眠っているガラハットの手をそっと握る。
初めてガラハットを見た時はこんなに綺麗な男の子がいるなんて驚いた。
一緒に眠るようになった間柄でも、ふと思う時がある。
睫長いし、肌も綺麗だ。
だけど、意外にも手が大きいことや最近背が伸びた事を考えるとやはり男の人なんだと思い知らされる。
「どうかした?」
「あ、ごめん。起こしちゃった?」
「アルの気配が動けば分かるよ」
「そっか」
騎士である彼は王である私を守る事を当然としていて、二人きりでいるときも気を抜かない。
例えそれがどちらかの部屋であっても、完全に熟睡することはないんだろう。
「熟睡しないと疲れ、取れないでしょ?」
「もう慣れたから」
そう言うと空いている手で、私を抱き寄せる。
足も絡ませてくるので、私たちの間には他のものが入る隙間さえなくなってしまう。
「でも、よく寝ないと身長伸びないよ?」
「前、身長なんて気にしないって言ってなかったっけ?」
「私は気にしないけど、ガラハットは伸びたとき嬉しそうだったじゃない」
「アルが気にしないなら僕も気にしないよ」
甘えるように髪に頬を摺り寄せてくる。
ガラハットは猫みたい。
素直じゃないところも。気分次第でこうやって甘えてくれるところも。
「・・・あんまり背が伸びたら困るかも」
「どうして?」
「・・・最近、ガラハットがかっこよくなったって話してるの聞くもの」
侍女たちが騒いでいるのが耳に入るのだ。
以前から綺麗な顔立ちで女性の注目を浴びていたにも関わらず、年相応の男の色気というかそういうものが出てくるようになったおかげで彼を見て騒ぐ子が増えた気がする。
嬉しいような嬉しくないような曖昧な気持ちが胸にあるのだ。
「アル」
名前を呼ばれ、顔を上げれば優しい口付けを落とされる。
その表情はひどく嬉しそうだ。
「アルもヤキモチ妬くんだね」
「・・・っそれは」
「あんまりそういうの聞いた事ないから嬉しい」
私の言葉なんて待たずにもう一度唇が重なる。
先ほどの啄ばむような口付けではなくて、深いもの。
熱が混ざり合う感覚に肌が粟立つ
「・・・っはぁ」
「アル、君は僕のことが好き?」
甘えた声で、ガラハットが問う。
分かりきってる答えなのに、ガラハットは聞きたがる。
「知ってるくせに」
「好きって言って、アル」
そうやって強請ったのは私が最初だったのに。
二度目にキスをした日のことを思い出す。
なかなか言葉にしてくれないガラハットに募ったのは私。
「・・・大好きよ、ガラハット」
愛を紡げば彼は嬉しそうに笑う。
私だけの、愛おしい人。
「だから私だけを見ていてね」
先ほどのガラハットのように甘えるように頬を摺り寄せれば、髪をすくってそこに口付けられる。
「言われなくても、僕は生涯君だけを見ているよ」