「チカイ、おなか壊しませんか?」
「えー?どうしてー?」
ナチが用意した巨大パフェを幸せそうに食べるチカイ。
もう半分くらいになったけど、何人分くらいあっただろうか・・・
おそらく五人分はあったと思うんだけど、それを嬉しそうに食べ進めるチカイは本当に凄い。
「フウちゃんも食べたいなら食べたいって言えばいいのにー。
はい、あーん★」
「私はいらないです」
「いいからいいから」
スプーンいっぱいにアイスをすくうと、にこにこと私に差し出す。
早くしないと溶けてしまうけれど、こんな夜遅くに食べるのは女としてどうかな。
そんな私の葛藤に気付いたのか、チカイはくすりと笑った。
「ほら、早くしないと溶けちゃうよ。
はい、あーん★」
「・・・あーん」
結局根負けして、ぱくりと食べるとひんやりとしたアイスが口の中で溶ける。
ああ、甘いものはやっぱり美味しい
「美味しい?フウちゃん」
「はい、美味しいです」
「きゃはっ★良かった」
「でも、夜遅くに甘いもの食べたら私は太ってしまうのであんまり誘惑しないでください」
チカイは食べても太らない体質らしく全然太らない。
が、私はチカイと付き合い始めてから甘いものの摂取量が増えた結果・・・
「フウちゃん、こっち来て」
「?はい」
向かい合って座っていたが、チカイに呼ばれて彼の隣まで移動する。
移動すると、腰に手を回されて抱き寄せられた。
私は立ったままだが、チカイは座っているので自ずと彼の顔が私の胸にあたる。
「チカイっ!」
その体勢が恥ずかしくて、体を離そうかとするがチカイは離してくれない。
「フウちゃんの体、気持ちいい」
「・・・っ」
「だからキミは今のままでいいと思うんだ」
「チカイ・・・でも」
「フウちゃんと一緒に食べるとより一層美味しく感じるんだけど、駄目かな?」
「・・・ずるいです、チカイ」
そんな風に言われたら駄目だなんていえないじゃない。
チカイの頭に手を置くと優しくなでる。
それが気持ち良いのか、チカイは目を閉じて嬉しそうに笑った。
「フウちゃん、だいすきだよ」
「私もチカイが好きです」
食べかけのパフェが溶けるのをちらりと見ながら、トレーニングの量を増やそうと決意した深夜2時だった。