「ねぇ、ヴィルヘルム」
「ん?」
「男の子かな、女の子かな」
「…どっちだろうな」
すっかり大きくなった私のおなかに彼の大きな手が触れた。
妊娠が分かった時、ヴィルヘルムは恐る恐る私のおなかに触れたことをついこないだの事のように思い出す。
今は、堂々と…優しく触れる。
「元気に生まれてくれば、それでいいや」
「…うん、そうだね」
暑い夏の日。 私たちの子どもは、この世に誕生した。 男の子と女の子の双子だ。
これは、家族になったヴィルヘルムとラン‐そして子ども達の物語