恋人つなぎ(ヴィルラン)

何事にも順序があると思う。
誰かを好きになって、好きになってもらえて。
想いが通じ合えば触れ合うようにもなると思う。
腕を引かれて、うっかり抱きつくような格好になった時は驚いた。
ヴィルヘルムも驚いていたからお互い様なんだけど・・・
なんだか私たちは色々とスキップしている気がする。

「ねぇ、ヴィルヘルム」

「ん?」

私の半歩先を歩くヴィルヘルムに右手を差し出した。
彼は不思議そうに手と私を交互に見つめた。

「どうした?」

「・・・私、手を出してるんだけど」

「ああ、そうだな」

ヴィルヘルムはちょっと・・・いや、大分乙女心を理解していない。
そんな彼を好きになったのは私自身なんだから文句は言えないけれど。

「・・・私が手を出している意味わかる?」

「ん?」

ヴィルヘルムは少し考えるように目を閉じると、すぐさま開いた。

「悪い、気付かなくて」

そう言うと、私の手を握ってくれた。
私の拳を包むようにやさしく手を握ってくれた。
体格から分かっていたけれど、ヴィルヘルムの手って大きい。

「お前の手って小さいんだな」

「・・・っ」

似たようなことを考えていた事が恥ずかしくて、息を飲んでしまう。

「なんかこうしてると、恋人同士って感じするな」

繋がった手を見て、照れたように笑うヴィルヘルム。
乙女心とかそういうのに疎くて、たまに私だけが好きなのかなって思うこともあるけれど

「今度から出掛けるときは手、繋ごうね」

私はやっぱり彼が好きなんだといつだってこうやって再確認してしまうくらいに彼が好きだ。

 

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