「なぁ、ラン」
緑の滴亭の地下。
ここは二人きりでゆっくり出来る唯一の場所といってもいい。
ランに膝枕をさせ、年甲斐もなく甘えてみたりしていた。
俺の髪を優しくランが梳く。
君のそういう行為が凄く好きで、いとも簡単にスイッチが入ってしまうんだけど。
あまり毎度毎度迫っていると二人きりの時間を減らされそうなので、今日は我慢する。
「なぁに?ラスティン」
「ランは一人っ子だよな?」
「うん、そうだよ」
それがどうかしたの?という顔をしている。
そういう表情も可愛い。
いや、どんな表情をしていても可愛いんだけど。
「俺、自分も兄弟いるからさ。
自分の子供にも兄弟作ってやりたいなーって思っててさ」
まだ見ぬ我が子を頭の中で想像する。
髪の色は俺に似て、金色か、彼女に似て桜色か。
瞳は藍色か真紅か。
やっぱり彼女に似た女の子は絶対欲しいし、そうしたら絶対嫁に行かせたくないだろうな。
そんな事を考えていたら自然と笑みがこぼれた。
「未来の奥さんはどう思ってるかな、と」
「みっ・・・!」
真っ赤になったランの頬に手を伸ばす。
リンゴみたいに赤くなるなんて可愛いよ、本当。
「未来の・・・奥さんって、」
「あれ?そのつもりなかった?
俺はそのつもりなんだけど」
「私、何にもとりえないし、王族でもないけど・・・いいの?」
そんな馬鹿なことを不安げな顔で言う。
本当、お前は無自覚でそういう顔をするから反則。
彼女の頭の後ろに手を回して引き寄せ、自分も身体を起き上がらせて唇を奪う。
驚いた顔をするランの表情を見て、満足げに唇を離した。
「俺が惚れてるんだ。それ以上の理由なんている?」
「・・・ないです」
「よろしい」
にっこり笑ってみせると、ようやくランも笑った。