目を覚ますとまだ夜明け前で、視界は薄暗かった。
ぼんやりとしたまま、私は右手で目をこすろうとして、その手の存在に気付いた。
「・・・」
そう、隣にはガラハットが眠っていた。
あどけない表情のガラハットに私はほっとする。
左手で目をこすると、ガラハットの顔にかかった髪をそっとよける。
「ん・・・」
「ごめん、起こしちゃった?」
「・・・アル」
きっと私もついさっきはそんな顔をしていたんだろう。
ぼんやりとした表情のまま、ガラハットは私の頬に触れてきた。
繋いでいる手は暖かいのに、空いている手はひんやりとしていた。
「先に起きてたの?」
「ううん、今さっき目がさめたの。
でもまだ夜も明けてないからはやかったみたい」
「ん・・・」
頬に触れた手がそのまま私を抱き寄せる
「このまま」
「ん?」
「このままアルを抱き締めて眠ったらアルの夢みられるかな」
そういえば以前、ガラハットは幼い頃から大事にしている抱き枕をなくしたと探していたことがあった。
今のこの格好はまるで私を抱き枕に見立てているようだと思うくらいガラハットが甘えてくれる。
おそらくまだ眠いのだろう。きっといつもの彼なら顔を真っ赤にして怒るんじゃないだろうか。
「私の夢、みたいと思ってくれるのね」
今もこうして一緒にいるのに、夢でも一緒にいたいと思ってくれていることに心が温かくなる。
首筋にガラハットの唇が触れる。
ちゅ、と音がするとそのまま首筋に顔を埋めて動かなくなった。
「おなじ夢、見れたら良いのにな」
現実でもこうして一緒にいれるけど、もし夢を見るなら同じ夢をみたいだなんて子どもみたいかな。
「おやすみなさい、ガラハット」
ガラハットを抱きしめながら私も目を閉じた。
夜が明けるまで、どうかこのままでいさせて。