インピーへ
インピーと二人で暮らすようになって、私はとても幸福です。
私の記憶はルパンにさらわれるまで過去二年分しかなかったのに、ルパンにさらわれて、インピーに出会って、世界が変わったよね。
もしもあの日、出会わなかったら私はどうなっていたんだろうってたまに考えるの。
きっとどうにもなってなかったんだろうね。
怪物のままだったと思う。
だから、今私は人間として貴方の隣にいられて凄く凄く幸せ。
私を人間にしてくれたのは、みんな。
みんなだけど、私に恋を教えてくれたのはインピー。
人のぬくもりを教えてくれたのもインピー。
ありがとうって言葉でいくら伝えても私の気持ちは伝わりきらないと思う。
インピーのことを好きっていう気持ちも伝わりきらないと思う。
だから貴方に初めて手紙を書くことにしました。
ありがとう、インピー。私を好きになってくれて。
インピーが生まれたこの日に、私は感謝するね。
ありがとう、インピー。生まれてくれて。
お誕生日、おめでとう。
カルディアより
「うぅ・・・っうぅ・・・っ」
カルディアちゃんに渡された手紙を読み終わると、気付けば涙がぼろぼろと零れていた。
いや、結構序盤から涙腺を攻撃されていたんだけど。
「インピー、泣かないで」
おろおろするカルディアちゃんを目の前にしても俺は涙が止まらない。
たまらなくなってカルディアちゃんを抱き締めた。
「カルディアちゃん、ありがとう・・・ありがとう」
「インピーは大げさ」
よしよし、と子供をあやすように俺の背中をさすってくれる。
彼女の髪に頬を摺り寄せる。俺の涙がぽたりぽたりと彼女の髪に吸い込まれていく。
「インピー、お誕生日おめでとう」
「ありがとう、カルディアちゃん」
ぎゅっときつく抱き締めるとカルディアちゃんが小さく笑った。
ああ、どうしよう。
びっくりするくらい幸せだ。