呼んで(キョウヒヨ)

「キョウヤさん、お待たせしました!」

学校が終わり、待ち合わせの場所に行くとキョウヤさんはもう来ていた。
息を切らして彼の元へ駆けていくとキョウヤさんはいつもの笑みを浮かべて私を迎えてくれた。

「おー、お疲れ。ヒヨリ」

キョウヤさんが座っているベンチに私もひとまず腰を下ろして息を整えると、キョウヤさんから強い視線を感じて、横を向いた。

「ど、どうかした?」
「いや、俺たちって付き合ってもう一年経つだろ?」
「は、はい。そうですね」

そう言われるとちょっと照れてしまう。
だって、それはまさしく今日なのだ。

「まださ、時々俺に敬語交じりで話すよな、ヒヨリ」
「うっ…それは、確かに」

キョウヤさんは一歳上だ。敬語をやめてほしいと言われてから何度も頑張ってはいるものの、咄嗟の時にはつい敬語が出てしまう事もしばしば。

「それはさ、キョウヤさんって呼び方があれなんじゃないかなーって思うんだよな」
「そうかなぁ」
「だから今日から俺の事、キョウヤって呼んでみて」
「え!? それは無理!!」

キョウヤさんと呼ぶのだって物凄く緊張したのだ。
今でこそ名前はさらっと呼べるようになったけど、呼び捨てだなんて。
でも、キョウヤさんは目を輝かせて私を見つめる。
その顔に弱い事を彼は知っているんじゃないだろうか。うっ、反則です。

「…キョ、キョウヤくん?」
「!!」

恥ずかしさを抑えながら、私は恐る恐る彼の名前を呼んだ。
するとキョウヤさんはまるで胸を銃で撃たれたみたいに胸を押さえた。

「やべえ、その破壊力」
「え??」
「それは可愛すぎるな、ヒヨリ」

少し顔を赤らめて、キョウヤさんはそう言って笑うと私の頭をくしゃくしゃに撫でた。

「よっし、行くか!」
「うん!」

なんだかよく分からないけど、キョウヤさんは元気いっぱいになり私の手を差し出した。
その手を握り返して、私たちは歩き出す。

いつか……いつかはキョウヤって呼べるようになれたら良いなって私も思ってるから。
だからそれまでどうか、待っていてほしいなと思いながら彼の隣で笑った。

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