「なあ、関羽」
孫権様と周瑜が交流のために久しぶりにやってきた。
久しぶりに会う周瑜は相変わらずで、会う早々私に抱きついてきた。
それをなんとか退けると、周瑜は少しの間大人しくなった。
いつもならそれくらい良いだろとか色々言うのに大人しくなるのはなんだか私が悪い事をしてしまったようで言い知れぬ思いになっていた。
「何?」
「あんたはオレに久しぶりに会えて嬉しくない?」
「嬉しいわよ」
以前は旅を共にしていたのだ。
あれ以来、あまり会えなくなったのは寂しいし、なんとなく探してしまう事もある。
だからこうして会いにきてくれるのは本当は嬉しい。
だけど周瑜はすぐ抱きついてくるし、色々と触るからどうしていいか分からない。
身の危険を感じて思わず拳を突き出してしまう事は今まで何度あっただろうか。
「なんつーか、オレと孫権に対する態度が違いすぎる」
「だって孫権様は変なことしないもの」
即答すると周瑜が悲しそうな目で私を見つめて、ため息をついた。
「変なことなんてしないだろう?オレはあんたに会えたのが嬉しくて身体で表現してるのに」
「・・・それが変なことじゃない」
もっと普通に表現してくれたら私も素直に会えて嬉しいと言えるのに。
周瑜へ近づき、彼の手を取る。
「私も周瑜に久しぶりに会えて嬉しいわ」
きゅっと握り、彼を見上げて微笑んだ。
少しは気持ちが伝わればいいな、と思ったんだけど・・・
周瑜はぱっと明るい表情になり、空いている手で私の肩を抱き寄せた。
「・・・ちょ、周瑜っ!」
「ん」
私の耳に唇を寄せる。
くすぐったさに身をよじろうとすると強く抱きしめられる。
「今はこれだけ。これ以上のことはしないから」
「当たり前よ」
赤くなった頬を見せるのが恥ずかしくて、俯いて言葉を返す。
抱かれている肩が熱い。
唇を寄せられた耳もたまらなく熱い。
周瑜が触れた部分が熱くて、血が沸騰しそうだ。
そんな風に動揺しているのを気付かれたくなくて、私はそのまま周瑜の手を握った。
「会いたかったよ、関羽」
「私も、周瑜に会いたかったわ」
久しぶりの再会を、今はもう少しこのままで。