アベルと二人で見回りに出た日のこと。
残りは森の周辺だけ、という時に夕立に降られた。
「止みそうにないね・・・」
「そうだな」
二人で大きな木の下で雨宿りをしているが、全然止む気配がない。
雨に濡れないように出来る限り内側に入るようにすると、自然とアベルとの距離も近くなり、
右腕には彼の体温が感じられた。
どうしよう、凄くドキドキしてる。
「・・・?お前、なんか顔赤くないか」
「え、そんな事ないよ!」
ドキドキしているせいか、顔が赤くなっていたようだ。
アベルに気付かれて、思わず一歩離れてしまう。
「おい!濡れるぞ」
木から離れそうになった私を慌てて腕を掴んで引き戻す。
勢いづいて、アベルの胸へと飛び込む形になってしまった。
「・・・っ!」
「濡れると風邪引くから、このままでいろ」
「う、うん・・・」
ああ、どうしよう。
アベルの鼓動が聞こえてくる。それさえも恥ずかしい。
こんなに近い距離にアベルがいる。
恐る恐るアベルの表情を盗み見ると、彼の耳も少し赤くなっていた。
(・・・ふふ)
なんだか嬉しくて。
私たちは雨が止むまで、ずっとそうしていた。
突然の雨がくれた幸せな贈り物。