「紅百合」
「どうかしたの?紋白さん」
ソファに並んで座っていると紋白さんがゆっくりと私にもたれかかってくる。
本を読んでいた手を止めて、彼の様子を伺う。
狐の仮面に隠れているので、彼がどんな表情をしているのかは分からない。
ただ、のしかかる重みだけは強くなる一方だ。
「あの、紋白さん?ちょっと重いんだけど・・・」
「うん、紅百合あったかい」
私の言葉なんて全く聞かずさらにもたれかかる。
困っていたところに鉤翅さんが現れた。
「どうしたの?紅百合さん」
「あ、鉤翅さん・・・!」
なんと言えば良いのか浮かばす、私は紋白さんをちらりと見て訴えかける。
ああ、と言って頷くと鉤翅さんは空いてる私の隣に座った。
「紅百合さん俺に甘えて良いよ」
「えっ!?」
「ほら、どうぞ?」
にこにこと笑いかけられる片側、もう片側はどんどん重くなっていく。
私が鉤翅さんにもたれかかるのは仕方ないことだ・・・多分。
「じゃあ、ちょっとだけ」
紋白さんがもたれるほどじゃないけど、私も恐る恐る鉤翅さんに寄りかかる。
思いのほか暖かいぬくもりに私はほっとしてしまう。
なんだろう、懐かしいこの感覚・・・
「鉤翅さん、あったかい」
「それなら良かった」
紋白さんの寝息が聞こえるようになってからあまり時間が経たない内に私は意識を手放した。
「えーと、これはどういう構図?」
降りてきて見るとソファでは仲良くドミノみたいに昼寝をしている3人の姿があった。
紅百合ちゃんをサンドイッチのように挟んで寝るなんてズルイじゃないか
「じゃあ、しょうがないから俺はここかな」
床に座り込み、紅百合ちゃんの膝に突っ伏す。
多分起きたらすっごい怒られるだろうけど、人目がつくところでこんな風に寝てるのが悪い。
心地よいその太ももに頬ずりしながら、俺は目を閉じた。