*始まりと終わりは貴方といたい(惇関)

ほどほどにして、とお願いをしないと休みを取ろうとしてくれない。
曹操様の為!と張り切る彼をいつも見てきた。
私が恋心を抱く前から、そうして今も彼はそう張り切る。
それがほほえましくもあり、少しだけ寂しい時もある。

「ねえ、夏侯惇」

「ん?」

寝る前に夏侯惇の部屋を訪れる事が日課になっていた。
日中は仕事が一緒の時もあれば、そうでない日もある。
仕事中はやはりそちらに専念してしまうのは当然のこと。
最初は遠慮して部屋に訪れなかったけれど、そうでもしないと二人の時間を作れない。
勇気を出して通う事にしてから、段々日課になっていった。
今日も仕事があと少しで片付くから待っていてくれ、と言われて私はお茶を彼に差し入れたりしていた。
働く背中を見つめながら自分で入れたお茶をすする。

「明日は早いの?」

「ああ、そうだな」

筆をようやく置くと私へと向き直り、お茶に口をつけた。

「お前が煎れるお茶はうまいな」

「ふふ、ありがと」

ようやく一息ついてくれた事が嬉しくて自然と笑みが零れた。

「それで?どうかしたのか?」

「・・・その、あのね?」

部屋へ通う事が日課になったといえど、少し話して私はいつも自分の部屋へ帰っていた。
それが偶に・・・とても寂しくなる。

「今日・・・一緒に寝てもいいかしら?」

「え?」

きょとんとした夏侯惇を見て、いけなかったんだと判断して慌てて言葉を取り下げる。

「ごめんなさい!無理ならいいの!もう少ししたら戻るわ!」

「関羽」

私の手から湯のみを取り上げるとそれを机に置いて、それから私を正面からきつく抱きしめてくれた。

「無理なわけないだろう」

「・・・嬉しい」

夏侯惇の体温をこんなに近くで感じるのはいつ以来だったかしら。
そっと彼の背中に腕を回し、私も抱きしめ返す。
首筋に頬を摺り寄せ、彼のぬくもりに安心する。

「その、最近忙しくてお前をないがしろにしてたな、悪い」

「ううん、いいの」

身体を少し離すと視線がぶつかり、私はそっと瞼を閉じた。
啄ばむように優しい口付けを受ける。
そのまま寝台に押し倒され、口付けを受けながら服を脱がされていく。
求められていることが嬉しくて、私も早く彼に触れたくて夏侯惇の服を脱がせていく。
上半身の服を脱がせると、引き締まった身体が露になり、私は思わず赤面してしまう。
何度も見ているけれど、それでもやはりこの瞬間は恥ずかしい。

「お前は慣れたんだか、慣れていないんだか」

赤くなった私を見下ろして夏侯惇はくすっと笑う。

「夏侯惇だってっ!顔赤いわ!」

「好きな女の裸見てるんだ、赤くもなるだろう」

抗議は受け付けない、と言わんばかりに私の言葉も待たずに口付けされる。
先ほどまでの優しい口付けとは違って、今度は深い口付け。
夏侯惇の舌に翻弄されている内に夏侯惇の手は私の身体に触れていく。
頬から首筋、鎖骨・・・と触れていき、胸まで降りてくると突起を執拗になぞられる。
快感から口付けの合間に声を漏らしてしまう。

「関羽、気持ちいいか?」

唇を離すと熱っぽい声で囁かれ、私はたまらなくなって返事の代わりに腕を首に回して引き寄せて口付けた。
夏侯惇に触れられる部分は全てが熱を孕んでいるみたいに苦しくなる。
胸に触れていた手はそのまま更に下へと移動していき、秘部をそっと撫でられる。
撫でられただけで強い快感が走り、思わず背中がのけぞる。
愛液が立てる音が恥ずかしくて、耳をふさいでしまいたくなるけれど、耳に優しく口付けされると何もいえない。
私の中に夏侯惇の指が入ってきて、久しぶりの異物に思わず締め付けてしまう。

「中、熱いな」

「言わないでっ・・・!」

「早くお前の中に入りたい」

指を2本に増やされ、中を慣らすようにかき乱される。
その行為だけでも昂ぶってしまっているのに、夏侯惇を受け入れたらと考えるとぞくぞくとしたものが背中を襲う。

「おねがいっ、もう・・・!」

恥ずかしくて死んでしまいそうだけど、夏侯惇が欲しいとねだれば中から彼の指が引き抜かれて、
そのまま彼自身が宛がわれる。

「入れるぞ」

私の身体を労わるように少しずつ挿入していく。
久しぶりの行為だから少し苦しくて、夏侯惇もそれが分かっているから早く動きたいのも我慢して
私に合わせるようにゆっくりと挿入していく。
その時の快楽に耐えるように眉間に皺を寄せて堪える彼の顔がとても好き。

「っ、大丈夫か?」

「うん、動いて?」

「煽るな、馬鹿」

ちゅっと音を立てるように口付けると少しずつ律動していき、彼に与えられる快感に私は嬌声を上げるばかり。
久しぶりの行為なのに、彼は私の弱い部分を覚えていて、そこばかり責めてくる。

「っあぁ・・・っ!」

「関羽っ」

「夏侯惇、もう・・・っ」

久しぶりだからか、私はあっという間に上り詰めてしまい、もうすぐ限界だと訴える。
中にある彼自身が質量を増し、それを搾り取るかのように締め付けると、夏侯惇も達しそうになり、
激しく打ち付けられる。

「関羽、好きだっ・・・!」

夏侯惇はそう言って、私の中で果てた。

行為が終わって、夏侯惇の腕の中に収まりながらまどろんでいた。

「夏侯惇、私ね、嘘ついていたの」

「ん?」

優しく私の頭を撫でていた夏侯惇が反応する。

「あのね、さっき夏侯惇が私をないがしろにしてて悪かったって言ったでしょ?
それに対して、ううんって答えたけれど・・・
本当は良くないわ。あなたともっと一緒にいたい」

これは私の我侭かもしれない。
けれど、伝えなければきっと夏侯惇には伝わらないから。

「俺も、お前と一緒にいたいよ」

優しい笑みを浮かべ、それから額に口付けられる。

「曹操様に一緒の部屋にしてもらえるよう頼んでみるか」

「本当?」

「ああ、本当だ」

夜眠る時、貴方が隣にいてくれたらどんなに安らぐだろう
朝目覚めた時、貴方が隣にいてくれたらどんなに幸せだろう
そういう日々を貴方を築いていきたいな、と微笑めば優しい口付けが唇に落とされた。

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