12:00
「ヴィルヘルム、買い物に付き合ってくれない?」
「ああ」
洗濯物を干し終えて、時計を見るとお昼になっていた。
今日は遅めの朝だったから昼食はまだ良いだろう。
ヴィルヘルムに声をかけて、二人で外に出た。
普段一人でも買い物に行くけど、日用品だったり、重めの食料品を買うのはヴィルヘルムと一緒の時と二人で決めた。
以前、私が色々買い込んで荷物を運んでいる時、運悪く袋の底が抜けてしまった。
その時、たまたま帰り道だったヴィルヘルムが駆け寄ってきてなかなか見ないくらいに慌てたのだ。
『お前、こんな大量に買い込むな!』
『でもまとめて買っちゃった方が楽なんだもん』
『なら今度から俺と一緒の時にしろ!そうしたら俺が持ってやれるんだから』
『え?』
『お前のその細っこい腕でこんなもん持たせられるか!!』
『・・・っ。うん』
時々、ヴィルヘルムはそうやって爆弾を落とす。
荷物が重いのが解消された事より、ヴィルヘルムなりに私を大事にしてくれることが嬉しい。
「やっぱり暑いね、今日」
「んー、そうだなぁ」
人混みが好きじゃない彼にとって街に出るのは苦痛・・・とまでは言わないが、面白くはないだろう。
日差しのせいもあって、少しだけ眉間に皺を寄せている。
「どうした?」
「え?」
「手、繋がないのか?」
隣にいる私に彼が手を出す。
「暑いから嫌かなって」
「それとこれは関係ないだろ」
照れるわけでもなく、当たり前に差し出された手に私が少し恥ずかしくなる。
「・・・もう」
きゅっと握るとヴィルヘルムは満足げに笑って、歩き始めた。
私といて、こうやって触れ合うことが当たり前になったことが私にとっては一番嬉しい事なのだ。