おやすみなさい(セラアリ)

「ご主人様」

ベッドのなかで私を優しく抱き締めたまま、耳元で囁く。
暗い部屋の中で、ぼんやりとセラスの顔が見える。
セラスは相変わらず私に触れるときは優しく触れる。
力の加減を間違えて私を傷つけないように、とそっと抱き締めてから強くひきよせる。
どんなに体を重ねても、セラスとのはじまりは変わらない。
私の許可を得ると、唇を重ねる。
優しく腰を抱いて、逃がさない。
ドラゴンに人間のような理性があるのかは分からないけれど、セラスの理性を溶かしてしまいたい。
そんな風にいつも思うのに、結局いつも理性を溶かされるのは私のほうだ。

「ご主人様、お疲れですか?」

「・・・疲れてなんかいないわ」

情事の名残で体は気だるいが、それだってセラスが求めてくれた結果だ。
そう思うと愛おしささえ感じるが、ドラゴンと人間の体力なんて比べるまでもない。
私がくたくたになるまで求められるのだ。
正直、疲れるに決まってる。
だけど、そんな事を言ってセラスが控えるようになったら嫌なのだ。
求められる心地よさ、終わった後に包んでくれる腕、熱を孕んだ瞳でみつめられることがたまらなく幸福を感じる。

「ねえ、セラス」

甘えるようにセラスの胸に頬を摺り寄せる。
それから彼の腰を撫で回すと、セラスが小さく声を漏らした。

「あんた、シンフォニアにいた頃私がいないと眠れないって言ってたでしょ?」

「・・・はい」

「今はどう?」

「今も・・・これからも、ご主人様がいないと眠りにつくことなんて出来ませんよ」

本当に可愛い。
孤高のドラゴンを孤高じゃなくしたのは私だ。
私が引き摺り下ろしたのだ、このドラゴンを。

「本当にどうしようもないんだから」

私もあんたも。
くすりと笑うと、セラスの頬に口付けた。
愛おしい私のセラス。

「はい、私はご主人様がいないと眠ることさえ出来なくなりました」

口付けを受けて嬉しそうな声を出す。
応えるように口付けを返され、受け入れる。ついばむような口づけを繰り返しているうちに私は目蓋を開けられないほど睡魔に襲われていた。

「おやすみなさい、私だけのご主人様」

最後に額に口付けをうけて、愛おしい従者の腕のなかで眠りにおちた。

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