日差し(諸関)

部屋の掃除が終わり、私はぐいっと背を反らした。
もちろん訓練は今でも欠かさず行っているけど、最近は暑くなってきてなかなか手合わせをする気にならない。
今、私の手には箒。ここの掃除が終わったら、夕食の支度をするまで少し時間があるから少し遠出して果物を採ってこようかしら。
そんな事を考えながら掃除をしていると、影が落ちた。

「おい、関羽」

「おかえりなさい、諸葛亮」

何やら劉備に相談があるといって出かけていった諸葛亮が呆れた顔をしながら私を見つめていた。
不思議に思って、彼に近づくと首筋を指でなでられた。

「・・・っ!どうしたの?」

突然のことで思わず身をすくめると、手首を掴まれて家の中へ連れて行かれる。

「ねぇ、諸葛亮!どうしたの?
私、これから外の掃き掃除をしなきゃ・・・!」

「馬鹿者」

風通しのよい場所に連れて行かれ、なかば無理やり私を座らせる。
どうしたのか分からず、彼を見つめているとお茶を取りに台所へと姿を消してしまう。

(・・・どうしたのかしら)

彼が何を考えているか分からず、どうしたものかとぼんやり考えながらも頬を撫でる風が気持ちよくて目を閉じてしまう。
諸葛亮が戻ってきた気配を感じ、目をあけようとすると目蓋を撫でられた反射で目をきつく瞑る。

「-っ」

少しひんやりとした唇が重なった。
突然の彼からの口付けに驚きながらも私はそれを受け入れた。
啄ばむような優しい口付けに、唇が離れる頃には目が潤んでしまっていた。

「そんな間抜け面をするな」

「間抜けって・・・!」

至近距離で見つめ合っているのに、そんな事を言うから思わず反論しようと口を開くと私を黙らせるためなのか、もう一度唇を塞がれた。
先ほどの優しい口付けとは違う。触れ合う舌が、熱い。

「んっ、・・・っ、」

漏れる声は何度聞いても自分のものとは思えないくらい甘ったるい。
恥ずかしくなって離れようとしても、どこにそんな力があるのか諸葛亮は逃がさないというように私の腰を強く抱く。
諸葛亮が満足するまで口付けをかわし、解放される頃にはすっかり息があがってしまっていた。

「一体どうしたの?」

「日差しが強いときにあんなところにいたら、身体を壊すぞ」

「・・・心配してくれたの?」

「当たり前だろう」

太陽の日差しよりもさっきの口付けのほうがくらくらしたとは恥ずかしくて言えなかった。
甘えるように諸葛亮の肩にもたれかかると、彼の扇子がそよそよと心地よい風を送ってくれた。

 

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