大抵女の子というのはコイバナが好きだ。
共通の話題がない子だとしても、コイバナだと盛り上がる事もあるし、
仲の良い友達だとなおさら盛り上がる。
愚痴だったり、良い事だったり色んな話があるだろう。
そんな私たちの最近の話題は占いだ。
「ラン、聞いた?」
「何を?」
ユリアナが思い出したようにその話題に触れた。
何でも城下に手相を見て、運勢などを占ってくれる人がいるそうだ。
運勢だけではない。意中の相手との相性だってみてくれるそうだ。
そして、その人の相性占いは凄く当たるそうだ。
「今度ユアンが来たら一緒に行って見ようと思うんだ!
ランはヴィルヘルムと行っちゃえば?」
「あー・・・うん、そうだね。
行く機会があったら行ってみようかな」
占いなんて楽しそうだな。
未来のことなんて分からないけど、どんなことがあるのかとか言われるのは面白い。
当たるか当たらないかは別として、やっぱり占いも女の子は大体好きだと思う。
でも・・・
それを理解できないのが男の子ということも私は知っている。
◆
「ねぇヴィルヘルム」
「ん?」
森を散策後、いつもの場所に腰を下ろして一息つく。
今日は日曜日。
お決まりの森デートを相も変わらず楽しんでいる。
「あのね、占いとかどう思う?」
「占い?」
「うん、城下にすごい当たる占い師さんがいるんだって」
「へぇー、うさんくせーな」
「もう・・・」
ヴィルヘルムはそういう事に全く興味がない。
分かっていたけど、あまりのリアクションに思わずため息が出た。
繋いでいた手に少しだけ力を込めて、不満を訴えてみるが全く伝わらない。
「相性占い・・・当たるんだって」
「相性占い?なんだそれ」
「私とヴィルヘルムの相性がどれくらい、とか。そういうの」
「ふーん」
興味なさそうな反応にやっぱり私はしょんぼりする。
ヴィルヘルムにそんな事言っても仕方ない。
ちょっとでも期待した自分が馬鹿だったのかも。
諦めて別の話題を振ろうとすると、繋いでいた手を離された。
そして、私の手のひらをじっと見つめた。
「・・・どうしたの?」
「お前と俺の相性はめちゃめちゃ良い。以上!」
手のひらをぴしゃりと叩くともう一度強く握り締められた。
驚きのあまりヴィルヘルムの顔をじっと見つめると耳が赤くなっていることに気付いた。
「もしかして・・・照れてるの?」
「うるせえな。お前が俺との相性知りたいっていうから教えてやったんだろ」
「・・・っ!」
その言葉に自分の頬が火照り始めたことに気付いた。
どうしよう、すごく嬉しい。
「大体他の奴に相性が悪いだ、別れろっていわれたところで俺はお前と別れるつもりも相性悪いつもりもな・・・」
あまりに嬉しくて、私はヴィルヘルムの唇を奪っていた。
乙女心を全然わかっていないくせに、そんな些細な乙女心なんて吹っ飛ばすくらいの嬉しい言葉をくれるんだもの。
合わせた唇から伝わる温度が、ただただ愛おしい。