「ねえ、ガラハット」
「ん?」
夜、ガラハットの部屋。
私を後ろから抱きしめるガラハットは顔は見えないけどご機嫌に思えた。
回されている手に自分の手を重ねると、いつもより体温が高い気がする。
「もしかして眠い?」
「んー・・・少し」
人って凄く眠くなると体温が上がるんだっていうのをガラハットに触れるようになって知った。
夜中寝付けずに散歩していた私の手を半ば無理やり引っ張って自室までつれてきて私を抱きしめたまま眠ったのはつい先日のことのような気がするのに。
あれから何度もこうやってガラハットの部屋に連れて行かれて、抱きしめられる。
その温度が気持ちよくて私も受け入れてしまっている。
「そういえばあの時探してた抱き枕は見つかったの?」
小さな頃から一緒に眠っていたというそれを私はまだ見ていない。
本当にそれの代わりなのか、それともただの口実なのかは分からない。
けど、どちらでも良いかな。
こうやってガラハットと過ごす時間が好きだから。
「アルがいるからもう大丈夫」
「ふふ、そう」
ガラハットは猫みたい。
普段はツンとしているのに、甘えたいときはこうやって擦り寄るように甘えてくる。
可愛いって言ったらきっと機嫌を損ねてしまうから言わないけれど。
私にとっては格好良くて可愛い愛おしい人。
「なんで笑ってるの?」
笑っている私に気付いたのか、不思議そうに私の顔を覗きこんでくる。
「ガラハットのこと、大好きだなぁって思ってたの」
「・・・っ!」
好きな人にこうやって抱きしめてもらえる。
そんな時間が愛おしい。
ガラハットの頬はあっという間に紅潮してしまった。
好きだといってくれるし、私も好きだと伝える。
何度も交わした言葉なのに、お互いその度照れてしまう。
ガラハットのそういう表情を見るのが好きだから、私は今とっても幸せなんだけど。
「僕も、好きだよ・・・アル」
「うん」
触れた唇はその言葉のように優しく私を包んでくれた。