「ラスティンって、なんだかこう・・・華やかよね」
「なに、俺の食事する姿に惚れ直した?」
緑の滴亭で遅めの昼食を食べている時のこと。
最後の一口を口に放り込むと、隣にいるランが俺をじっと見つめていた。
もしかして食べたかったのかと思いきや、突然の褒め言葉。
にやりと笑うと、ランはふるふると顔を小さく左右に振った。
うん、可愛い。
「そうじゃなくて、ラスティンの髪って金色でしょう?
瞳の色は赤だし、きれいだなぁって」
「さすがに俺がランの髪色だったら似合わないけどね」
「でも、ユリアナも前に言ってたの。ラスティンは花みたいだって。
それって華やかだってことでしょう?」
「うーん、どうだろうね」
くすりと笑ってランの髪を指で弄ぶ。
そういえば以前にユリアナに冗談めかして言われたことを思い出した。
俺とランが並んでいると、なんだか春の花みたいだと。
俺の反応に満足していないのか、なんて言葉を返そうか考えるように紅茶が入ったカップに口をつけた。
その様子もやっぱり可愛くて、俺は毛先にそっと口付けを落とした。
突然のことにランは恥ずかしそうに視線だけを俺によこす。
そのちょっとしたときの上目遣いとか俺はすごい好きなんだけど、ランは気づいていないんだろう。
「要はランには俺が似合うってことだよ」