その横顔が愛おしい(アキアイ)

さりげなく。
さりげなくしているつもりだけど、きっとバレている。

「アイちゃん、どうかした?」
「え?なにが?」
「今日は落ち着きがないね」「えと、そ・・・そうかな」
「うん、そうだよ」

学校帰り。
いつものように玄関で待ち合わせをして一緒に帰る。
最初はみんなが見えるようなところで手を繋いだりすることが恥ずかしかったけど、アキちゃんの顔を盗み見たら凄く嬉しそうな顔をしていたから振りほどけなかった。
それからずっと手を繋いで歩くようになった。

「あ、今日の帰りは駅前に新しくできたジェラードのお店いこうよ。
アイちゃん、好きでしょ?」
「ジェラード…!?」

アキちゃんの言うとおりもちろん大好き。
嬉しくて頷こうとしたけど、今日は私を喜ばせる日じゃない。

「あ、あのね。アキちゃん。
昨日、お菓子つくったから今日はうちに来ない?」
「いいの?」
「うん。いっぱい作ったから食べて欲しいんだけど、ダメかな?」
「アイちゃんがつくるものだったら例え黒こげでもなんでも良いよー!」
「もう・・・そんな失敗しないよ」
「例えばだよ、例えば」

楽しみだなーって嬉しそうに笑うアキちゃんにほっと安堵した。
バレてないみたい。

 

家に着くと、アキちゃんはリビングのソファに腰掛けた。
もう何度も来ている私の家はアキちゃんにとって第二の家なのかもしれない。

「アキちゃん、紅茶でいい?」
「うん!何か手伝おうか?」
「ううん、大丈夫だよ」

紅茶を淹れるためのお湯を沸かしながら、冷蔵庫にいれておいたケーキを取り出す。
よし、崩れてない。大丈夫!
チョコレートで書いたプレートの文字も読める。いそいそと運ぶ準備をしつつ、ポットにお湯を注ぐ。
これは以前、アキちゃんが私にプレゼントしてくれた茶葉。
気付けばそれが大のお気に入りになっていた。

「アキちゃん、ちょっとだけ目瞑って」
「え、キスでもしてくれるの?」
「ち、ちがうよ!でもいいから!」
「はぁーい」

アキちゃんは私をからかいながらもちゃんと目を閉じてくれた。
足音を立てないようにしながら、私はアキちゃんの目の前にケーキを運んだ。

「アキちゃん、目をあけて」
「・・・」

目をあけると、アキちゃんは驚いたように目の前にあるケーキを見つめた。

「アイちゃん・・・これ」
「アキちゃん、お誕生日おめでとう!」

ぱちぱちぱち、と拍手すると思い切りアキちゃんに抱き締められた。

「アイちゃん、アイちゃん・・・っ」
「アキちゃん、苦しいよ」

ぎゅうっと抱き締められ、アキちゃんの顔が見たいのに全く見えない。
すると耳元に鼻をすするような音が聞こえた。

「アキちゃん、もしかして」
「まさかアイちゃんにこんな風にお祝いしてもらえるなんて想ってなかったから・・・」

嬉しくて泣いて・・・くれてるの?
驚きながらも、そんな風に喜んでくれたことが嬉しくて私もアキちゃんをそっと抱き締め返した。

「アキちゃん、おめでとう。大好きだよ」
「うん・・・ありがとう、アイちゃん」

それからしばらく抱き締められたまま、アキちゃんの背中をぽんぽんとあやし続けた。
ようやく落ち着いて、顔を見せてくれたアキちゃんは少し照れくさそうに笑った。

「ねえ、これ写メ撮っていい?」
「いいけど、恥ずかしいから他の人に見せちゃダメだよ?」
「ええー自慢したいなぁ。俺の彼女はこんな可愛いことしてくれるって!」
「・・・もう、」

私が困ったように笑うと、アキちゃんはそっと頬に口付けた。

「ありがとう、アイちゃん。さっきから何回も言ってるけど、すっごい嬉しい」
「あ、あとね。これ・・・」

ポケットにいれていた小さな包みを渡す。

「男の子にこれは変かな・・って思ったんだけど似合うかなって」

アキちゃんは包みを開くと笑った。

「これ、アイちゃんとお揃いだ」

それはこないだ私が一目ぼれして買ったヘアピンだ。
私は赤。アキちゃんは黄色。
小さくビーズがあしらわれていて、とっても可愛くて気に入って買ったのをアキちゃんも見ていた。

「勉強するとき、前髪邪魔だっていってたでしょ?だから」
「ふふ、ありがと。アイちゃん」

私に見せるようにアキちゃんはすぐピンをつけてくれた。

「どう?似合う?」
「うん、とってもかわいい」
「・・・可愛いじゃなくて、俺はかっこいいって言われたいんだけどなー」

わざとらしく不貞腐れるアキちゃんの頬を両手ではさむ。
恥ずかしいけど、今日はトクベツな日だから。

「・・・っ」

そっとアキちゃんへ口付けた。

「・・・アキちゃんはいつもかっこいいよ」

恥ずかしくなってアキちゃんから手を離そうとすると、逃がすまいといわんばかりに私の手を掴んだ。
そのままそっとソファに押し倒される形になり、恥ずかしくて私はアキちゃんの胸を押し返そうと空いてる手を伸ばしたが-

「アイちゃん、反則」

アキちゃんの声がとても嬉しそうな声だったから、私は大人しく目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

「んー美味しい!」

淹れなおすと言ったんだけど、せっかく淹れたんだから勿体ない!とアキちゃんがカップを話してくれなかったため、
すっかり冷えてしまった紅茶をお供にアキちゃんがケーキを頬張る。

「良かった」
「今日お祝いしてくれるのかなってわくわくしてたんだけど、予想以上に嬉しいもの貰えてもう本当俺ってば幸せ者だな~」
「・・・やっぱり気付いてた?」
「大好きな彼女のことだからそれはもう当然」

アキちゃんにはやっぱり敵わないな。
そんなことを想いながらアキちゃんの横顔を見つめた。

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