恋人にキスをせがんでみた~宮瀬豪の場合~

「豪さん、キスしてもいいですか?」
隣にいる豪さんに思い切って尋ねてみると、豪さんは少し驚いたように目を丸くした。
「玲さんからそんな事言われたら照れちゃいますね」
はにかんだような笑顔を浮かべ、豪さんは笑う。
九条邸でお花の手入れをしていた私たち。綺麗に咲いた花を見つめて嬉しそうに微笑む豪さんを見ていたら、ついつい口走っていたのだ。
花に微笑むように私を見てほしくなったのかもしれない。花にヤキモチを妬くなんて子供みたいだと我ながら思う。
「はい、どうぞ」
そんな私の心の内を知らない豪さんはそっと目を伏せ、私が届くようにと少し身を屈める。
改めて見ると整った顔立ち、睫毛だって長い。そして柔らかそうな髪。この人を形作るものはとても柔らかで美しくて、私が触れていいのか一瞬躊躇してしまう。
「……まだですか?」
「えっ、今します! するんで目を閉じててください!」
待ちきれなくなった豪さんが目を開けようとするので、慌てて豪さんの目元を手で覆う。とくんとくんと鼓動が早くなるのを感じながら、私はそっと豪さんの唇に唇を押し付ける。少し冷たいけど、柔らかな感触はいつもの通りで、小さな花が咲いた気分になる。
子供みたいなキスをして、豪さんから離れようとすると、彼の手が私の腰を抱き寄せる。
「ご、豪さん?」
「玲さんは可愛いですね。ここに咲いてるどんな花よりも可愛くて美しくて、いつまでも愛でていたいです」
「…っ、気づいてました?」
私のヤキモチに。豪さんは何のことですか? と笑うだけで、何も答えずに嬉しそうに笑うばかり。
「玲さんからキスしてもらえるなら、たまにヤキモチも良いものですね」
「やっぱり気づいてるんじゃないですか!」
思わずつっこむと豪さんは騒がしい私の唇を優しいキスでそっと塞いだ。

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