ボーイズトーク(ヴィルラン)

どうしたらいいんだっけ?の続き

 

 

 

「そういや連休、ヴィルヘルムは何してんの?」

男子寮でのこと。
最近ではアサカやパシュたちと話すことも増えたそんなある日の出来事。
久しぶりの3連休に誰もが浮き足立っていた。

「ランとどっか行くけど」

「彼女持ちはいいよなぁ・・・」

パシュが盛大なため息をつくと、ラスティンがにやりと笑った。

「あれ?パシュもなんだかんだいって彼女欲しいんじゃん」

「ばっ!!ちげーよ!女なんて嫌いだしっ!!」

「はいはい。でさ、ヴィルヘルムはあの子と付き合いだして大分経つだろう?
どこまでいってんの?」

わめくパシュをかわすとラスティンは俺に向き直り、そう尋ねてきた。
どこまでって。

「城下とか森しか行ってねーよ、俺ら」

ニルヴァーナから出ることなんてまずないだろう。
そういう任務があれば別だが、俺とランが一緒になることはまずない。
そんな当たり前のことをなんで聞くのだろうと怪訝な表情をしてしまう。

「え、マジ?」

「他にどこ行けばいいんだよ」

「違う・・・そういう意味じゃない」

ラスティンが俺の肩にぽん、と手を置いて俺を見つめる。

「ヴィルヘルム、お前って童貞?」

言われた言葉を理解するのにしばしの時間。
童貞・・・

「あー、童貞っていうのはさ・・・」

言葉の意味を理解できなかった俺の耳元でラスティンがごにょごにょと説明をする。

「っ!!馬鹿野郎!!聞いてんじゃねえよ、そういう事!」

「意外すぎる・・・いや、意外でもないか?」

「ランといて、そういう気にならないのか?」

パシュが恐る恐ると言わんばかりにそう尋ねてきた。
そう言われても過去の俺が興味があったのは戦の事だけ。
戦に出て、敵をなぎ払うのが欲求不満解消と言わんばかりだった。
女という存在をそこまで意識したことがないのだ。
好きとか嫌いとか、考えた事すらなかった俺がランを好きになった。
それ自体が奇跡に等しい。

「うーん・・・抱きしめたいとは思うが」

ランのぬくもりが凄い落ち着く。
キスをするのも割と好きだ。

「でもさ、お前が何もしないと彼女が不安がるんじゃないか?」

「不安?そういうもんなのか?」

「女の子にとっては、求められるイコール愛されてるっていう図式あるからな」

「へぇ・・・」

ラスティンは女心というものが分かるらしい。
なにかにつけて聞いていないアドバイスをくれるが、今回ばかりは真剣に聞く。
好きだという想いを伝えるのに、そういう事も必要なのか。
魔剣での生活があまりにも長かったからだろう。
俺の中でそういう欲が眠ってしまったのは。
でも、そういう事をしてランが喜ぶのなら・・・

「どこか泊まりにいこうって言ってたのはそういう事なのか・・・」

あの時のランの態度を思い返すとそういう事なんだろうか。
愛されてる実感というのがなくて待ちきれなくなった?っていう事か?

「え?」

「さっき言っただろ、週末ランと過ごすって」

「えーーーっ!!!」

パシュの悲痛な叫びが男子寮内にこだまし、話をうやむやになった。

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