恋人にキスをせがんでみた~九条壮馬の場合~

「そ、壮馬さん、キスしていいですか!?」
今日は私の部屋でお部屋デートの日。壮馬さんは心なしかウキウキとした様子で、私の部屋にやってきた。すっかり寒くなり、こたつを出した我が家のリビングは以前より狭く感じるだろう。ちょっと心配していたけれど、壮馬さんはこたつに興味を示し、早速スイッチを入れて、二人で並んでこたつに入った。元々一人で使うんだしと思って選んだ小さなこたつだ。こたつ布団の中で何度か足がぶつかる。その度に壮馬さんが驚いたような照れたような表情を浮かべるから、ちょっと我慢が出来なくなった。
「貴女からそんな事を言うなんて今日は随分積極的なんだな」
壮馬さんはテーブルの上に出していた私の手を取ると、指を絡める。その手は少し冷たくて、温めてあげたくてきゅっと強く握った。
「男の人に言う事じゃないと思いますけど、今日の壮馬さん、なんだか可愛くて…」
「俺を可愛いなんて言うのは貴女くらいだろう」
「可愛い壮馬さんを知っているのは私だけでいいんです」
壮馬さんの可愛いところを他の誰にも見せたくないなんて言ったら驚くだろうか。
少し照れ臭くなって目を伏せたタイミングで壮馬さんの顔が近づいてきて、頬にキスされた。
「そ、壮馬さん…!」
「唇には、貴女からしてくれるんだろう?」
そう言って少し意地悪く微笑む壮馬さん。
(この人は可愛いだけじゃない……というかむしろ普段めちゃめちゃかっこいいんだった…!)
顔が熱い。鼓動が壮馬さんに聞こえてしまうかもしれないと思いながら、私は壮馬さんにそっとキスをする。
「貴女の可愛い面を知っているのも俺だけで十分だ。他の人にはそんな顔、決して見せないでくれ」
「…壮馬さんの事、大好きって顔ですか?」
「ああ、その通りだ」
壮馬さんは小さく笑うと、今度は長いキスを私にくれた。

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