに、どうして僕と彼女は同じ学校になったのか。
穏やかになった日々のなか、彼女を見かけることは多々あった。
それは僕自身が無意識に探していたからだろう。
探してはダメだ、もう彼女に会ってはいけないんだから。
彼女は結局、トラ様もリュウ様も選ばず、日常を取り戻す選択をしたそうだ。
それにほっとしている自分がいて、酷く気持ち悪い。
自分には可能性がないのに、喜ぶなんてどうかしている。

 

忘れよう。
忘れなくちゃいけない。
僕は何度も何度も言い聞かせた。

 

そんなある日のこと。

 

いつものように彼女を探していると、見知らぬ男が傍にいた。
もしかして、恋人が出来たんだろうか。
ちくり、と胸が痛んだ。

もう追うのはやめよう。
いいきっかけだから・・・
そう思い、視線をそらそうとした時だった。
その男が彼女の腕を乱暴に掴んだ。
思ってもいない出来事に彼女も驚いたのか、表情が歪む。
気付いたら駆け出していた。
きっと彼女は驚くだろう。いや、忘れてるかもしれない。
それでもいい。

ただ、僕は彼女の役に立ちたかった。

 

 

男の手を振り払い、彼女を自分の背に隠すように割り込む。

「・・・え?巳斗・・・?」

「なんだよ、おまえ」

「あなたこそ何ですか。
彼女に触らないでください」

「は?」

目の前の男は突然介入してきた僕に不快さを隠すことなく睨みつけてくる。
僕の後ろにいる彼女が、僕の服の裾を握った。

「-っ」

どうしよう、嬉しいだなんて思ってはいけないのに。
彼女が僕を頼って嬉しいなんて。
じっと相手を見据えていると、諦めたのか舌打ちをして男は去っていった。

「・・・ありがとう、巳斗」

「いえ、その・・・すいません。あなたの前に姿を現して」

彼女は僕の前へ移動すると微笑んだ。
ああ、あの頃僕が焦がれた笑顔だ。

「どうして謝るの?私は巳斗に会えて嬉しいよ」

「・・・詩生さん」

「助けてくれてありがとう」

「僕も・・・ありがとうございます」

あなたの笑顔にもう一度会いたいと思っていた。
その笑顔が、僕に向けられなくても構わないから。
彼女が笑っていてくれればそれでいいと思っていたのに。

「・・・巳斗?どうしたの?」

「いえ、なんでもありません」

俯いた頬に一滴、涙が落ちた。

 

 

よくわからない人(リシャラン)

(・・・あ、リシャールだ)

休日のある日のこと。
買い物を済ませ、街をぶらぶらと歩いているとリシャールの後ろ姿を見つけた。
以前もこの通りで見かけたことがあって、挨拶すると「いきなり声をかけるな」と怒られたことを思い出した。
いきなり声をかけるなって難しい。
「声をかけますよ」って言って声をかけると、それもきっといきなり声をかけていることになるし。
でも、せっかく会ったんだから。
少しでもお話できれば嬉しいし。

どうしようかと考えている内にリシャールの姿は遠ざかっていく。

「あ・・・っ」

リシャールは気付いていないんだからそのまま見失ってしまっても良かったかもしれない。
だけど、気付いたら身体が動いていて・・・
駆け出して、リシャールの腕を掴んでいた。

「-っ!?」

「こ、こんにちは、リシャール」

「急に腕を掴むな!」

「ごめんなさい、こないだいきなり声をかけるなって言ってたから声かけない方が良いのかなって」

案の定思っていた言葉を言われ、ちょっと落ち込む。
ちょっとだけ落ち込んだことに気付いたのか、リシャールが戸惑ったように息を飲んだ。

「~、そこまでして僕に挨拶をしたかったのか、お前は」

「え?」

「なんだ、その反応は」

「え、えーと・・・そうかな?」

「そうか・・・」

「うん」

「・・・」

なんだか気まずい沈黙が流れる。
このまま立ち去ったらまた叱られる気がするけど、もうそれしかないだろう。

「お前はいつまで僕を掴んでいる気だ」

「え?あ、ごめんなさい」

リシャールを掴んでいた手を離そうとすると、その手をなぜかリシャールに掴まれた。

「誰が離せと言った」

「え、でも」

「お前は本当に愚鈍な女だ」

「・・・」

「黙るな、行くぞ」

「どこに?」

「お前は黙ってついてくればいいんだ」

黙るなって言ったり、黙れって言ったり・・・
リシャールはよく分からない。
だけど、私の手を掴むリシャールの手が少し汗ばんでいて、もしかして緊張しているのかな、と思うと全部可愛く思えた。

「ふふ」

「なんだ、いきなり笑い出して」

「ううん、なんでもない」

「・・・ふん」

なんでもない休日が、いつもと違う日になるまであと少し。

年下の彼(ルド梓)

手のひらに結界の種を乗せる。
あの戦い以来、この種が光ることはなくなった。

「なんだかルードくんみたいだね」

「どうかしましたか」

「この種」

手の中にある結界の種を見せると、ルードくんは笑った。

「懐かしいですね、なんだか」

「うん・・・でも、私はこの種をよく取り出すよ」

「そうなんですか?」

「だって、この種が私とルードくんを繋いでいてくれたから。
いつだってルードくんを近くに感じられたよ」

「・・・そう、ですか」

照れたとき、彼はよく口元を覆って隠そうとする。
初めて出会った頃は全然笑ってくれなかった。
キリっとした顔をしていて、年下なのに先生みたいでしっかり者のルードくん。
でも、褒めるときは褒めてくれて、嬉しかったなぁ。

「ふふ」

「・・・どうしたんですか」

本人を前にして、思い出し笑いってなんだか失礼かもしれない。
けど、ルードくんと出会って、みんなで一緒に暮らした日々や、離れた過ごしたあの日々はかけがえのない時間だったと思うから。

「ルードくんのこと、大好きだなぁって」

「・・・っ」

ルードくんが私の手を取ると、手の甲にそっとキスを落とした。

「私も、あなたが好きです。梓さん」

恥ずかしくて、私から目をそらしてしまう。

「どうして目、そらすんですか」

「だって恥ずかしくて」

「あなたから好きだと言ってきたのに?」

「だって、ルードくんがかっこいいことするから」

「・・・そうですか」

ちらりとルードくんを見ると、嬉しそうな表情に変わっていた。
あ、知ってるルードくんの表情だ。
年下のルードくんが、少しずつ大人の表情に変わっていく。
その度に私はドキドキしてしまうけど、まだもう少しだけ。
この種をくれた頃の可愛くてかっこいいルードくんのままでいてくれますように。そんな事を願いながら私は微笑んだ。

いつもじゃなくなるその時(マイアリ)

「ねえ、マイセン」

「んー?なんだ?」

いつものように兄の背中に言葉を投げる。
・・・いや、いつもではないか。シンフォニアに滞在している間・・・マイセンが秘密の館にいる間だけの『いつも』だ。
私の従者が決まって、ここを離れることになれば終わる『いつも』だ。

「あんたの初恋っていつ?」

「…どうしたんだよ、急に」

「別に。ただちょっと気になっただけ」

私が知っている頃のマイセンは誰かを好きになっていたんだろうか。
共に過ごす時間のなかで、他の誰かに心を奪われたりしていたのだろうか。
ふとそんな事を考える自分がいた。

「…さあ、いつだったかな」

振り返り、ちらりと私を見つめると何事もなかったようにフラスコを振りなおす。
緑色の液体がゆっくりと蒼色に変わっていく。
不思議な光景だ。どういう原理でそうなるのか、全く分からないけれどそういうのを見ると少しわくわくする。
マイセンは私が生まれて初めて出会った魔法使いだ。
私の国で魔法が使えない人間は私だけなのだから、その他みんな魔法使いなのは分かっている。
だけど、魔法というものが凄いと教えてくれたのはマイセンだ。
だから私にとって初めての魔法使いはこの男だ。

「大昔のことすぎて、忘れたの?」

「…ああ、そうだよ。手のかかる妹が傍にいたからそんな時間なかったかもな」

「…その妹から離れたのはあんたのくせに」

いつも一緒だった。
幼い頃私の手を握ってくれたのはマイセンだ。
他の子どもと喧嘩して泣いている私の頭を撫でてくれたのもマイセンだ。
寝付けない私に絵本を読んでくれたのもマイセンだ。
この男が私を遠ざけるようになって、どれだけ幼心にも傷ついたか分かるまい。

「なんだ、アリシア。お兄ちゃんが恋しくなったか?」

「…だったらどうするの」

蒼い液体が、赤に変わった。
マイセンは振り返らない。

「恋しくなったっていったら、久しぶりに私を寝かしつけてでもくれるの?」

振り返らない事が面白くなくて、言葉を重ねる。
なんでもいい。反応してみせて。
この男が手の届く場所にいるうちに、私は知りたい。

「…お兄ちゃん離れできないんだな、おまえは」

フラスコを机の上に置くと、マイセンは振り返った。
私が言葉を紡ぐ間もなく、座っていたソファの上に押し倒された。

「…っ、マイセン」

驚いた。
驚いて私の上にいる兄をじっと見つめる。
マイセンの顔が苦しそうに見えた。
マイセンの指が私の唇をなぞると、隙間を半ば無理やり開かせる。
何をしたいんだろう。
何をされたいんだろう。
私は抵抗もせず、兄であるこの男の動きをひたすら見つめた。

「アリシア」

ころん、と口の中に甘いものが入ってきた。

「…イチゴ味?」

「これでご機嫌は直ったか?」

マイセンがいつものように軽薄に笑った。
いつもの空気に戻ると、私はまだ上に乗っているマイセンをどけようともがいてみせた。

「重い!どけなさいよ、XXX兄!」

「俺はXXXじゃない!」

「はやく!」

「しょうがないなあ」

ようやく私の上からどけると、またフラスコを振りに戻った。
赤くなった液体を見て、マイセンはため息をついた。

「あー、やり直しだ」

「あんたって、いっつも失敗ばかりね」

「そんな事はないぞ」

「だって私が見ている限り、失敗多いわ」

「…それはそうだろうな」

「え?」

「いや、なんでもない。タイミングが悪いだけだ」

「ふーん」

いつも通りの背中。
いつも通りのマイセン。
私は、この男のことを本当は全然知らないのかもしれない。

いただきます。(ルド梓)

ルードくんと一緒に暮らすようになってまだ数週間。
蠱惑の森で一緒に暮らしていた時も一つ屋根の下だったけど、二人きりの生活ってちょっと照れくさい。
今日は私が朝ごはんの当番だったので、先に起きて台所で支度をしていた。
ルードくんが作る食事はなんでも美味しいけど、どちらかといえば洋食のほうが得意だ。
だからというわけでもないけど、それなら私は和食の腕を上げよう!と自分が当番のときは和食を作るようにしている。
今日の朝ごはんはねぎとお豆腐のお味噌汁と、鯖の塩焼き、ほうれん草のおひたし、卵焼き。
献立に必要なものを取り出し、作り始めようとしたその時だった。

「梓さん」

「どうしたの?ルードくん」

身支度を済ませたルードくんが台所にやってきた。
なにやら真剣な表情で私を見つめると、意を決したようにルードくんが手を握った。

「僕にも卵焼きの作り方、教えてください」

「・・・え?」

それは唐突なコトバだった。

 

 

 

 

「・・・えーと、じゃあはじめるね」

「はい、よろしくお願いします」

ルードくんが礼儀正しくしてくるから、私も自然と背筋が伸びた。

「まず卵を割ります」

卵を割ってかき混ぜ、味付けをする。
鍋も同時進行で温めておくことも忘れない。
きっと色々なものを作れるルードくんなのだから、卵焼きの作り方も知っているだろうに・・・
どうしたの?という質問をさせない真剣な瞳に圧されて、私は一つ一つの工程を伝えた。

「これで完成です」

「ありがとうございます」

完成した卵焼きはちょっと緊張して作ったせいか、いつもより焦げてしまった気がする。
まだ熱い卵焼きを包丁で切り分け、一つをルードくんの口元へとやった。

「あ、梓さん?」

「味見、必要でしょ?」

「・・・はい」

差し出された卵焼きと私の顔を交互に見つめ、小さく頷く。
それが可愛らしくて、ちょっとからかいたくなった。

「あーん」

「・・・あーん」

促されるまま口を開け、そっといれた卵焼きを咀嚼する。

「美味しい?」

「・・・っ、ええ、とても美味しいです」

「良かった。それじゃあ朝ごはんの支度しちゃうからルードくんは待ってて」

「いえ、私も手伝います」

「でも、今日は私の当番なのに」

「私が朝から無理を言ったんです。手伝わせてください」

「・・・うん、お願いします」

今日の献立を伝えると、ルードくんは相変わらず手際よく料理を手伝ってくれた。

「ねえ、ルードくん」

「なんですか?」

「どうして急に卵焼きの作り方なんて」

「・・・」

「教えて欲しいな」

「・・・以前、虎が梓さんに習ったというのを思い出したんです」

いつかの夜。
眠れなくて台所に行くと、虎がいて。
卵焼きを教える流れになったのをそのコトバで思い出した。
懐かしいな、あの頃。

「もしかして、虎に妬いたの?」

「・・・当たり前でしょう」

冗談で言った言葉を頷かれてしまい、今度は私が照れる番だ。

「・・・ルードくん」

「あなたの事なら何だって知りたいんです、僕は。
きっとこの卵焼きにだってあなたの思い出が詰まっているのでしょう?」

「うん、そうだね。
今度聞いてもらってもいい?」

「ええ、もちろんです」

気付いたら、見つめ合って笑いあっていた。
照れを誤魔化すように少し冷えた卵焼きをつまみ食いすると、いつもより甘く感じた。
もしかして、ルードくんと一緒に作ったからかな。
甘めの卵焼きって熱いうちも美味しいけど、少し冷めた方が甘さが分かるからちょうど良かったかも。

「じゃあ、そろそろ朝ごはんにしよう」

ルードくんと囲む食卓が、幸せな一日の始まりだ。

2~4月プレイ状況

お久しぶりです。2~3月の仕事の忙しさはちょっと落ち着いたので、これからはちまちまいつも通り書いていければと思います!
そんなわけで最近のプレイ感想です~。先に言いますね、ルド梓に落ちました笑

 

 

 

 

大正鬼譚~言ノ葉櫻~

嶽屋と嶽屋のための物語(違う)
そんなわけで続編でしたね・・・!!相変わらず嶽屋にしか目がいかず、二人のENDが幸せなものであって本当に本当に良かった・・・
お子様END最高に好き!あさがやちENDの嶽屋との関係性も凄く美味しかった・・・!

 

恋は校則に縛られない

今年に入ってからプレイしたんだ!?って今びっくりしてます笑
十弥が私の愛するキャラにそっくりな見た目をしておりまして・・・(某笛のフリーマン)
発売した頃からずっと気になってたし、最愛です!が、朝霧になんか全部持っていかれましたね!!www

赤ずきんと迷いの森

エロ書くためにはエロの勉強だ!っていって大量に買ったエロゲーその1。
面白かったですよ!!きつねさんが一番好きです。エロシーンめっちゃ勉強になる~!ってなったのは猟師さん。
ヒロインにボイスついてるのいいね!!

 

もし、この世界に神様がいるとするならば。

別に感想を書いていますので、割愛。
ぼろくそいってますが、ハルカちゃん好きです。

 

英国探偵ミステリア The Crown

ワトソンをあんなガチムチにしたことは許さない。
続編が出たとしても買わないかもな~っていうのが感想でした。

 

青の嗜虐 緑の被虐

エロ書くためにはエロの勉強だ!っていって大量に買ったエロゲーその2。
ちなみにこれはゲームというよりドラマCDみたいなものです。
どのキャラも良かった!!主従もの好きな私にはとっても楽しめました。

 

ボッチムスメ×プロデュース計画。

エロ書くためにはエロの勉強だ!っていって大量に買ったエロゲーその3。
二人しか攻略キャラがいないので一日ずっとやってたら終わりました!
ヒロインボイスありです、可愛い。
かるーい気持ちでかるーく出来るのでおすすめ。

 

逢魔時〜怪談ロマンス〜

和泉やばい。和泉がやばい。めちゃくちゃクリティカルヒットでつらい。
由良城も可愛かったです~!わんこ大好き!!続編やるの楽しみです!

 

ヴァルプルガの詩

誰か私に巳斗詩生を・・・!!!
トラが好きなんじゃないかな~と個人的には思ったわけですが、なんということでしょう!
リュウとフィンスですね!トラも好きだけど、リュウとフィンスはずるい。
巳斗詩生に無限の可能性を感じてるので、書きたい欲むくむく。

Glass Heart Princess PLATINUM

やっぱり真之介に泣かされますよね。本当良い。結婚しろって思ってたら結婚したので次は子どもを・・・!!
幸斗のサイドストーリーにはにやにやしまくりました。可愛いなぁ、かわいいなぁ!!
凱のサイドストーリーはオトメイト作品をいっぱいやってる人にはご褒美でしたね!!ありがとうグラハ!!

 

遙かなる時空の中で6

まだ一人しかクリアしていないんですが、もうクライマックスです。
ルード!!ルード可愛すぎかっ!!!!
久しぶりに可愛すぎて枕ばんばんしました笑
もう可愛い。本当かわいい。遥か6恐ろしい。まさかこんな萌えがあると思ってなかったから本当凄い。
ありがとう、ルド梓。いっぱい書きたいルド梓。

Baby baby(フィンス×詩生)

誰かに強く惹かれた琴が今まで一度もなかったんだと思う。
だから初めはこの気持ちがなんなのか、どの程度なのか、どういうものなのか・・・分からなかった。
あの人が私の目の前から消えてからもうどれくらい経っただろう。
数えるのが嫌になった日はいつだったのか、
そもそもいつ、あの人がいなくなったのかさえもう分からない。
眠る時、いつも思ってた。
次に目を覚ましたとき、あの人の存在さえも忘れてしまったらどうしようと怖かった。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ん」

心地よい。
私に触れる誰かの手が愛おしい。重たい瞼を開けると、彼がすぐ傍にいた。
傍にいた、という距離ではない。
ぼんやりとした頭で状況を整理する。
フィンスが腕枕をしてくれていた。

「・・・フィンス?」
「どうした」
「どうしたの?」

暗闇の中、彼の真紅色の瞳が私を見つめている。
そっと頭を撫でる手がさっきの心地よさの正体だった。

「ひさしぶりにぐっすり眠ったかも」
「そうか」

思えばフィンスと離れてからあんまりよく眠れなかった。
彼は甘やかすように私の頭をなで続ける。

「でもどうして頭をなでてるの?」
「おまえもしてくれただろう」
「そうだったね。覚えてくれてたんだ」
「おまえのことで俺が忘れるものなんて何一つない」

平然と、彼はそういう言葉を口にする。
昔は彼の言葉の意味や重さに返せるものは何も持っていなかったからどうしていいか分からなかった。

「私も、もうあなたの何もかも忘れない」

こうやって眠る私を抱き締め、頭を撫でてくれたことも。
私の言葉を聞いて、目が少し笑ったことを。

全部全部、忘れない。

「フィンス、大好き」

 

あなたと迎える朝が、いとおしい。

穏やかな昼食(リュウ×詩生)

お兄ちゃんがいない土曜日。
午前中に学校が終わると、そのままリュウと一緒に家に帰った。

「あ、」
「どうしたの?」
「ケチャップが切れてたの忘れてた」

リュウはオムライスが好きだ。
チキンライスの上にふわふわの卵を乗せてから真ん中に包丁をいれる。
すると、トロリとした卵がチキンライスを覆う。
いつもその工程をリュウはじぃっと見つめている。
だからこうやって一緒にゆっくり過ごせる日はオムライスを作ることが多い。

「私ちょっと買ってくるね」
「いや、ボクがいってくる。君は料理の途中でしょ」
「じゃあお願いしてもいい?」
「ん」

こくりと頷き、リュウは出掛けていった。
オムライスは作れないから、その間にサラダとスープでも作っておこう。
スープにいれる人参を飾り切りする。
こういうちょっとしたことをリュウは喜んでくれる。
出会ったばかりの頃はリュウが何を考えているのかよく分からなかった。
けど、最近はちょっとした表情の違いにすぐ気付けるようになった。
・・・これが普通の彼氏彼女っていうことなのかな。
そんな風に思うと自然と笑みが零れた。
サラダはレタスと水菜、ミニトマト、コーンなどを盛り付けて完成。
あとはスープを煮込んで、リュウが帰って来るのを待つ。

 

 

がちゃ、とドアが開く音が聞こえたのですぐ玄関まで駆けた。

「おかえりなさい、リュウ」
「・・・ただいま」

手にぶら下げた買い物袋を受け取ろうと手を伸ばすと、それを理解したのかリュウが手渡してくれた。

「ありがとう」
「いいえ」

キッチンへ戻って支度の続きをしよう、とくるりと反転すると肩をリュウにつかまれ、抱きすくめられた。

「リュウ?」
「・・・キミがこうやって迎えに出てくれるのも、悪くないね」

大きなお屋敷で育ったリュウとトラ。
いつだってトラと一緒だっただろうが、実のお母さんは早くに他界し、彼らは様々な重責を強いられた。
リュウは、誰かにこうして触れることが少なかっただろう。

「一緒に暮らせるようになったら毎日おかえりって言うね」
「うん」

リュウの帰る場所。
リュウの安らぐ場所になりたい。
私は抱き締めてくれるリュウの腕にそっと触れた。
抱き締める腕の力が緩まると、身体を少し振り向かせられ、そのまま唇が重なった。

 

 

 

 

チキンライスに卵を乗せ、包丁でひらく。
それをじいっと見つめるリュウ。

「出来たよ、リュウ」
「ん」

リュウのオムライスには大きくハートを描いてみた。
ちょっと恥ずかしいけど、リュウが嬉しそうに笑った。

「いただきます」
「いただきます」

二人で手を合わせる。

「ん、おいしい」
「良かった」

昔はなかなか素直に美味しいって言ってくれなかったけど、素直じゃないリュウも可愛かったかもしれないって昔を思い出して微笑んでしまう。

「あ、」

スープのなかに入っている人参をみて、リュウが声を上げた。

「これ」
「あ、当たり!」

一つだけ、犬型にしてみたものがリュウのところに行ったようだ。

「・・・当たりか」
「うん、当たり」

いつだったか、一つしかない双子のいちごをリュウのお弁当にいれた時、リュウはなんでもない顔をして食べていたけど。
もしかしたら今みたく嬉しかったのかな。
リュウの微笑む顔をみて、幸せをかみ締めていた。

Wenn sich ein Wunsch erfüllt(巳斗→詩生)

叶わないことは分かっている。
それなのに、彼女が笑うと胸が苦しくなった。
手を伸ばす権利さえ、僕にはないのに。

 

「あ、巳斗!」
「どうかされましたか?」
「今ね、マフィン作ったの。だから巳斗にも良かったら」
「・・・っ、ありがとうございます」
「まだあったかいから、今のうちに食べてね」
「・・・はい」

彼女が手渡してくれたマフィンを両手でそっと包むようにする。
彼女が言ったとおり、まだ温かかった。

「温かいですね」
「でしょう」

マフィンだけじゃなく、彼女自身も・・・温かくて、眩しい。

 

 

屋敷の離れに軟禁されるみたいな形になった彼女を見張るのが自分の務めになった。
彼女自身は軟禁されているということには気付いていないようで、僕の顔をみるといつも通り笑ってくれる。

 

「あの」
「どうかしたの?」
「これ、見回りに行った時に見つけたので良かったら・・・」

山に咲いていた花。
その花を見つけた時、彼女が喜ぶんじゃないかと思いついた時には既に名前も知らない黄色い花を一生懸命摘んでいた。

「わあ、ありがとう!凄い綺麗だね!」
「・・・良かったです」

花を受け取ると、いつかの日のように笑ってくれた。

「ありがとう、巳斗」
「いえ、僕にはこれくらいのことしか出来ませんから」
「ううん、そんな事ないよ。
ちょっとだけ、不安だったから。少し安心した」

そう言ってまた、笑顔を作る。
いつも笑ってくれる彼女は、僕にとっては酷く眩しくて手が届かない。
遠い存在-
長になる人・・・つまりはトラ様かリュウ様のお嫁さんになる人なのに。

「そんな顔、しないでください」

気付けば彼女を抱き締めていた。
驚いたように腕のなかの彼女は息をのむ。

「み、巳斗?」
「僕の前で、無理に笑わないでください」
「・・・っ」
「僕は、あなたが・・・」

慌てて体を引き離す。
今、自分が何を口走ろうとしたのか。
抱き締めた彼女の身体は柔らかく、花ではないが甘い蜜のような香りがして-

「すいません、忘れてください!」

僕は彼女の顔をまともに見ることが出来ず、その場を逃げ出した。

 

 

「あれ?巳斗、見張りは?」
「・・・っ、」

宇佐が僕の姿を見つけ、声をかけてくる。
平静を装うとしてもダメだ。
熱くなった頬を誤魔化せない。

「巳斗」
「分かってるから、何も言わないで」

早鐘のように打つ心臓の意味が、その答えが、どこにあるかを。
まだ自覚なんてしたくないのだ。
ただ、届かない手を伸ばしてはいけなかったのに。
彼女の笑顔がまぶたの裏に焼きついて、忘れられない。

お昼寝の時間(ヴィルラン+子ども)

※オリジナルキャラとして二人の子どもが出てきます。苦手なかたは閲覧をご遠慮ください※

 

 

 

ヴィルヘルムの仕事は不規則だ。
学校に通っていた頃は基本的に土日はお休みだったけど、働くようになってからはそうもいかない。
3日働いて1日お休みとか、そういう時もあれば平日働いて土日お休みとか・・・とにかく色々だ。
今日は夜勤明けに新人に稽古をつける約束をしているとかでお昼を過ぎてもまだ帰ってこない。

「お母さん、いつお父さんかえってくるの?」
「うーん、もう少しかな?」
「さっきもそういったー」

もうお昼寝の時間だ。
眠いのを我慢しているからか、いつもならこれくらいでは不機嫌にならない娘もさすがに今日はご機嫌ななめだ。
ヴィオレッタは私の手をとり、ゆらしながら駄々をこねはじめる。
おそらく、あと1時間くらいかとは思うけど、それまで起きていられないだろう。
ヴィオレッタをどう説得しようか考えていると、先に子ども部屋で布団にもぐっていたはずのロニが目をこすりながら戻ってきた。

「ヴィオレッタ、ねるぞ」
「やだ、お父さんまってる」
「父ちゃんがかえってきたとき、ヴィオレッタがおきてたら父ちゃんおかしいなっておもうぞ」
「・・・でも」
「ほら」

私の手を掴んでいたヴィオレッタの手を、ロニがきゅっと握るとヴィオレッタは小さく頷いた。
眠そうな背中を私は見送りながら、子どもの成長を感じた。

「・・・ありがとう、ロニ」

ぱたんと小さな音をたててしまった子ども部屋に私はそっと感謝を伝えた。
それから30分も経たないうちに玄関のドアが開く音がした。
あまり大きな音をたてると寝たばかりの子どもたちが起きてしまうので、足音を忍ばせて玄関まで迎えに出る。

「おかえりなさい、ヴィルヘルム」
「おう、ただいま」「おなか空いてない?」
「あー、大丈夫だ。シャワー浴びてくる」
「うん、着替えは出しておくから」
「悪いな、頼む」

ヴィルヘルムがシャワーを浴びている間に着替えを出しておき、リビングに戻って編み物を再開する。
最近、レースの編み物にはまっていて、時間を見つけては少しずつ進めている。

「あー、さっぱりした」
「気持ち良かった?」
「ああ」

私の隣に座ると、じっと手元を見つめる。

「いつ見てもなんか良くわかんねえな、それ」
「もう・・・可愛いでしょ?」
「あーはいはい、そうだな」

ぽんぽんと私の頭に触れられると、なんだか昔を思い出した。
左側に感じる体温。それが凄く心地よい。

「あー、さすがにちょっと疲れたな」
「少し寝たら?子どもたちもお昼寝してるし」
「いや・・・寝ねーよ」
「まだ夕食まで時間もあるし」「・・・おまえと二人きりの時間だろ」
「・・・そうだね」

昼下がり、二人でこんな風に過ごすのは久しぶりだ。
何をするわけじゃないけど、こうやって寄り添っているだけで安心する。

「さっきね、ヴィオレッタがヴィルヘルムの帰りはまだかってぐずっちゃって」
「あー・・・そうか」
「でも、ロニがお昼寝に連れてってくれて助かっちゃった」
「あいつも男だな」
「ふふ、そうね」

何気ない会話。
何気ない時間。
そういうものがかけがえのない欠片になっていくのかな。

 

 

 

「-ってことがあってよ、」

仕事から帰り、ランと何気ない話をしているとこてんと肩にもたれてくる頭。
レース編みだとかいうのにはまったらしく、時間があれば黙々とよく分からないものを編んでいる。
ランの手からその編み物の道具やらを外し、テーブルへ置く。

「・・・お疲れさん」

眠るランにそう声をかけると、いつの間にか俺にまで睡魔が移ったのか。
気付けば意識を手放していた。

 

 

 

 

「お父さんかえってきてるー!」
「ヴィオレッタしずかにしろよ」

物音で目が覚めたらしいヴィオレッタに揺すられ目を覚ました。
ふたりでリビングへ行くと父ちゃんと母ちゃんがソファで眠っていた。

「あ、ロニ」
「ん?」

さっきオレが手をひいたように今度はヴィオレッタがオレの手をひいた。
子ども部屋に戻ると、さっきまでオレたちが使っていたタオルケットを手にとった。

「持っていってあげようよ」
「ああ、そうだな」

ふたりで協力してタオルケットを持つと、ソファでねむっている二人にかけてやる。

「お父さんあったかい」
「ああ、あったかいな。母ちゃんも」

ヴィオレッタは父ちゃんの膝を枕にするように丸まり、オレも父ちゃんの足にもたれた。

「おやすみ」
「おやすみなさい」

みんなのぬくもりに安心して、オレもヴィオレッタもまたすぐ眠ってしまった。
たまにはこうやってみんなでぎゅうぎゅうにくっついて寝るのも悪くない。

そんなある日の昼下がり。

その横顔が愛おしい(アキアイ)

さりげなく。
さりげなくしているつもりだけど、きっとバレている。

「アイちゃん、どうかした?」
「え?なにが?」
「今日は落ち着きがないね」「えと、そ・・・そうかな」
「うん、そうだよ」

学校帰り。
いつものように玄関で待ち合わせをして一緒に帰る。
最初はみんなが見えるようなところで手を繋いだりすることが恥ずかしかったけど、アキちゃんの顔を盗み見たら凄く嬉しそうな顔をしていたから振りほどけなかった。
それからずっと手を繋いで歩くようになった。

「あ、今日の帰りは駅前に新しくできたジェラードのお店いこうよ。
アイちゃん、好きでしょ?」
「ジェラード…!?」

アキちゃんの言うとおりもちろん大好き。
嬉しくて頷こうとしたけど、今日は私を喜ばせる日じゃない。

「あ、あのね。アキちゃん。
昨日、お菓子つくったから今日はうちに来ない?」
「いいの?」
「うん。いっぱい作ったから食べて欲しいんだけど、ダメかな?」
「アイちゃんがつくるものだったら例え黒こげでもなんでも良いよー!」
「もう・・・そんな失敗しないよ」
「例えばだよ、例えば」

楽しみだなーって嬉しそうに笑うアキちゃんにほっと安堵した。
バレてないみたい。

 

家に着くと、アキちゃんはリビングのソファに腰掛けた。
もう何度も来ている私の家はアキちゃんにとって第二の家なのかもしれない。

「アキちゃん、紅茶でいい?」
「うん!何か手伝おうか?」
「ううん、大丈夫だよ」

紅茶を淹れるためのお湯を沸かしながら、冷蔵庫にいれておいたケーキを取り出す。
よし、崩れてない。大丈夫!
チョコレートで書いたプレートの文字も読める。いそいそと運ぶ準備をしつつ、ポットにお湯を注ぐ。
これは以前、アキちゃんが私にプレゼントしてくれた茶葉。
気付けばそれが大のお気に入りになっていた。

「アキちゃん、ちょっとだけ目瞑って」
「え、キスでもしてくれるの?」
「ち、ちがうよ!でもいいから!」
「はぁーい」

アキちゃんは私をからかいながらもちゃんと目を閉じてくれた。
足音を立てないようにしながら、私はアキちゃんの目の前にケーキを運んだ。

「アキちゃん、目をあけて」
「・・・」

目をあけると、アキちゃんは驚いたように目の前にあるケーキを見つめた。

「アイちゃん・・・これ」
「アキちゃん、お誕生日おめでとう!」

ぱちぱちぱち、と拍手すると思い切りアキちゃんに抱き締められた。

「アイちゃん、アイちゃん・・・っ」
「アキちゃん、苦しいよ」

ぎゅうっと抱き締められ、アキちゃんの顔が見たいのに全く見えない。
すると耳元に鼻をすするような音が聞こえた。

「アキちゃん、もしかして」
「まさかアイちゃんにこんな風にお祝いしてもらえるなんて想ってなかったから・・・」

嬉しくて泣いて・・・くれてるの?
驚きながらも、そんな風に喜んでくれたことが嬉しくて私もアキちゃんをそっと抱き締め返した。

「アキちゃん、おめでとう。大好きだよ」
「うん・・・ありがとう、アイちゃん」

それからしばらく抱き締められたまま、アキちゃんの背中をぽんぽんとあやし続けた。
ようやく落ち着いて、顔を見せてくれたアキちゃんは少し照れくさそうに笑った。

「ねえ、これ写メ撮っていい?」
「いいけど、恥ずかしいから他の人に見せちゃダメだよ?」
「ええー自慢したいなぁ。俺の彼女はこんな可愛いことしてくれるって!」
「・・・もう、」

私が困ったように笑うと、アキちゃんはそっと頬に口付けた。

「ありがとう、アイちゃん。さっきから何回も言ってるけど、すっごい嬉しい」
「あ、あとね。これ・・・」

ポケットにいれていた小さな包みを渡す。

「男の子にこれは変かな・・って思ったんだけど似合うかなって」

アキちゃんは包みを開くと笑った。

「これ、アイちゃんとお揃いだ」

それはこないだ私が一目ぼれして買ったヘアピンだ。
私は赤。アキちゃんは黄色。
小さくビーズがあしらわれていて、とっても可愛くて気に入って買ったのをアキちゃんも見ていた。

「勉強するとき、前髪邪魔だっていってたでしょ?だから」
「ふふ、ありがと。アイちゃん」

私に見せるようにアキちゃんはすぐピンをつけてくれた。

「どう?似合う?」
「うん、とってもかわいい」
「・・・可愛いじゃなくて、俺はかっこいいって言われたいんだけどなー」

わざとらしく不貞腐れるアキちゃんの頬を両手ではさむ。
恥ずかしいけど、今日はトクベツな日だから。

「・・・っ」

そっとアキちゃんへ口付けた。

「・・・アキちゃんはいつもかっこいいよ」

恥ずかしくなってアキちゃんから手を離そうとすると、逃がすまいといわんばかりに私の手を掴んだ。
そのままそっとソファに押し倒される形になり、恥ずかしくて私はアキちゃんの胸を押し返そうと空いてる手を伸ばしたが-

「アイちゃん、反則」

アキちゃんの声がとても嬉しそうな声だったから、私は大人しく目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

「んー美味しい!」

淹れなおすと言ったんだけど、せっかく淹れたんだから勿体ない!とアキちゃんがカップを話してくれなかったため、
すっかり冷えてしまった紅茶をお供にアキちゃんがケーキを頬張る。

「良かった」
「今日お祝いしてくれるのかなってわくわくしてたんだけど、予想以上に嬉しいもの貰えてもう本当俺ってば幸せ者だな~」
「・・・やっぱり気付いてた?」
「大好きな彼女のことだからそれはもう当然」

アキちゃんにはやっぱり敵わないな。
そんなことを想いながらアキちゃんの横顔を見つめた。

結局そういうこと(和泉×静)

保健室へ行くと、先輩が手当てを受けていた。

「なに、和泉ったらまたバテたの?」
「・・・だったらどうなんです?あなたには関係ないでしょう」
「零次、ベッド空いてるから休んで構わないよ」「ああ、そうする」

上着を脱いで、近くの椅子にかけてからベッドにもぐりこむ。
普段ならベッドに潜り込んでしまえばすぐ眠ってしまうのに、今日は目を閉じても一向に睡魔が来ない。
その理由は・・・分かっているが。

「涼江、痛くない?」
「ええ、もう大丈夫よ。ありがとう」
「そんな・・・いいんだよ、これくらい」

 

ああ、声だけ聞いても分かる。
閨悟が先輩のことが好きで好きで仕方がないということが。
先輩はどう想っているんだろうか。
いや、他の人に対する態度と閨悟に対する態度は変わらないように見える。
だからきっと好きではないのだろう。
・・・他の人って誰だ。
ふと、自分と閨悟への態度を比べている自分に気がつく。
閨悟と同じということは、僕のことも何とも思っていないということ。

「・・・はぁ」

自然と漏れたため息。

「調子悪いの?」
「・・・っ!」

油断していた。
気付けば先輩が僕の額に触れていた。
女性のほうが体温が低いのか、それとも僕が今熱いのか。
分からないけど、ひんやりとした手に驚いて目を開けた。

「大丈夫です。放っておいてください」
「あら、そう」

額から先輩の手が離れる。
なぜか、それが少しだけ寂しい。

「はい、これ」
「・・・これは?」「購買でおまけにもらったの。あげるわ」

手に握らされたものを見ると、小さな狐のストラップだ。
今、狐さんシリーズといってお茶のおまけについてくるというものだけど、僕が買いに行くとなぜだか手に入らないレアもの。
それをまた、先輩は・・・

「・・・ありがとうございます、先輩」

嬉しくて、顔がにやける。
そんな僕をみて、先輩はくすりと笑った。

「ゆっくり休んで、はやくいつもの和泉に戻ってね」

まるで小さな子どもをあやすように僕の頭を優しく撫でると、ベッドを離れて出て行った。

「・・・はい」

先輩がいなくなった頃にようやく小さく返事した。
狐さんストラップをもう一度見つめ、笑みが零れた。

嘘つき(マイアリ)

久しぶりに妹の顔でも見ていくか、となかなか手に入らない薬草を土産に家に立ち寄った。

「お久しぶりです。マイセン様」
「おう、セラス。元気にしてたか?」
「ご主人様は相変わらずですけどね」

妹の忠実な僕であるドラゴンは困ったように笑った。
おそらく睡眠時間だったり、諸々を削っているのだろう。
さすが我が妹。没頭すると何もかも見えなくなるようだ。
セラスといくつか言葉を交わし、俺はアリシアがいる部屋へ移動する。
数回、ドアをノックするが返事はない。
そっとドアを開くと、アリシアがいた。

 

「・・・ひさしぶりだな」

微かに寝息を立てて、アリシアは眠っていた。
実験が一段落したのか、ソファの上に寝転がり、胸元には読みかけの本が載っていた。
足音を立てないように一歩ずつ近づき、アリシアのすぐ傍にしゃがみこんだ。

こうしていると昔のことを思い出す。
怖い夢を見た時だったり、急に寂しくなってしまったとき、寝付けないとき・・・高熱を出したとき。
アリシアの手を握ってやっていた。
俺以外に縋るものがなかった幼い妹は、その小さな手で俺の手を握り返した。

「アリシア」

アリシアの左手を取り、両手で包み込むと俺は目を閉じた。
幸福になることを願ってる。
願ってるのに、アリシアが誰かの手を握る日なんて来なければいいのに、と願う自分がいる。

「・・・アリシア」

何度も名前を呼ぶ。
その姿は、まるで神様にすがる囚人のようだ。

 

 

「マイセン・・・?」

小さな声が聞こえたと思ったら、そっと俺の頬に触れる手。
目を開くと、眠そうな顔で俺を見上げるアリシアがいた。

「・・・おはよう、アリシア」

「・・・なにかあったの?」

「え?」

「マイセンが泣いてるのかとおもった」

驚きを隠すように俺は笑みを浮かべる。
握っていた手をそっと離そうとすると、今度はアリシアに握られてしまった。

「なんだか小さいときみたいね」

「・・・そうだな。もう少し寝ておけよ」

「わたしが起きるまでいてくれるなら」

寝起きだからだろうか。
まるで昔に戻ったみたいに、アリシアが可愛らしいことを口にする。

「ああ、いるよ。お前が望むんならいくらでも」

「嘘ばっかり」

「嘘じゃないから・・・おやすみ、アリシア」

「おやすみ、マイセン」

再び眠りに落ちたアリシアの額にそっと口付けを落とした。

 

【プレイ感想】もし、この世界に神様がいるとするならば。

ようやく終わりました・・・。長かった・・・
普段だったら個別にキャラの感想を書きますが、今回はそういうのもなく、とにかく気になってることを書きますので、大いにネタバレです。
そして、もし神好きな方はいらっとするかもです。諸々すいません。ぼろくそ言ってます。では、いきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どういうことだってばよ!

まず、ハルカについて。

中つ国のハルカは10歳になる前に、親が再婚し、養父と義兄ができましたよね。
そこで養父に性的虐待をうけてると思われる描写が出てきてはいましたが、おそらく兄の友人が処女を奪ったと思われます。
その現場をみて、兄はぷっつんしてしまい、友人殺すし、妹を犯すし、その行為に耐え切れなくなって自殺しちゃうし。
残されたハルカはしばらくは性的虐待を養父から受け続けますよね?
意味が分からないだろうし、傷ついた身体も心も抱えて、引っ越した先でネジたちと出会いますが、そこで結局男の子たちと一緒に遊べない・自分が女だからつらい思いをした。
「私は私でありたくない」という結論にたっしました。
が。

根の国で、彼女は性別が分からない病気を抱えてます。
女でありたくない気持ちがそうさせた、ということでしょう。
しかし、ネジ√では兄の友人・兄にレイプされたことを思い出し、それをネジに知られたら嫌われる!
キョウ√では、というかキョウ自身も幼少期、男の人から性的虐待をうけていましたが、結構ぐいぐいハルカに身体の関係を求めます。

もうどういうことだってばよ!!!

まず、10歳にも満たない子どもがレイプされたという過去を抱えさせるのは重すぎる。
結果、別人格の兄にレイプされるのも辛すぎる。
唯一のよりどころだった兄にそんなことをされて、その後兄がいなくなってハルカがどんな気持ちだったかと思うと攻略キャラたちとの恋愛描写が納得いかない。(そのときには思い出していないとしても)
特にネジ√では思い出してるのに。結構あっさり「俺が受け止める!!」「ネジくん・・・!」くらいだったのが、なんかちょっとなぁ・・・ってなりました。

で、兄のマサトが何度も時間を巻き戻してる→攻略キャラと転生ENDを迎えたとしても巻き戻してるということですかね?
マサトにとっては、転生ENDだろうが、帰還ENDだろうが、自分と結ばれなかった=やり直すべき出来事。ですよね?
ということはマサト転生ENDしか最終的にたどり着けないのではないかと思いました。
いや、良いんですよ。それはそれで。でもあの転生ENDにいたるまで、ハルカは兄であるマサトをどうして愛するの?ってなるんですよね。
幼い頃、支えてくれていたけど自分をレイプして、心を開いた相手や母親まで殺したのに。
私のなかにはすとん、とは落ちてきませんでした。

そして転生ENDっていうわりに、あれは転生ではない・・・

それがちょっと、いや。大分がっかりしました。
もとの世界に帰ることを転生といっているのか。

本当、幼女趣味の男がまわりにいすぎなんだよ・・・
根の国なら分かるの。だって、色々と引き寄せてしまうから。そうじゃない中つ国で、どうして彼女はそうなったの?

色々と思うところがあるもし神でしたが、私はアキラが好きです。
アキラを幸せにしたかった・・・

 

キャッチボール(ヒガリン)

グラウンドにみんなの声が響く。
きっとみんな精一杯声を張り上げているだろうに、私の耳にはなぜか比嘉先輩の声ばかりが耳に届く。
なぜか・・・じゃなくて、それは・・・うん。
視線で追うのは比嘉先輩ばかり。
私が比嘉先輩のことばかり追いかけているからなのは分かってる。
恥ずかしくなり、私は持っていたスコアブックを開いた。

 

「じゃあ、今日の練習はここまでだな!お疲れ様!」
「おつかれっした!」

 

比嘉先輩の声がグラウンドに響き、今日の練習が終わった。
練習の後、グラウンドをならすのは一年生とマネージャーである私の仕事だ。
一年生以外は着替えに部室へ戻る中、私はトンボを手に取ってグラウンドへ戻った。
やらなくていいと比嘉先輩や他のメンバーにも言ってもらったけど、私ができることはなんでもしたくて、一生懸命お願いして私もやらせてもらえることになった。
比嘉先輩が野球をする姿を見ていられるこの場所が好きだ。
だからグラウンドにも、野球部にも感謝している。

「おつかれ」
「お疲れ様です」

比嘉先輩は汗をタオルでぬぐいながら私の傍へ来ると、私の手にあったトンボを握った。

「えっ、」
「さっさと終わらせるぞ」
「これは私の仕事ですっ!だから比嘉先輩ははやく着替えて、」
「あーあー、うるせー!いいからさっさと終わらせて、たまにはキャッチボールするぞ!」
「え?」

渡すまいと強く握っていたが、その言葉に驚いて私はトンボを掴む手を緩めてしまった。
その隙を逃すはずもなく、比嘉先輩は私からトンボを奪ってにやりと笑った。

「ほら、おとなしくむこうで待ってろ」
「・・・もう!比嘉先輩の意地悪!」

言い出したら聞かない私たちのキャプテンは、それはそれは楽しそうにトンボがけをしてくれた。
みんなが身支度を済ませて帰る頃、私と比嘉先輩はキャッチボールを始めた。

「大分うまく投げられるようになったな」
「だって練習してますから!」

私が投げたボールをキャッチすると、比嘉先輩は笑った。
最初の頃は全然飛ばないし、コントロールも出来なかったけど・・・
今はようやく5メートルくらい離れてキャッチボールが出来るレベルになった。
本当はもっと離れてやるべきなんだけど、今の私にはこれが精一杯だ。
それに・・・

「あんまり上達しちまうともっと離れなきゃいけなくなるから寂しいな」
「えっ?」

言葉に気を取られ、比嘉先輩が投げたボールをキャッチし損ねそうになる。

「比嘉先輩っ!なんていったんですか!」
「なんでもねー!」

ボールを投げあいながら、そんな風に言葉を重ねる。
少しずつ、想いが募る。

「ねえ、比嘉先輩っ」

比嘉先輩に向けてボールを投げるとき、彼への気持ちを目一杯込める。
大好きだ、と強く強く想いを込める。
まだ想いを口にすることは出来ないから。

「キャッチボールするとき、この距離にしましょう!
私がすっごく上手になっても!」
「なんだ、それ」
「確定事項ですっ!」

比嘉先輩は、ボールをキャッチするとまた楽しそうに笑った。
この人は本当に野球が大好きなんだな、と思うと私も嬉しくなる。

「オマエ、キャッチボール好きか?」

投げられたボールをキャッチすると私は大きく頷いた。

「大好きですっ!」

元気いっぱいに返事すると、比嘉先輩はボールをキャッチしそこねそうになる。
まるでさっきの私みたいで可笑しい。

「おっと」
「比嘉先輩でも取り損ねそうになることあるんですね!」
「ばかっ!今のは」
「今のは?」
「・・・なんでもねー!ほら、気合いれろ!」
「はいっ」

 

日が沈むまであと少し。
一秒でも長く、この時間が続きますように。

責任とって(ラスラン)

緑の滴亭で日付が変わるのを迎えるのは何度目だろうか。
仲間たちとわいわいと酒を呑んでいると、俺の隣にいたランが気付けばうとうとと舟をこいでいた。

「あれ?もしかして眠っちゃったんスか?」
「ああ、そうみたい」

ランの肩を抱き寄せると、大人しく俺の肩にもたれかかってくる。
酒場にいるのに、ランからは優しい香りがする。

「下に運ぶけど、おまえ来るなよ?」
「さすがに邪魔をしようなんて思わないっス」

ソロンは苦笑いを浮かべる。
ランの顔を見ると、俺にもたれて楽になったおかげなのか、さっきより気持ち良さそうな顔で寝ている気がする。ふと、ソロンからの視線が強くなったような気がしてソロンを見遣るとにやりと笑われる。

「すっかり骨抜きっスね」
「はいはい、そうだよ」

あしらように言葉を返せば、他のやつらも気付けば俺たちの会話を聞いていた。

「二人を見てると、俺も彼女ほしいなぁって思いますからね」
「分かるなぁ、それ。独り身にはつらいぜ」
「おまえらなぁ・・・」

羨ましい羨ましいと口々に言われると、呆れるしかない。
グラスに残っていた酒を煽るように飲み干した。

「俺だってな、こんなに好きになると思わなかったよ」

酒が入っているからか、いつもより他人に本音を吐露しやすくなっていることは認めよう。
可愛い可愛い俺の彼女を羨ましいやらなんやら言われればちょっと良い気分にもなるだろう。
だけど、男共に自慢するよりも今はやりたいことがある。

「地下に降りるから、誰も来るなよ」
「わかってますよー」

ひょい、とランを抱き抱えると突然何が起きたのか理解できなかったらしいランはまだ完全に開かない目をなんとかうっすら開けた。

「ごめん、起こして」
「ラスティン?」

階段を下り終わる頃には、ランの瞳は完全に開いた。

「ねえ、ラン」

目が合うとにっこり笑ってみせる。
ランはちょっとだけ気まずそうに笑い返した。

「さっきの聞いてた?」
「・・・なんのこと?」
「俺が、ランのことすっごい好きだってみんなに宣言したこととか」
「・・・っ」

ランの顔があっという間に真っ赤になったので、返事を聞かなくても分かる。
さっき、肩に触れていたランがぴくりと動いたから分かったのだ。
ああ、聞いちゃったなぁ。ちょっと・・・いや、かなり照れる。

「ラスティンはずるいよ・・・」
「ん?」

顔を隠すように俺の胸元に額を押し当てる。
あー、俺の心臓の音聞こえちゃってるだろうな。

「わたしも、ラスティンのこと、こんなに好きになるなんて思ってなかったもの」

小さい声で、ランは恥ずかしそうに告げた。

「もうごめん。降参」

階段を降りきると、ソファの上にランをおろした。
そのまま顎を軽く持ち上げて、唇を重ねた。
余裕のないキスでごめん。
だけど、今すっごい余裕ないんだ?
それはランの言葉のせいだから・・・

「ランが可愛い事言うことになった責任、俺にとらせて?」

潤んだ瞳で俺を見つめると、ランはこくりと頷いた。
夜は、長い。