雨の日の会話(ヴィルラン+子ども)

※オリジナルキャラとして二人の子どもが出てきます。苦手なかたは閲覧をご遠慮ください※

 

 

「雨、やまないねー」
「んー?」

ヴィオレッタが窓にべったりと両手をつけて、外をみていた。
今日は外で遊ぶ約束をしていたが、あいにくの雨のため家のなかで遊ぶことになった。
が、ヴィオレッタは珍しく外で遊ぶのを楽しみにしていたようでさっきから外の様子ばかり見ていた。

「なあ、ヴィオレッタ」

腰の部分を両手で持って、俺の膝の上に乗せてやると想っていたより身体が冷えていた。
これは風呂に入った方が良いかもしれないな、とようやく父親らしいことを考えられるようになった自分に気付く。
父親、というか親というものがどういうものなのか身をもって知っているわけではない俺は、きちんと父親になれているのだろうか。
子どもたちが生まれた頃はそういうことをふと考えたりもしていた。

時間が解決してくれることもあるんだよ、とランは笑っていた。

ああ、たしかにそうなのかもしれない。

「なあに?お父さん」
「ヴィオレッタは雨、嫌いか?」
「うーん・・・きらいじゃないけど、今はきらいかも」
「外で遊べないからか?」
「うん。せっかくお父さんとお外であそべるとおもってたのに」
「そっか」

頭を撫でてやると、ヴィオレッタは嬉しそうに笑う。
ヴィオレッタはそういう顔がランに似ている。

「父ちゃんもな、昔は雨嫌いだったんだよ」
「お父さんも?」
「ああ、だけど母ちゃんのおかげで雨、嫌いじゃなくなった」

そう遠くない昔だ。
ランは子どもに教え聞かせるように、雨の物語を俺に話してくれた。
あの日みた虹の鮮やかさは忘れられない。

「お父さんってお母さんのこと、だいすきよね!」
「そりゃあ、父ちゃんが母ちゃん大好きだからお前たちがいるんだぞ」
「うんっ!」

今はもう雨音を聞いて、ひとりでいても怖くない。
ぎゅうっとヴィオレッタを抱き締めると、ヴィオレッタは声をあげて笑った。

「ねえお父さん、どうしてお母さんのおかげで雨きらいじゃなくなったの?」
「んー、それは内緒だ」
「どうして?」

もうすこし大きくなった時にでも聞かせてやってもいいかもしれない。
が、やっぱり誰かに話してしまうのは勿体無い気がしてしまう。

「ランとの二人だけの秘密だからな」

ヴィオレッタはぱちぱちとまばたきをする。
だから俺は少しだけ大人気なく、得意げに笑った。

 

良かったらポチっとお願いします!
  •  (3)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA