CODE #DC143C(尊×市香)

目の前が真っ赤に染まる
何度も何度も夢に見る光景
いつまでも消えない、俺の痕

 

 

 

「笹塚さん・・・笹塚さん」

名前を呼ばれて、ぼんやり意識を取り戻す。
ようやく焦点が合って、腕の中にいる市香に目をやった。

「・・・ああ」

久しぶりに見た夢だ。

「うなされていたので・・・すいません」

「いや、いい」

カーテンの隙間から見える外はまだ暗い。まだ深夜のようだ。
眠りについてそんなに時間が経っていなかっただろうに起こしてしまって悪い事をした。そっと俺の頬に触れる市香の手は少し冷たい

「おまえの手、冷たいな」

「女の人は冷え性が多いんですって」

「ふーん。じゃああっためてやろうか」

「え?」

瞬時に眠る前の出来事を思い出したのか。
真っ赤になる市香を見て、意地悪く笑ってみせる。

「ばーか、何考えてんだよ」

でこピンをすると、市香は赤くなったカオを誤魔化すように身体を寄せてきた。

「でも、笹塚さんあったかいですね」

「でもってなんだよ」

「・・・さあ」

離れていこうとする手を掴むと、市香は笑う。

「ほら、手だって笹塚さんのほうがあったかい」

「だからおまえの手が冷たいって言ってんだろ」

握っている手が、ようやく冷たくなくなってきたので離してやると子猫みたいに俺に擦り寄ってくる。

「悪い夢を見ないおまじない、知っていますか?」

「言ってみろ」

「・・・言うのはちょっと」

「じゃあなんなんだよ」

身体を少し上にずらし、俺の前髪をかきあげると市香はそっと額にキスを落とした。

「・・・良い夢が見れますように」

「バカ猫」

「え?きゃっ、」

すぐ身体を引き寄せて、唇を奪う。
指先とかは冷たいけど、こんなに熱い場所あるだろうと言い聞かせるように舌を絡める。
深い口付けから解放してやると、すぐきつく抱き締めた。

「いい夢、見れるかもな。おまえが」

「笹塚さんが見ないとダメです」

「・・・あっそ。じゃあ、こうしてれば見れるだろ」

そう言って、少しあったかくなった市香の手を握る。

「一緒の夢、見れるといいですね」

市香はそう言って、嬉しそうに笑った。

 

きっと、もうあの日の夢は見ない。

 

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