いつか、その日が来たら(趙関)

買い出しの帰り道。
まだ、私たちの家から程遠い場所なのに趙雲の姿をみつけた。

「趙雲、どうしたの?」

「ああ、関羽。おかえり」

「ただいま」

趙雲は私の隣に並ぶと、私が抱えていた荷物をひょいっと持ってくれた。

「重いわよ、そっち」

「それなら余計俺が持つべきだろう?
俺は男で、お前は女性なんだから」

普段、あまり女の子扱いをされないから趙雲のそういう気遣いに照れてしまう。
戦場を共にすることもあったのに、趙雲は私を一人の女の子として見てくれる。

「ありがとう、趙雲」

私に近い方の手を趙雲は空けていた。
多分、これは手を繋いで良いってことだろう。
私はそっと彼の手を握ると、趙雲は思いのほか驚いた顔をした。

「ごめんなさい、嫌だった?」

「いや・・・
手を繋ぎたいと思っていたらお前から繋いでくれたから驚いたんだ」

きゅっと握り返される手から熱が伝わる。
それが心地よくて、私も少し強く握り返した。

 

 

 

 

 

「あっれー!関羽と趙雲じゃん!
なかなか帰ってこないと思ったらデートだったのかよー」

「ちょ、ちょ、ちょ、ちょううんとあねきが・・・!!手を!!」

「張飛、いい加減慣れなよ。いちいち騒ぐのみっともない」

家の傍まで来ると張飛、関定、蘇双の3人が集まっていたらしく私と趙雲が手を繋いでるのを見て騒ぎ始めた。
恥ずかしくなって、手を離そうとすると強い力でそれを阻まれる。
趙雲の顔をちらりと見ると何事もない顔をしていた。

「でも、そうしてるとなんだかなんだお似合いだよなぁ。お前たち」

「やめろー!!そういう事言うなって!!俺はまだ諦めてないんだからな!」

「関羽、早く家に入ろうか。
買い出しに出て、お前も疲れただろう」

「ええ、ありがとう。趙雲」

3人とは、二、三言会話を交わして別れた。
家の中に入ると、買ってきた荷物を趙雲が片付けようとしてくれる。

「私もやるわ」

「ああ、そうだな。一緒に片付けて、休もうか」

手分けして片付けながら思ってしまうのは・・・
趙雲と結婚したらこういう感じなんだろうか。
趙雲が旦那様、かぁ。

「関羽」

「っ!?どうしたの?」

すっかり油断していて、趙雲が話しかけていたことにも気付かなかった。
くすりと笑うと、私の耳に優しく触れた。

「耳が動いていたが、何を考えていたんだ?」

「・・・なんだか恥ずかしいわ」

「ん?」

趙雲の手に自分の手を重ねて、彼を見つめた。

「教えられないわ、何を考えていたかなんて」

「それは残念だな・・・」

しゅん、とした趙雲がなんだか可愛くて、笑ってしまった。
いつか私たちが家族になった時に話すから。
だから今日はこれで許して。

「趙雲、大好きよ」

 

 

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