身体がきしむように痛い。
痛いんだろうか、けだるいんだろうか。
よく分からないけど、とても疲れている。
「・・・大丈夫か?」
彼が犬だったとしたら、きっと耳も尻尾もたれているだろう。
「だいじょうぶじゃない」
ぐったりとベッドに沈む身体。
枕はヴィルヘルムの分も奪っていた。
多分、ヴィルヘルムはねじをどこかに落としてきたんじゃないだろうか。
いつも私を労わるように抱き締めてくれる彼が、今日はいつもと違った。
触れる部分がいつもよりやたら熱く感じた。
ヴィルヘルムの汗が、自分の身体に落ちるだけで欲情した。
このまま溶けてしまえたらどれだけ幸福だろう、と思うくらいきつく抱き締めた。
だけど、現実溶けないで私の身体は疲労を訴える。
明日が休みでよかった、と心の底から思う。
久しぶりに二人で買い物に行きたいな、とか考えていたけれどとてもそんな事出来ないだろう。
「悪い、ラン」
申し訳なさそうに私の頭を撫でる手。
求められるのは嬉しい。
ヴィルヘルムは遊びで女の人を抱く人じゃない。
だから求めてくれるという事は愛されているんだと思うから
「私とヴィルヘルムじゃ体力がちがうの」
私だって鍛えているからそれなりに体力には自信がある。
普通の女の子よりは体力があるというだけで、鍛え抜いた男性には到底及ばない。
「・・・そうだよな、悪い」
頭を撫でてくれる手が凄く優しくて、私はその手を捕まえて自分の口元へと運んだ。
指先にキスを落とし、彼を上目遣いで見つめた。
「ヴィルヘルムは男の人で、私は女だから・・・
体力も全然違うの。忘れないで」
私がそういうと、ヴィルヘルムは小さく頷いた。
子供みたいで可愛いな、なんて思って小さく笑う。
「ヴィルヘルム、抱き締めて」
「いいのか?」
「うん」
頷くと、彼はおずおずと私の身体に腕を回した。
いつものように私を気遣うように優しく抱き締めてくれる。
「ごめんな、次はもっと優しくする」
「うん、そうしてね」
私の肩につけた赤い痕にそっと舌を這わせる。
労わるような愛撫なのに、身体は火照っていく。
「・・・ヴィルヘルム、今日はもう駄目」
「ん?分かってる」
私の言葉の意味を理解しないで、彼は私に優しく触れる。
仕方がない人、と思いながら私は彼を抱き締め返した。