学校を卒業し、私はそのままアルコバレーノに就職した。
住む場所はアルコバレーノに近いマンションを借りている。
「竜之介さん、起きてください」
私の隣で眠っている竜之介さんの肩を揺する。
今日は定休日。
昨日の晩、仕事が終わってから私の部屋に泊まった。
毎週火曜日の夜は私の部屋に泊まり、翌日の定休日は一緒に過ごす。
オーナーである竜之介さんは休みの日もやることがあるからずっと一緒にいられるわけではないけれど、
やはり一晩一緒にいられる安心感は、とても大きい。
毎日会っていても、眠る時竜之介さんが隣にいてくれるのは幸せだ。
「んー・・・もうちょっと」
体を起こしていた私の腰に自分の腕を絡ませると、お腹にすり寄られる。
「最近ちょっと太ってきたので、それ嫌です」
女の子のおなかに何かするのはダメだと思う。
竜之介さんの頬を軽くつねると、上目遣いに私を見上げる。
「君はどこもかしこも気持ち良いよ?」
おなかから顔をずらすと、私の太ももに軽く歯を立てる。
「ひゃっ・・・!」
「ほら、甘い香りする」
昨夜の名残で何も着ていない私の肌に竜之介さんが口づけを落としていく。
赤い痕が残る箇所に、もう一度舌を這わす。
「竜之介さん・・・っ、」
とん、と肩を押されて起き上がらせていた体がシーツに沈む。
覆いかぶさる竜之介の瞳に、自分が映っていて恥ずかしくて視線をそらす。
「夕菜ちゃん、大好きだよ」
頬にキスを落とすと、耳元でそうささやかれる。
「今日は・・・一緒に買い物に行きたかったんですけど」
ベッドから起き上がることは諦め、私は竜之介さんの背中に手を回した。
「うん、後で行こうね」
「約束ですよ?」
「もちろん。俺は君が喜ぶことならなんでもしてあげたいんだ」
その気持ちに嘘はない。
でも、竜之介さんのこういう強引な姿も嫌いじゃない。
むしろ・・・好きなんだ。
「竜之介さん、好きです」
にっこり微笑んで、竜之介さんの唇に自分のそれを重ねた。
休日はこれから。