至近距離(セラアス)

「・・・セラ?」

至近距離で見るセラの顔。
金色の髪、蒼い瞳。
なんかよくある童話の王子様!っていう顔立ちをしているんだな、ってことを思い出された。

「・・・君は僕のこと、きちんと意識してる?」

「うん、してるよ」

そうじゃなきゃ結婚なんてしないじゃない。
当たり前のことを問うセラの真意がまったくわからない。
まぁ・・・真意なんてないのかもしれない。

「セラ、顔真っ赤だよ」

「それは君が近くにいるから」

「違うでしょ」

セラはちょっとした宴で、お酒を呑んだ。
私がシャロンと話している隙にうっかり。
ワインをぐびぐび飲んでいた。
そうして顔を真っ赤にして、宴が終わった今私を部屋の隅へと追いやっている。

「お酒なんて呑むから」

「飲んでないよ」

「呑んでたよ、私見たし」

「そんな事いいから」

壁際に追いやられ、ついに背中に壁がぶつかった。
あ、と思った時にはセラが壁に手をついて私を見下ろしていた。

「・・・っ」

「アスパシア、僕は君を愛しているよ」

そんなの私だって愛してるに決まってるじゃない。
そんな言葉を返す前に、言葉はセラからの口付けで消えてしまった。

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