First Kiss(セラアリ)

「ねえ、セラス」

いつもならもう眠る時間だ。
だけど、久しぶりに自分としても気に入る作品を仕上げられた事で気分が高揚している。
疲れているのに、気分が昂ぶっていてなかなか寝付けない。

「なんですか?ご主人様」
「あんたって私以外の人間には興味ないんでしょう?」
「ええ、勿論です。ご主人様以外の人間なんて興味を持つ必要も感じません」

そう言って、私の手を取り指先に口付ける。

「ということは、あんたって私以外とキスした事ないのよね?」
「それはもちろんそうです。ご主人様以外に触れたいなんて思うわけがない」
「そうよね」

子どもじみた独占欲だと自分でも分かっている。
セラスは私が請うたから今、こうして人型の姿をとっているんだ。
そうでなければ森の奥深くで瞑想しているんだろう。

「ご主人様は、私以外の方とあるんですか?」
「え?」

金色の瞳が、私をじっと見つめる。
家族同士がする挨拶のようなキスならいくらだってある。
それこそ両親やマイセン、幼馴染のミラーとだってあるのだ。

「・・・えーと」
「ご主人様」
「子どものとき、セラスとしていたようなキスならした事あるわよ」
「それは、マイセン様やご両親ですか?」
「ええ、そうね」

セラスの視線から逃げるように私は視線を逸らす

「ミラー=フェルデナンデスとはあるんですか?」
「・・・さあ、どうだったかしら」

ミラーとは幼馴染なのだ。
小さい頃は二人でよく遊びまわったものだ。
子どもの定番の遊びだろう、結婚の約束とか。
ただセラスにそんな事を言えるわけがない。
自分から振った話題のくせに、どうして私が追い込まれているのか。

「ご主人様、」
「なに・・・っん」

唇が重ねられ、そのまま視界が反転する。
もう両手では数え切れないくらいした恋人がするようなキス。
舌が絡められ、深まるキスに頭がぼうっとしてくる。
唇が離れ、すぐ近くにあるセラスの顔をぼんやり見つめる。

「何回したんですか、ミラー=フェルデナンデスとは」
「え?」
「私のほうがご主人様にたくさん触れたい」

何回したか尋ねたくせに私の回答なんて聞きたくないといわんばかりに再び唇が塞がれる。
ミラーとした子どものキスの回数なんて正直覚えていないが、おそらくセラスの方が多いだろう。
嫉妬してるのに、恋じゃないっていうんだから。
深まるキスに応えるように、私はセラスの背中に手を回した。
ミラーに妬く必要なんかないのに、可愛い可愛い私のセラス。

「・・・アリシア」
「・・・っ」

口付けの合間に名前を呼ぶなんて、どこで覚えてきたんだ。
ずるい、ずるい。

「セラス、もっとキスして」

命じるんじゃなくて、乞う。
名前を呼び合って、キスを求めるなんてまるで恋人のようだ。
嬉しそうに目を細めると、唇が重なった。

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