もしも私がはぐれたら、ガウェインは見つけてくれるんだろうか。
そんな事をふと、稽古をしているガウェインを見つめながら考えていた。
(・・・そもそも私がはぐれたりしていなくなったら皆探してくれるものね)
村娘だった頃はエレインは探してくれただろう。
けれど、今は私自身を探してくれる人っているんだろうか。
みんなと親睦も深まっていると思う。
だけど、王という肩書きがなかったらどうなってしまうんだろう。
「おい、アル」
「え?」
気付くと、稽古を終えたガウェインが私の前に立っていた。
不機嫌そうな瞳が、私を捉える。
「ん」
掴めというように座り込んでいた私に手を差し出す。
それに大人しく従い、彼の手を握るとそのまま腕を引っ張り起こされた。
そのまま倒れこむようにガウェインの胸に吸い寄せられる。
「ガウェイン?」
「・・・何考えてた?」
「え?」
私の顔を自分の胸に押さえつけるように抱き締める。
ガウェインの顔が見たいのに、顔を上げることが出来ない。
「なんか、悲しそうな顔してたぞ」
「・・・ガウェイン」
悲しかったわけでも寂しかったわけでもないけれど。
なんだろう。ぼんやりとしていた私の変化に気付いてくれるんだね。
ガウェインを試すような事を考えた自分がなんだか恥ずかしい。
「ごめんなさい、ガウェイン」
両手を彼の背中に回して、抱き返す。
「で?何考えてたんだよ」
抱き締める腕が少し緩まって、ようやく彼の顔を見れた。
「あなたのことが大好きだなって」
きっと私がどこにいたって見つけてくれる。
真っ赤になった大好きな人を見つめて、微笑んだ。