私の隣ですやすやと眠る愛おしい人を見つめる。
「絵本なら大丈夫だって自信満々だったのに」
明日は一緒の休み。
だから今日は夜遅くまでナナさんの部屋にいても構わないだろう。
部屋に泊まることは周囲に示しがつかない!とナナさんは言っているけど、
部屋の行き来や私たちが付き合っていることもみんなの知るところだったりする。
なので、私はあまり気にしていない。
今日も仕事が終わると、ナナさんの部屋に来ていた。
今日はナナさんに絵本を読んであげていたんだけど、案の定眠ってしまった。ナナさんの寝顔はいつもより幼く見える。
頭を数回なでると、表情が和らいだ。
もしも運命の人がいるのなら・・・
私にとって、運命の人はナナさんだろう。
「ナナさん、起きてください」
疲れているみたいだから寝かせてあげたい気もするが、
そのままにしておくと明日のナナさんが落ち込むだろうから肩を揺する。
すると、小さくうめく声がしたかと思えば手を掴まれてベッドに押し倒された。
「・・・っナナさん」
突然のことで驚いたが、私を見下ろすナナさんの表情を見て安堵のため息を漏らした。
ああ、寝ぼけているんだ。と安心している私にナナさんの顔が近づいて、唇が重なる。
いつもナナさんが私にくれるキスはついばむような優しいキスばかり。
私を大事に思ってくれていることがキスを通して伝わる。
「んっ・・・っ」
今しているキスはいつもより性急なキスだ。
気付けば、翻弄されていた。
「・・・ん、」
「・・・はぁ、はぁ」
ようやく解放された口を大きく開き、呼吸をする。
「・・・っ!フウ!!」
ナナさんはようやく目を覚まし、私を組み敷いていることに驚いたらしく慌てて正座をした。
「すまん!寝ぼけて・・・!!」
「いえ、大丈夫です・・・けど」
私も起き上がり、ナナさんと向かい合って正座をする。
申し訳なさそうに私を見つめるナナさん。
一体どっちが年上なんだろうとくすりと笑ってしまう
「今のキス、嬉しかったです」
ただ、私を求めるような口付けに心揺さぶられてしまった。
頬が熱くなっているのは自分でも分かる。
「・・・フウ」
「はい」
「今の・・・もう一度しても良いか?」
「・・・はい」
了承を得ると、ナナさんは私の肩に手を置いてそっと唇を寄せた。
その日、初めてナナさんの部屋に泊まった。