いつも横にまとめている髪をほどき、軽く櫛で直す。
その姿を見るのはもう何度目だろうか。
二人で眠ることが習慣になり、彼女の一日の最初と最後を共にする事が出来るのが
こんなに幸福なことだと思ってもみなかった。
「どうしたの?趙雲」
俺の視線に気付いたのか、関羽が不思議そうな顔をして俺に問いかける。
「お前のそういう姿を見る事が出来るのは俺だけなんだと考えると
幸せだなと思っていたところだ」
「もう、趙雲ったら」
少し恥ずかしそうにはにかむような笑みをこぼし、彼女は櫛を元の位置に戻すと俺が待つ寝台へとやってきた。
まるで猫のようにするりと俺の腕の中に収まると俺の胸元へ頬をすり寄せた。
「俺は幸せ者だな」
「ふふ、私も幸せよ」
彼女の柔らかな髪を優しく手ですくいながら耳へと口付ける。
そうするとぴくりと愛らしい耳が反応する。
その反応が可愛くてついつい続けてしまう。
「ちょ、趙雲・・・明日は早いんじゃ」
「ん、そうだな」
そんな事は関係ない、と言葉にしないで俺はそのまま耳に口付けたり軽く噛んだりを繰り返す。
微かに漏れる関羽の声が扇情的で何度聞いても足りなくて、俺の理性を溶かしていく。
「関羽、好きだ」
関羽の顎を軽く持ち上げると視線を交わす。
真っ赤になった頬と、潤んだ瞳は何度見ても飽きない。
「わたしも好きよ」
優しく啄ばむように口付けを交わす。
何度触れても彼女を愛おしいと想う気持ちは募るばかり。
自分がこんなに誰かに恋焦がれる日が来るなんて関羽に出会うまでは知らなかった。
呼吸が乱れ始めた関羽を見て、くすりと笑ってしまう。
「今日は寝ようか」
「え?」
彼女が愛らしくてついつい毎日のように求めてしまうが、このまま静かに腕の中に彼女を収めて眠るのもいいだろう
「なんだ、不満か?」
「・・・もう!そんな意地悪言わないで!」
真っ赤な顔をして俺の胸元を軽く叩くと俺に抱きつくように目を閉じた。
「おやすみ、関羽」
「おやすみなさい、趙雲」
愛らしい寝顔を見ながら眠りにつく。
この幸せが永遠に続きますように、と願っているのはきっと俺だけじゃないだろう。
また明日もきっとお前のことをもっと好きになるんだろうな。