「ねぇ、レジェッタ」
部屋の隅でこそこそと丸くなって何かをしているレジェッタの背中に飛びつく。
ひっつき虫のように身体を密着させるとレジェッタの慌てた声が聞こえた。
「・・・どうかしたの?」
「いや、なんでもねぇよ!!
それより、だ!」
くっつく私の腕を取って無理やり振り返ると、くっついていた勢いのままレジェッタの胸に倒れこむ。
「わっ」
「おまえ、ちょっとは気をつけろよ!
その、色々とあれだろうが」
ぎゅっと抱きしめながらも、口ごもられる。
顔をちらりと見ると頬が赤くなってるのを見て、私も伝染したように赤くなる。
「何してたの?そんな隅っこで」
「あー・・・ほら、おまえがキレイ過ぎて見れなかった」
「・・・は?」
何を訳分からないことを言い出したのかさっぱり理解できず、赤くなっていた頬はあっという間にいつもの肌色に戻っただろう。
呆れたような目で見ている私の視線があまりに痛かったのか、レジェッタは軽く咳払いをした。
「・・・ほら」
片手を私の身体から離して、自分の後ろに手を回して何かを探した後のこと。
首元に手を回されて、きらりとしたものが光った。
「え?」
「こないだ行商が見せてくれたんだよ、これ」
それはペンダントだ。
アメジストの石があしらわれた小ぶりなものだけれど、キラキラと輝いていた。
「どうしたの?これ」
「おまえに似合うだろうなって思ったら買ってた」
その言葉が嬉しくて、勢いのままレジェッタを抱きついて押し倒した。
「嬉しい!すっごく嬉しい!
ありがとう!レジェッタ!!」
なんて言い表していいのか分からなくて、思いつく言葉を興奮気味に口にした。
押し倒された勢いで、頭を打ったらしいレジェッタは目じりに涙が滲んでいたが私のはしゃぎようを見て、優しく微笑んでくれた。
「レジェッタ、大好き」
「ああ、俺もおまえが大好きだ、アスパシア」
頭の後ろに回された手が二人の距離を近づけ、そのまま口付けた。
レジェッタがくれた嬉しさや幸せな気持ちが少しでも返せればいいなって、そんなことを願いながら。