眩しい(ガーネットクレイドル・サーリヤ×美紅)

待ち合わせ場所は、再会した桜の木の下。
季節は変わり、もう桜の花は散ってしまったけれど私はあの場所が大好きだ。

「お待たせ、サーリヤ!」

駆けてくる私の足音や声に気付き、彼は顔を上げた。
サーリヤは少しだけ眩しそうに目を細めた。

「あまり慌てると転ぶぞ」
「もう、そんな子どもじゃないんだから」

サーリヤは薄く笑うと、私に手を伸ばす。
だから私はそれを黙って握った。

「あのね、駅前にアイスクリーム屋さんが出来たんだって」
「そこに行きたいんだな?」
「うん!だって色んなフレーバーがあって、その中に・・・」

柘榴もあるんだと聞いた時、サーリヤに食べさせてあげたいと思った。
昔、彼が私に食べさせてくれた柘榴を思い出す。
甘酸っぱくて、今思えばあれは恋の味だった・・・んじゃないかなと思う。
そこまで口に出してしまいそうになり、思わず口をつぐむとサーリヤは不思議そうに私を見下ろした。

「どうかしたのか?」
「ううん、なんでも」「俺の姫君は隠し事が下手だな」
「・・・もう」

誤魔化すように手をぎゅっと握る。
するとさっきのようにサーリヤが目を細めた。

「ねえ、サーリヤ」
「なんだ?」
「太陽、まぶしい?」

昼の明るさにまだ慣れていないのだろうか。
彼は時折、目を細める。
聞いて良いものなのか分からず、ずっと黙っていたが最近多い気がしたのだ。
時間が経てば慣れるものなのかと思っていたんだけど、違うのかもしれない。
その不安から私はようやく疑問を口にした。

「いや、陽の光には随分慣れた。心地よい明るさだ」
「じゃあ何に目を細めてるの?」
「それはだな、」

ふ、と。
サーリヤが歩を止める。
私もつられるように立ち止まると、空いている手でサーリヤが私の頬をなでた。

「愛おしい姫君が、眩しいようだ」
「~っ!!」

自分でも分かる。
サーリヤが触れている頬からあっという間に熱が広がる。
馬鹿みたいに顔が熱い。

「・・・サーリヤって意地悪」
「何を今更」
「はやくアイス食べに行こう」
「そうだな、今日は一段と暑いようだ」

恥ずかしさを誤魔化すように睨むと、サーリヤが子どもみたいな笑みで私を見つめていた。

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