結局そういうこと(和泉×静)

保健室へ行くと、先輩が手当てを受けていた。

「なに、和泉ったらまたバテたの?」
「・・・だったらどうなんです?あなたには関係ないでしょう」
「零次、ベッド空いてるから休んで構わないよ」「ああ、そうする」

上着を脱いで、近くの椅子にかけてからベッドにもぐりこむ。
普段ならベッドに潜り込んでしまえばすぐ眠ってしまうのに、今日は目を閉じても一向に睡魔が来ない。
その理由は・・・分かっているが。

「涼江、痛くない?」
「ええ、もう大丈夫よ。ありがとう」
「そんな・・・いいんだよ、これくらい」

 

ああ、声だけ聞いても分かる。
閨悟が先輩のことが好きで好きで仕方がないということが。
先輩はどう想っているんだろうか。
いや、他の人に対する態度と閨悟に対する態度は変わらないように見える。
だからきっと好きではないのだろう。
・・・他の人って誰だ。
ふと、自分と閨悟への態度を比べている自分に気がつく。
閨悟と同じということは、僕のことも何とも思っていないということ。

「・・・はぁ」

自然と漏れたため息。

「調子悪いの?」
「・・・っ!」

油断していた。
気付けば先輩が僕の額に触れていた。
女性のほうが体温が低いのか、それとも僕が今熱いのか。
分からないけど、ひんやりとした手に驚いて目を開けた。

「大丈夫です。放っておいてください」
「あら、そう」

額から先輩の手が離れる。
なぜか、それが少しだけ寂しい。

「はい、これ」
「・・・これは?」「購買でおまけにもらったの。あげるわ」

手に握らされたものを見ると、小さな狐のストラップだ。
今、狐さんシリーズといってお茶のおまけについてくるというものだけど、僕が買いに行くとなぜだか手に入らないレアもの。
それをまた、先輩は・・・

「・・・ありがとうございます、先輩」

嬉しくて、顔がにやける。
そんな僕をみて、先輩はくすりと笑った。

「ゆっくり休んで、はやくいつもの和泉に戻ってね」

まるで小さな子どもをあやすように僕の頭を優しく撫でると、ベッドを離れて出て行った。

「・・・はい」

先輩がいなくなった頃にようやく小さく返事した。
狐さんストラップをもう一度見つめ、笑みが零れた。

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